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改訂版 伝説のうさぎ使いって何!?【カクヨム50万PV突破作品】  作者: 山親爺大将


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第106話 遭難

 お父さんお元気ですか?

 俺は、今、遭難しかけてます。


「凄いなぁ、雪って真横に降るんだなぁ」

 なんだろう、寒すぎて寒くないっていう訳わからない感覚になってる。


 今居る場所は北海道の大雪山。

 知らなかったんだけど、山自体がダンジョン化していて、一年中真冬のままだそうだ。


 ランクとしてはSらしいけど、モンスターは出ないし、遭難しそうだし、こんなとこ来る奴ってよっぽどの変わりものだけだろう。


「帰りてぇぇぇぇ!」

 とりあえず今の心境を全力で叫んでみた。


 痛いくらいに寒すぎる!

 こんな場所にいるの嫌すぎる!


 ゴゴゴゴ


 ん?

 ウッソだろ!

 叫んだくらいで雪崩起きるとか、どこのギャグ漫画だよ!


「うわぁぁぁぁぁぁ」

 とにかく全力で走って逃げてみたけど、間に合わない!


「ドン!頼む!」


 ドンがコロと合体して城砦化した状態で装備する。

 これで事実上ドンの中に逃げ込んだ状態になれる。


 ドッドッドッドッドッド


 もの凄い轟音に包まれながら、今まで乗ったどんな絶叫マシンよりもハードな動きを体験した。

 ……

 ……

 ……

「殺す気か!」

 静寂が辺りを包む。


 ゴゴ……ゴゴゴ!

「またか!うぉぉぉぉ」


 学習した。

 ここは大声出すと雪崩が起きるっていうトラップがある!

 そうに違いない!


 どうしよう、雪崩に巻き込まれたせいで、本格的にここがどこか分からなくなってしまった。

 一旦麓に戻って仕切り直しするしかないかぁ。


 ダンジョン化しているので、山の麓まで戻れば、スタート地点に強制的に戻される。

 大雪山に入れる場所は一箇所、見た目は普通の山に見えるが他の場所から入ろうとすると弾かれる。

 逆にダンジョンから出ようとすると入り口に戻るって訳。

 便利って言えば便利。


 どんなに迷っても、麓まで行けば同じ場所に戻れるんだから。


 ただなぁ……。


 ー大雪山入り口ー


 何もない山の登山道に『これよりダンジョン許可なく入るべからず』と書いた看板と無人のプレハブがひとつあるだけの場所。


 何も説明が無く、職員も居ない。

 いったい何に許可を取れといってるんだか。


 プレハブの中には入山台帳なるものがあるが真っ白だ。

 なんか、やる気がなくなるトラップとか踏んだんじゃないかってくらい気持ちが前を向かない。


「こんな所でたった一人は寂しすぎるだろ!」

 たかしでも良いから、誰かいれば気も紛れるんだけどなぁ


 そう思いながらプレハブの小屋のドアを開ける。


「あ、兄貴ー、来ちゃった」

「来ちゃったじゃねぇよう、何してるんだよもう」

 何故かたかしがいた。


「え、でも兄貴今嬉しそうな顔しましたよ」

「してねぇよ! お前向こうで役立たずだから追い出されたのか?」


「違うっすよ、なんかユニークスキル? 生えてきたんすけど、イマイチちゃんと発動しないんで、兄貴と一緒にこっちでなんとかしてもらえって、お姉さんに言われたんす」


「あー確かに、こっちでなんとかしてもらえるように頼む方が可能性高いか」

「らしいっす」


「じゃあ、しょうがないな」

「あと、兄貴一人だと『帰る!』とか言い出してやる気無くしてそうだから、話し相手になってやれってお姉さんに言われたっす」


 お姉さん…天才か!


「でも、ここに居たって合流できるとは限らないじゃないか」

「どうせ一回じゃ辿り着けないから、途中で戻って来るだろうから待ってれば合流できるでしょってお姉さんが言ってたっす」


 お姉さん天才か! パートツー!


「完全に行動読まれてた!」

「という事で、よろしくお願いっす」

「うん、よろしくな、じゃあ行くか」


「オッケーっす、準備万端っす!」


 さっきより、ちょっとだけ前向きな気持ちになった。


お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と少しでも思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さるとありがたいです。


誤字報告いつも助けられてます。


イイねも作者のモチベーション維持になっております。


ありがとうございます。

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