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愛の讃歌  作者: 石原裕
第五章 宮大工に恋して

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第7話 良美、兄嫁を手伝って郷土料理を作る

 真澄が良美を連れて行ったのは台所だったが、広い厨房で流し台も大きかった。

「せっかく来て頂いたんだから、この新潟の郷土料理を食べて頂こうと思って。作るのを一緒に手伝って下さる?」

 最初に用意された材料は鶏肉、竹輪、油揚げ、人参、里芋、銀杏、干し椎茸、蒟蒻だった。

「郷土料理には欠かせない“のっぺ”と言う逸品を先ず作りましょう」

真澄はそう言ってボールに多めの水を入れ、干し椎茸を戻し始めた。

「材料を全部、食べ易い適当な大きさに切って下さる?」

良美が確認しながら食材を切り終えると、次は銀杏の皮むきだった。

「我が家の簡単な皮むき方法はこうするの」

皮が付いている銀杏をお皿に乗せてサラダ油を少し注ぎ、銀杏全体にサラダ油が廻ったところで、ラップをして電子レンジで二分ほど加熱した。すると、不思議なことに簡単に皮がむけた。良美は「へえ~」と驚嘆した。

 二人は、全ての材料と干し椎茸の戻し汁、それに出汁の素を加えて十五分ほど煮込み、その後、醤油、砂糖、塩を入れて味を調えた。

「これで、食べる直前に緩めの片栗粉でとろみをつけると完成よ」

「緩めの片栗粉と言いますと?」

「片栗粉一に対して水が二くらいのとろみ加減かな。これはお義母さんからの直伝に私なりのアレンジを加えたのよ」


 それから、良美は真澄を手伝って幾つもの郷土料理の作り方を教わった。

「お義母さんの得意な“竹の子汁”に挑戦してみましょうか」

真澄が取り出したのは瓶詰の竹の子だった。

「田舎ではこうして瓶で竹の子を保存するの。この方が保存性が高いのよ」

良美が驚いたことに、真澄が瓶の蓋をガスの火で少し温め、流しの下のコンクリートに二度三度ぶつけると、瓶の蓋は簡単に開いた。

竹の子の下の部分に少し堅いところがあったので、その部分を切り落とし、残りの柔らかい部分だけを適度の大きさに切った。それから、竹の子、人参、蒟蒻、じゃが芋、玉ねぎ、豆腐などを食べ易い大きさに切ってだし汁で煮込み、ニ十分ほどして鯖缶を汁ごと入れた後、味噌を加えた。

「食べる前に卵を溶き入れれば完成よ。鯖缶や卵を使うと味がとても円やかになるの」

 真澄が序でに作ったのは“竹の子御飯”だった。

研いだお米に、酒、塩、醤油、水を入れ、食べ易い大きさに斜めに切った水煮竹の子を加えて窯にセットするだけだった。

「味付けが濃くなり過ぎないように注意することがポイントね」

 次はビールのおつまみにする“ポテトチップ”だった。

「えっ、ポテトチップまで家で作るんですか?」

良美は自家製のポテトチップなんて見たことも食べたこともなかったので、少なからず驚いた。真澄がザルに入れて持って来たのはパリパリに乾燥した厚さ一ミリほどのじゃが芋だった。

「これは薄く切って茹でたじゃが芋を天日干ししたものなの。晴れた日を選んで一日干しておくの。パリパリに乾燥したらОKよ」

高温の油で五秒ほど揚げ、油を切って塩と砂糖で味付けすれば出来上がりだった。

 最後に作ったのは“ヤタラ”と言う料理で、茗荷の茎の新芽とピーマン、みそ漬けした大根の三つを細かく切り刻んで混ぜ合わせた簡単な一品だった。

茗荷の茎の新芽を葉の部分も根の部分も細かく切り刻み、大根のみそ漬けもピーマンも同じように切り刻んで、全てを混ぜ合わせる。更にもう一度切り刻んで仕上げに味の素を少し振って出来上がり。

「これは御飯にかけても、お酒のおつまみにしても、とても美味しいのよ。大根のみそ漬けは入れ過ぎるとしょっぱくなるから要注意ね」


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