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第3話 王太子殿下の妨害初手:「緊急プロジェクト」をよこせと?


領民集会から翌朝。

執務室でエドガー殿下と就業規則の最終確認中だった。


```

【就業規則 導入効果予測】

離職率:89.7% → 75%(1ヶ月後)

生産効率:+12%(2ヶ月後)

導入コスト:穀物換算3日分

```


(前世なら「コストかかるから却下」でしたけど…

今回は私が決裁権者。最高ですわ)


窓の外では、農民たちが珍しく生き生きと鍬を振るっている。

そこへ、門番が血相を変えて飛び込んできた。


「領主様! 王都から役人たちが…!」


エドガー殿下が封書を広げる。

高圧的な文面が並んでいた。


***


**「王立監査院 臨時指令書」**

リリアベルタ・フォン・エルウィン殿

王太子殿下直轄『緊急食糧増産プロジェクト』の補佐を命ずる。

即刻、王都へ穀物納入せよ。期限は三日後。


***


「…殿下らしい無茶振りですこと。

収穫前の今、穀物在庫は二割もありませんわ。」


エドガー殿がため息をつく。

「殿下の外交交渉が失敗したとかで…穀物貿易が滞り、尻拭いをこちらに。」


(前世でも「成果出してるお前がやれ」と丸投げされましたわね)


チート起動。指令書の裏に隠れた真実が、私の視界に浮かぶ。


```

【指令書真意解析】

・表向き:緊急食糧増産補佐

・真意:リリアベルタの改革ノウハウを王太子側近に盗用させる

・隠し条項:納入量の8割は王太子私邸へ(公金流用)

```


「…ふざけんなって感じですわね。」


思わず本音が漏れる。

エドガー殿が苦笑した。


「『戦力外通告』された令嬢の噂、王都で広まってますな。

殿下、面白くないのでしょう。」


***


**執務室で即席対策会議。**


私が羊皮紙に在庫を書き出す。

「領内穀物:収穫前の二割のみ。全納入は領民飢餓確実ですわ。」


エドガー殿が頷く。

「反発すれば『不忠』の口実になります。殿下らしい罠ですな。」


「いいえ、**三重の罠**ですわ。

①穀物丸投げ→②私の改革手法を盗用→③『私が成果を出した』と殿下が宣伝。

『戦力外通告』を完全無効化する作戦でございます。」


エドガー殿が目を細める。

「しかし、お嬢様なら…何か策をお持ちですな?」


「当然ですとも。

前世…いえ、私の経験から、『上司の無茶振り回避術』を何度も実践してきましたわ。

──**最小限の納入+最大限の成果アピール**戦法です。」


***


**その日の夕刻──返答書作成。**


```

【リリアベルタの返答書】

領主 リリアベルタ・フォン・エルウィン


一、穀物納入について

・領内在庫:収穫前の二割のみ(詳細数値添付)

・全納入は領民飢餓確実につき不可

・領有農地全ての作業加速→五日後に二割増納入を確約


二、緊急食糧増産補佐について

・王太子殿下の補佐は「書面による助言」に限定

・現地派遣は水路工事中断で領民離職率上昇確実につき不可


三、成果報告義務について

・王都公式発表の際、「エルウィン領主リリアベルタの功績」と明記

(領民動機付けのため必須)

```


「完璧ですな。法的に突っ込めず、殿下の盗用意図も封じ込め…」


エドガーが感嘆の声を上げる。

私が付け加える。


「最後に一押しですわ。

この文書の**副本を国王陛下と公爵家に事前送付**。

殿下が何か企んでも、『公衆の面前で約束した』状態にします。」


***


**三日後──納入期限当日。**


王都から来た役人が、馬車ごと穀物袋を受け取る。

領民が飢えずに済むギリギリの量だ。


役人が皮肉っぽく笑う。

「王太子殿下は随分ご不満でしたぜ。

『戦力外通告された女がこれか』と。」


私が微笑む。

「殿下には、**五日後の二割増し**をお届けしますわ。

それが私の『戦力外通告』の成果でございますもの。」


役人は気まずそうに退散。

エドガー殿が肩をすくめる。


「殿下、次はどんな妨害を…?」


窓の外では、水路工事が始まったばかり。

農民たちが、初めて希望を持って鍬を握っていた。


```

【エルウィン辺境領】

離職率:89.7% → 76.2% 忠誠心:12% → 23%

```


「何度でも来ていただきますわ。

毎回、**ホワイト領地の実績**で迎え撃ちますもの。」


──王太子殿下との内政バトルは、まだ始まったばかりだった。


(第3話 完)

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