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第15話 王都反乱の火種「聖女リアナの決起」

水路完成式典から二週間後。

王都では、静かな嵐が吹き始めていた。


国王陛下の視察帰還後、宮廷は微妙な緊張に包まれている。

王太子アレクシスの「働かせ方」が、ついに問われ始めたのだ。


***


**王都・宮務院の日常崩壊**


宮務院の廊下。

いつものように深夜の灯りがともっていた。


ベテラン女性官僚マルコがため息をつく。

「またか…王太子殿下の『愛国残業』命令だ。」


机の上には、山積みの書類。

「明朝までにこれを。国の愛がないのか?」──王太子の直筆メモ。


隣の若い官僚がぼやく。

「エルウィン領では八時間で倍の成果だってのに…」


その言葉に、周囲の視線が集まる。

聖女リアナの書簡が、王都官僚の間で密かに回っていたのだ。


```

【王都官僚心理】

王太子不信:62%→78%

ホワイト改革支持:45%

離反予測:67%

```


***


**聖女リアナの決起──秘密集会**


深夜の祈祷室。

リアナは、数人の信頼できる官僚を招き集めていた。


「皆様…もう、無理ですわよね?」


おどおどした声だが、目は燃えている。


マルコが頷く。

「聖女様。国王陛下の視察後、王太子殿下の命令が苛烈になりました。

『エルウィン領に負けるな』と、残業が倍です。」


リアナは、震える手でメモ帳を広げる。

「これが、エルウィン領の八時間制成果です。

水路完成、連合六領発足…私たちも、真似できるはずですわ。」


若い官僚が声を上げる。

「でも、王太子殿下に逆らったら…」


「国王陛下は、すでにご存知です。

視察で、私たちが正直に申告しましたもの。」


部屋に、重い沈黙が落ちる。

そして──決意の吐息。


「やります。聖女様について。」


リアナの目から、涙がこぼれた。


(リリアベルタ様…今度は、私が動きますわ)


***


**王太子アレクシスの苛立ち**


王太子宮殿。

アレクシスは、苛立たしげに書類を叩きつける。


「父上がエルウィン領を褒めおっただと?

あの女、リリアベルタめ…婚約者たるもの、もっと働かせろ!」


側近が恐る恐る進言。

「殿下、官僚たちの疲弊が…」


「国の愛がないのか!? 王国を思う心はどうした!」


側近は黙って頭を下げる。

内心では、エルウィン領の噂が渦巻いていた。


```

【王太子アレクシス】

統治力:B 残業依存:S

危機認識:12%

婚約破棄リスク:+28%

```


***


**ホワイト派の初手──供給停止の圧力**


王都市場。

連合六領からの織物・穀物が、ぴたりと止まっていた。


商人たちがざわつく。

「エルウィン連合が、供給を絞ってるってよ。」


「理由は? 王太子のブラックだって噂だぜ。」


王都の物価が、じわじわ上昇し始める。


宮廷厨房でも、食材不足。

「これじゃ、祝宴もままならん…」


リアナは祈祷室で、密使クロウから報告を受ける。

「連合の経済圧力、効いております。王都の不満が高まってます。」


リアナは頷く。

「次は、私たち官僚の“小さな抵抗”ですわ。」


***


**官僚たちの小さな反乱**


翌朝の宮務院。

王太子の残業命令書が配られる。


しかし──誰も動かない。


マルコが静かに言う。

「殿下。八時間で終わらせます。以降は、国の愛が尽きました。」


王太子の側近が慌てる。

「何を! 不忠者め!」


だが、周囲の官僚たちが、次々と書類を閉じる。

「国王陛下も、エルウィン領を認められたのです。」


王太子宮殿に、異様な静けさが広がった。


```

【王都宮務院】

残業拒否率:0%→41%

ホワイト支持:61%

国王介入予測:89%

```


***


**リリアベルタへの伝言**


エルウィン領執務室。

密使クロウが、汗だくで駆け込んできた。


「リリアベルタ様! 王都で反乱が始まりました!」


私が微笑む。

「リアナ様の決起ですわね。完璧です。」


父上が笑う。

「次は、王都上京だな。」


エドガーが剣に手をやる。

「護衛を固めましょう。」


私は窓辺で、水路の流れを見つめる。


(王太子殿下。あなたの“愛”は、もう通用しませんわ)


王都の火種は、瞬く間に炎上した。


(第15話 完)

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