第20話 国王陛下の召喚「王太子殿下、数字で語り合いましょう」
王都ホワイト試験区の成果から数日後。
王城の謁見室に、再び私が立っていた。
父上ではなく、聖女リアナとエドガーが脇に控える。
玉座の国王レオノール三世が、穏やかだが鋭い視線を向ける。
(ついに……“視察の続き”ですわね)
***
**国王陛下の直球質問**
陛下が、静かに口を開く。
「リリアベルタ嬢。王都ホワイト試験区の報告書は読んだ。
配給遅延が減り、物資廃棄も減ったそうだな。」
深く一礼。
「はい、陛下。八時間制と業務最適化の成果です。
十六時間では、無駄な残業が物資の無駄遣いを生んでおりました。」
陛下の目が細まる。
「王太子の“愛国残業”は無駄だと?」
リアナが緊張で一歩進み出る。
「陛下。私も、王都宮務院で深夜まで働きました。
倒れる同僚を何人も見てきました。」
陛下はリアナをじっと見つめる。
聖女の目の下のクマは、もうほとんど消えていた。
***
**数字で殴るプレゼン──手描き羊皮紙の力**
用意した羊皮紙の束を広げる。
「国王陛下、どうぞご覧くださいませ。」
一枚目:棒人間で描いた業務表。
八時間で従来の一点五倍の配給成果(棒の長さで比較)。
二枚目:全国地図に領ごとの成果棒。
王太子直轄は短く、エルウィン連合は長い。
三枚目:人的損失表。
王太子直轄:離職二割、倒れ一割(赤インクで強調)。
試験区:ゼロ(緑インク)。
陛下が羊皮紙を手に取る。
老いた指が、棒の長さをなぞる。
「離職二割か……王太子直轄の数字だな。」
「はい。王太子殿下の“愛国心”は立派ですが、
支える官僚が壊れては、国が回りません。」
***
**聖女リアナの証言──現場の声**
リアナが勇気を振り絞る。
「陛下。王太子直轄祈祷室では、一日十八時間。
書類も深夜までで……“愛がないのか?”と叱られました。」
陛下の表情が曇る。
「十八時間だと? 聖女にまで……。」
「はい。でも今は八時間祈祷と事務。
祈りの質が上がった気がします。」
エドガーが補足。
「市民の声も集めました。
『配給早くなった』『家族の顔色良くなった』──です。」
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**国王陛下の決断──改革会談開催**
陛下は沈黙した後、口を開く。
「王太子のやり方は、見直す必要があるようだ。」
心の中でステータス確認。
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【国王レオノール三世】
王太子不信:85%→93%
ホワイト改革評価:92%→97%
改革会談確率:98%
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「よって、命ずる。」
声が謁見室に響く。
「近々、王太子アレクシスとリリアベルタ嬢、聖女リアナを交えた
『王国労働改革会談』を開催せよ。
試験区の数字を、王太子にも見せてやれ。」
リアナが涙ぐむ。
「陛下……!」
「泣くな。お前たちの成果だ。」
陛下は微笑んだ。
***
**王太子宮殿の動揺**
王太子宮殿。
アレクシスは側近から報告を受ける。
「殿下……国王陛下から、改革会談の召喚状が。」
羊皮紙を握りつぶす勢いで掴む。
「父上が、私を公の場で……!」
「リリアベルタ嬢と聖女リアナが出席です。」
顔が青ざめる。
「私のやり方を否定する気か……!」
側近が恐る恐る。
「殿下、試験区の数字は確かに……」
「黙れ!」
声に焦りが混じる。
```
【王太子アレクシス】
危機認識:12%→47%
会談敗北予測:+39%
```
***
**改革派の祝杯──リアナの成長**
王城客間。
私とリアナは杯で乾杯。
「改革会談、決定ですわね。」
「はい……! ここまで来るとは。」
リアナの笑顔が力強い。
「リアナ様の証言が決め手でしたわ。」
「リリアベルタ様の数字です。」
エドガーが扉から。
「王太子派の動き活発化。護衛強化します。」
頷き、窓の外を見る。
王都の灯りが明るい。
***
**父上からの伝言──次なる布石**
夜更け。
クロウが手紙を届ける。
「公爵閣下からです。」
『会談準備は任せた。
王太子の“愛国残業”を数字で粉砕しろ。
連合の次の一手も整える。』
手紙を胸に。
(父上。“ブラック上司論破”は得意分野ですわ)
改革会談の火蓋が切って落とされた──。
(第20話 完)




