第6話 聖女からの密書…「殿下の補佐で毎日残業です」
監査団が去って一週間後の夕刻。
執務室で水路工事の進捗報告をまとめていた。
```
【エルウィン辺境領】
忠誠心:61%→68% 生産効率:+34%→+42%
水路工事進捗:42%→61%(予定より15%前倒し)
```
エドガー殿が封書を手に飛び込んでくる。
「領主様! 王都から封書が…差出人は『聖女リアナ様』です!」
「聖女殿下? 王太子殿下の婚約候補の方ですの?」
羊皮紙を開くと、小さな字でびっしり。
***
**「聖女リアナよりリリアベルタ様へ」**
*突然のお手紙、失礼いたします。聖女候補リアナでございます。*
*監査団の報告書で、リリアベルタ様の『八時間労働制』を知りました。*
*領民の皆さんが笑顔で働いている様子に、心から感動いたしました。*
*実は私、王太子殿下の補佐として毎日深夜まで書類仕事です。*
*殿下の『国家再興』を支えるため、睡眠は三時間ほどで…*
*『定時で帰宅』『冠婚葬祭の特別休暇』…そんな夢の世界があるなんて!*
*殿下の『成果盗用』は本当でして…私の聖女祈祷も全て殿下の手柄に…*
*助けてくださいませ。密かに伺いたいのですが…*
*一週間後の夜、王都南門裏手でお待ちしております。*
*リアナ*
***
「監査団の報告書経由でしたか…賢いお方ですわね。」
エドガー殿が頷く。
「聖女殿下も王太子殿下の『残業強要』の被害者でしたか。」
チート起動。封書の真意を解析。
```
【聖女リアナ 心理分析】
忠誠心:王太子3% 改革派支持:87%
目的:王太子離脱+個人的救済 危険度:なし
過労リスク:睡眠不足による倒れ確率72%
```
(私と同じ社畜経験者…助けずにはいられませんわ)
***
**その夜──領民祝宴**
水路工事中間祝い。
松明の下、農民たちが踊り酒を酌み交わす。
子供が駆け寄る。
「領主様! 監査官の人たち、すっごい驚いてたよ!」
「皆さんの笑顔が一番の武器でしたわ。」
エドガー殿に小声で相談する。
「聖女殿下の密会、一週間後ですわね…」
「王太子派の刺客が心配ですな。私も同行を。」
「いえ、女同士の方が話しやすいかと。領地をお願いしますわ。」
農民代表が杯を掲げる。
「次は王都の貴族もホワイト化だ!」
皆の笑顔に決意を固める。
***
**一週間後・王都南門裏手**
フードを被った小柄な少女が震えている。
金髪の聖女リアナ、17歳。目の下のクマが痛々しい。
「リ、リリアベルタ様…本当にお会いいただけて…」
私が微笑んで手を差し出す。
「聖女殿下、お疲れ様です。まずはこれを。
聖女の回復薬ですわ。魔力回復と睡眠補助効果がありますの。」
リアナの目から涙が溢れる。
「毎日深夜まで書類仕事で…殿下は『愛の試練』だと言って…
監査団の報告書で領民の笑顔を知り、羨ましくて…」
私が肩を抱く。
「分かりますわ。私も似た目に遭いました。
『戦力外通告』したのが私ですけど、同じ境遇ですわね。」
リアナが驚く。
「戦力外…通告? 素敵な言葉です!」
「ふふ、『ホワイト改革同盟』を結成しませんこと?
王太子殿下の成果盗用、一緒に暴きますわ。」
月明かりの下、二人の手が固く握られた。
```
【同盟結成】
リリアベルタ×聖女リアナ 信頼度:89%
王太子派離反開始:リアナ離脱→連鎖反応確率76%
```
(第6話 完)




