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第16話 悪役令嬢、王都へ「社畜ムーブは持ち込みませんわ」

王都行きの決定から、わずか三日後。

エルウィン辺境領の城門前には、遠征用の馬車隊が整列していた。


先頭に、公爵家の紋章旗。

すぐ後ろ、私──リリアベルタの専用馬車。

護衛はエドガー率いる精鋭騎士隊。

第二王子密使クロウの黒衣も目立つ。


(前世なら、出張で胃が痛くなりましたわね。

今回は、ブラック上司を“査察”しに行く側ですもの)


***


**父上との出立──ホワイト親子の決意**


出発前。

馬車の前で、父上が短く言う。


「領都の留守は連合諸卿に任せてある。

王都交渉は、私とお前で受け持つぞ。」


「はい、父上。

王太子殿下の“働かせ方”を、しっかり確認してまいりますわ。」


父上が苦笑。

「婚約者に向かって、その言い方はどうかと思うがな。」


「いずれ正式に婚約破棄を申し出ますわ。」


エドガーが咳払いで笑いを誤魔化した。


***


**道中の王都トレンドチェック**


馬車が動き出す。

窓から、新水路沿いの市場が見える。


「リリア様、これが水運路線です。」


エドガーが地図を広げる。

「王都まで、従来より三割早く到着できます。」


「物流早く、労働短く、成果二倍。

……戻りたくなくなりますわね。」


外からクロウの声。

「王都では連合物資絞りで不満高まってます。

“ホワイト側の顔”を見せるだけで、空気変わりますよ。」


「では、王都出張テーマは『見せるホワイト改革』ですわ。」


***


**王都の景色──ブラックとホワイトの境界**


数日後。

王都の城壁が地平線に現れた。


外郭門前、物資不足の荒れた市場。

エルウィン連合刻印の商隊に人だかり。


「……物価、かなり上がってますわね。」


```

【王都市民】

物価不満:83%

王太子支持:32%

ホワイト連合期待:57%

```


(炎上前夜のSNS状態ですわ……)


***


**王都入り──エルウィン令嬢の視線**


城門で兵士が整列。

「エルウィン公爵閣下、リリアベルタ様、ご入城!」


大通りは賑わうが、笑いよりため息が多い。


「リリア様、視線を感じます。」


エドガーが警戒。


ひそひそ声が聞こえる。

「エルウィン家の令嬢だ。」

「八時間で水路完成させたって噂の美人さんか。」

「王太子殿下の婚約者だろう。あのブラックに耐えられるのかよ。」


(噂の広がり方が、早いですわね)


***


**聖女リアナとの再会**


客間に案内され、一息つくと。

庭先から聞き覚えのある声。


「クロウさん、本当に…来てくださったんですね…!」


聖女リアナが、小走りにこちらへ。


「り、リリアベルタ様…!」


「リアナ様。」


顔を見合わせて笑う。


「お互いに……疲れましたわね。」


「ええ、でも来てくださって、ありがとうございます。」


リアナの目の下に薄いクマ。

瞳の奥に、火が宿る。


***


**作戦会議──王都ホワイト会議、開催**


その夜。

王城の一室に、公爵、リリア、エドガー、

リアナ、クロウが集まる。


地図を囲み、報告書が積まれる。


「王都官僚四割が残業拒否。業務ぎりぎり回ってます。」


クロウの報告。


リアナが続ける。

「王太子殿下は『国の愛が足りない』と怒鳴ってますが、

官僚たちは『自分たちが国を守ってる』意識です。」


私は地図を指さす。


「狙うのは──ここですわ。」


「ここ?」


「王都の“見える成果”。

ど真ん中に、“八時間制で回る仕組み”を作ります。

国王陛下と市民の前でお見せすれば、

王太子殿下の十六時間制は言い訳できませんわ。」


父上が口角上げる。

「王都版エルウィン領、か。」


「名付けて──『王都ホワイト試験区』ですわ。」


***


**次回への引き:王太子との初対面前夜**


客間に戻り、ベッドに腰下ろす。


「明日、王太子殿下とのご対面ですね。」


エドガーの慎重な声。


「はい。“ブラック上司”面談は、準備が命ですわ。」


鏡の自分は、生き生き。


(王太子殿下。社畜時代の私とは、もう違いますのよ)


王都の夜景が、不安げに瞬く。


(第16話 完)

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