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帰り道で…

作者: WAIai
掲載日:2026/07/21

今日は学校の都合上、午前中の授業のみだった。


俺と彼女は学校を出、猛烈な暑さに襲われる。


「うわ、暑いね」


彼女が太陽を眺め、目を細める。

陽は容赦なく、全てを溶かそうとしているらしく、俺はハンカチで虫でも払うように、手を振る。


「何か飲み物で買おうぜ」


そう言うと、俺は彼女を見つめる。

うさぎみたいに瞳が大きく、可愛い彼女。

俺以外に絶対、触れさせてたまるかと思う。


「何、買う?」

「うーん、サイダー系ががいいな」

「私はグレープ味がいいかも。ぶどうが好きだから」


彼女の言葉を聞き、思わずぷっと笑ってしまう。


「もう、何!?」


彼女が抗議してきたので、俺は「悪い悪い」と謝る。


「うさぎさんはぶどうよりも、人参じゃないのかと思って」

「人参!? もう何でうさぎなの!? 可愛いけどさ…」

彼女は手を後ろに回すと、頰を膨らませる。


「じゃあ、ライオンさんはどうなの? サイダー系って、何かワイルドな感じがするけど」

「俺はいいの。百獣の王だから」

「何、それ」


2人で馬鹿なやり取りをしていると、前からバイクが走ってきた。


「あれ、郵便局だ」


赤の特徴あるバイク。

乗っているのは、30代くらいの男性だった。

ヒョウのようなイメージで、気高い顔だった。


バイクを停めると、家のポストに入れていく。


「かっこいい!!」

「え…。お前、俺は…」

「もちろん、かっこいいよ。顔じゃなくて身のこなしというか、慣れた感じがいいのよね」

彼女がうっとりしたように見るので、俺はむっとしが、いきなり彼女が「あ」と声を上げる。


「うちのところにも、手紙が届いてないかな」

「ああ、デザイン切手か?」

「そう!! そろそろ返って来てもいいんだけど。来るか来ないかの時が、待ち遠しいのよね」

「ふうん」


両手を拳にして力説する彼女に対し、俺は冷静に答える。


男性がバイクにまたがったので、彼女が突然、声をかける。


「あの!!」

「はい?」


彼女は恥ずかしそうにもじもじし、なかなか言葉が出なかった。


自分でも思わない行動だったのかもしれないと推測すると、どうするか見守る。


「手紙を出したんですけど、返ってくるのが楽しみで。その、いつも届けてくれて、ありがとうございます」


俺はこの人に礼を言うのは、違うのではと思ったのだが、うさぎさんは必死のようだった。


自分で何を喋っているのか、自信がないらしい。


しかし男性はにこやかに対応してくる。


「それはありがとうございます。良かったら、これからも手紙を出してくださいね」

「は、はい!! 憧れの職業なんです!!」

「そうなんですか? 頑張って。期待しているよ」


そう言うと、俺を見てきて、わずかに目を細める。


「こっちは彼氏?」

「そうです!!」


彼女は何を期待しているのか、はしゃいだ声を出した。俺と男性が見つめること、数秒。


別に喧嘩したいわけではないので、普通に質問する。


「どんな時が楽しくて、どんな時が苦痛ですか?」

「そうだな」


男性は腕を組むと、

「郵便を受け取ってくれて、礼を言われる時が嬉しくて、辛いのは雨や雪の時かな。天気が悪くても、俺達は休めないから」

「なるほど。ありがとうございます」

「どうも」


俺と男性は頭を下げると、バイクのエンジンがかかる。


「将来、何になりたいか、よく考えるといいよ。俺も散々、悩んだけど。青春、たくさんしなよ」


そう言うと、手を上げ、男性は行ってしまう。

彼女か「ああ」と残念がったが、男性がいなくなるまで見送る。


「お前、あの人がいなくなって淋しいのか?」

「え? どういうこと?」

「別に」


つまらなさそうに言うと、彼女から目をそらす。

生えている草を手を取ると、引っ張って取り、指に回す。


鈍感なんだよな、と思いつつ、空気は読めるんだけどと、褒める。


ここは俺がひくしかないと決め、ふうと息を吐く。


「行こう!! 涼しいところなら、どこでもいい!!」

「そうだな。行くか」


俺の手を握ってくれたので、機嫌を良くし、2人は駆け出したのだった。

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