前世の子
掲載日:2025/11/02
許しを乞う 苦しみを祈る
誰も立ち入れないような酷い曇天が
僕ら二人だけを世界に取り残した
遊具は茨の迷路ひとつ
そのせいで僕らはいつも血みどろだった
こんなところに僕を置き去りにして
君は今どこにいるのだろう
疲れ果てて眠る君がいる
奥深く進んだ行き止まり
僕は今も探しているのに
幼い頃の前世では
僕ら手を繋いで夜の砂浜を走った
荒れた天気ばかりでその頃も人はいなかった
冷たい波がくるぶしを掴む
僕は隣を振り向く
黒い潮風が何本も通り過ぎて 僕の手は空を掴んでいた
夢から覚める度
ここは穏やかな午後で子供たちの声がした
(許しを乞う 苦しみを祈る)
今どこかにいる君が
もし真黒な世界に打ちひしがれているのなら
思い出せないような光る過去を
君に送る




