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第4話 納入馬車を送りましたら「特別監査」のお達しですわ

水路工事が始まって五日目の朝。

領主館門前で、農民代表が汗と笑顔で穀物袋を馬車に積み上げる。


「領主様のおかげで麦踏みが一日早く終わりました!

約束通り、二割増しで納められます!」


チートウィンドウが頼もしい改善を示す。


```

【エルウィン辺境領】

生産効率:+14%→+23% 忠誠心:23%→37%

離職率:76.2%→68.4% 労働満足度:27%→35%

```


(前世の働き方改革より成果出ていますわ…)


私が農民たちに頭を下げる。

「皆さんの頑張りのおかげですわ。ボーナスは今夜支給しますから、

家族でご祝宴をどうぞ。」


「領主様こそ一緒に!」

「残業しないなんて夢みたいです!」


領民の笑顔に胸が熱くなる。


***


**納入馬車見送り後・執務室**


エドガー殿下が羊皮紙を広げる。

「お見事ですな。予定より30分早く出発、品質も上々…王都も驚きます。」


そこへ、門番が血相を変えて飛び込む。

「領主様! 王都から伝令が! 『特別監査官』が来るそうです!」


伝令の羊皮紙には、こう書かれていた。


```

【王立監査院 特別指令】

エルウィン領主リリアベルタ・フォン・エルウィン殿

王太子殿下直々の命令により「特別監査」を実施

改革手法の全開示を命ずる。即刻準備せよ。

```


「…殿下らしい強硬手ですわね。」


エドガー殿が苦笑する。

「二割増し納入を見て、『盗用できないなら潰せ』と?」


チート起動。伝令の裏目的が視界に浮かぶ。


```

【伝令真意解析】

表向き:特別監査

真意:①改革手法強奪②不正摘発(捏造確率87%)

最終目的:「戦力外通告」無効化→リリアベルタ失脚

```


(前世の『成果出した部下の左遷工作』そのまんまですわね)


***


**即席対策会議**


私が羊皮紙に計算を並べる。

「監査対策ですが…まず『開示書』を作りますわ。」


```

【リリアベルタ改革手法開示書】

①八時間労働制(残業禁止・有給年五日)

②成果連動ボーナス制(収穫量比例)

③スキルローテーション研修

④帳簿統一フォーマット

⑤【重要】全施策は「リリアベルタ名義」で公式発表必須

※殿下名義使用時は使用料(生産物十割)請求

```


エドガー殿が目を丸くする。

「第五条の『使用料十割』…見事な毒抜きですな。」


「前回の返答書に『功績明記』を入れ忘れませんよう、

今回は国王陛下と公爵家に副本を事前送付しますわ。」


***


**翌日・監査官来領**


王都から来た監査官三名。皆、王太子派の貴族子弟だ。

リーダー格が嘲笑う。


「エルウィン領主、改革手法を全て開示せよ。

王太子殿下の『緊急食糧増産』に必要だ。」


私が微笑んで開示書を渡す。

「かしこまりましたわ。こちらが全手法です。」


帳簿を見た監査官が顔をしかめる。

「八時間労働? 成果ボーナス? ふざけた改革だな。」


その時、農民代表が堂々と入室。

「監査官殿、水路工事班長でございます。

この改革で納入予定より三割早く終わりました!

王太子様の領地でもお勧めです!」


監査官がたじろぐ。

「農民が勝手に喋るな!」


私が静かに続ける。

「私どもの改革、領民の支持を得ておりますわ。

開示書第五条をご確認くださいませ。殿下名義での使用には、使用料が…」


監査官が開示書を握り潰す。

「貴様! 公爵家と国王に副本を送ったな!」


「ええ、念のためですわ。」


***


**監査終了後・執務室**


エドガー殿が感嘆の息をつく。

「第五条の『使用料十割』…盗用を完璧に封じましたな。」


「前世でも上司に提出書類には必ず『私の名前入れとけ』の一文を隠し入れましたわ。

今回は領民の笑顔が後ろ盾ですもの。」


窓の外では、水路工事が順調に進む。

チートウィンドウが更新された。


```

【エルウィン辺境領】

忠誠心:37%→46% 生産効率:+23%→+29%

監査官評価:敵対→困惑(改革有効性78%認識)

```


「殿下、次はもっと強硬な手を打ちますわね。」

エドガー殿が頷く。「領地直轄化、でしょうか。」


「その時は、領民と共に迎え撃ちますわ。」


(第4話 完)

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