表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/27

第14話 水路完成と六領主の宣言「ここからが本番ですわ」

国王陛下ご視察から三日後。

エルウィン辺境領の空は、雲ひとつない青で晴れ渡っていた。


あの張りつめた視察の日から、慌ただしくも充実した三日間だった。

式典の準備、連合六領主との細かい取り決め、領民への告知──

気付けば、時間はあっという間に過ぎていた。


そして今日。

水路完成と、ホワイト貴族連合発足を祝う日がやってきたのだ。


***


**水路完成式典──悪役令嬢の開会宣言**


領主館前の広場には、簡素だがよく磨かれた壇が設けられている。

その向こうには、新しく完成した水路がまっすぐに伸び、

陽光を受けてきらきらと光っていた。


私──リリアベルタ・フォン・エルウィンは、深呼吸をひとつして壇に立つ。


「皆様。エルウィン辺境領の水路工事、これにて正式に完成いたしました。」


わっと歓声が上がる。


「この水路は、わたくし一人の力ではありません。

八時間働き、家族と笑い、そしてもう一度働く力をくれた、

皆さんの知恵と汗の結晶ですわ。」


(前世で、こんな光景が見られるとは思ってもみませんでしたわね)


***


**六領主の一斉宣言──ホワイト貴族連合誕生**


壇の横には、昨日まで会議漬けだった六領主が並んでいた。


林業領ハルトマン伯爵。

織物領ソフィア女侯爵。

牧畜領バルドウィン侯爵。


そして、穀物・鉱山・交通を担う三領の代理人たち。


父上が一歩前に出る。

「ここに、『ホワイト貴族連合』の成立を宣言する。

我ら六領主は、エルウィン領を範として、

八時間労働の改革をそれぞれの領で進めると誓おう。」


ハルトマン伯爵が斧を掲げる。

「残業で潰れかけた職人たちに、もう一度“誇り”を取り戻させる!」


ソフィア女侯爵が絹のハンカチを翻す。

「職人が幸せに織った布こそ、最高の一枚ですもの。」


バルドウィン侯爵が笑う。

「牛も人も、よく食べ、よく眠るのが一番だ!」


領民たちが笑い声と共に拍手を送った。


```

【ホワイト貴族連合】

加盟:6領主正式参加

対象人口:約12万人

王国全体における比率:まだ一部だが、無視できない規模

改革拡大予測:92%

```


***


**悪役令嬢と聖女からのメッセージ**


式典の中盤、第二王子密使クロウが壇上に上がり、書簡を広げた。


「第二王子ユリアン殿下より。」


「『エルウィン領の改革は、王国の新たな模範である。

王太子アレクシスには、民を壊さずに治めるということを学ばせねばなるまい』」


ざわめきが走るが、すぐに力強い拍手に変わる。


続いて、聖女リアナからの書簡。


「『エルウィン領の皆様の笑顔に、わたくしも救われました。

王都でも、少しずつですが、“おかしい”と声を上げる人が増えてきています。


どうか、お互いに倒れないように。

八時間でも結果は出せるのだと、どうかこの国全体に示してくださいませ』」


(リアナ様……必ず、“答え”を見せて差し上げますわ)


***


**エドガーとのささやかな一幕**


式典が一段落し、領民たちが即席の屋台で食事を楽しんでいる頃。

私は壇の陰で、エドガーと肩を並べて水路を眺めていた。


「こうして見ると、本当に……こんな辺境領がここまで変わるとは思えませんね。」


エドガーが、少し茶化すように言う。


「皆さんの力があってこそ、ですわ。

どれだけ無駄に疲れていたか、身にしみて分かっていますもの。」


彼は、空を見上げながら少し真面目な声になる。


「王太子殿下は、これから苦しいでしょう。

自分の“当たり前”が否定されることになります。」


「ええ。でも、それは一度、味わうべき痛みですわ。

私たちはもう二度と、“あの頃”には戻りません。」


水路の水が、さらさらと音を立てて流れていく。

それは、過去から未来への橋渡しの音に思えた。


***


**ここからが本番ですわ──次なる目標へ**


式典の最後に、もう一度壇に上がる。


「皆様。エルウィン領の水路は完成し、

ホワイト貴族連合も生まれました。


ですが──ここが“終わり”ではありません。

ここが、“始まり”ですわ。」


「次は、王太子殿下の“働かせ方”そのものを変えていきます。

十六時間働かないと回らない国ではなく、

八時間で回る仕組みを、王国全体に広げていきましょう。」


「その最前線が、このエルウィン領です。

──皆さん、一緒にやってくださいますわね?」


「おおーっ!!」


三百名を超える声が、空へ突き抜ける。


```

【エルウィン辺境領】

忠誠心:95%→98%

王国全体への改革波及予測:+31%

次アーク開始条件:達成

```


水路のきらめきと、領民の笑顔に包まれながら、

私は静かに決意を新たにした。


(ここからが、本当の“ホワイト改革”の始まりですわ)


(第14話 完/「辺境ホワイト化編」完)


辺境ホワイト化編はここで完結です。ここまで読んでいただき、ありがとうございます。続きを読みたいと思って頂けたら、ぜひ応援、レビューをお願いします。続きを書く励みになりますので。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ