第9回 【絵本】わすれられないおくりもの を考える
第4回のときに絵本・葉っぱのフレディを自分なりに考察したわけだが、身近な人たちから意外なほど高評価をいただいた。元々絵本を読むことは大好きなので、絵本考察をシリーズ化できればネタに困った時の穴埋めにできるというもの。そこで第二弾としてスーザン・バーレイ作『わすれられないおくりもの』を選んだ。この作品も「死」について書かれたものだが、葉っぱのフレディとは切り口が違う。葉っぱのフレディでは死に対する恐怖であったり、死に至るまでの生き方などについて書かれていたが、この作品では死が周りの人たちに与える影響について書かれている。読了後には「本当に絵本なのか?」と深く考えさせられる内容だと感じた。
『わすれられないおくりもの』の主人公は、年老いたアナグマ。自分に死が迫っていることを知っています。けれど死を恐れることはなく、残していく友だちみんなに手紙を書くのだ。
友だちの素晴らしさ、生きるための知恵や工夫を伝えあっていくことの大切さを。心に沁みる感動を残してくれると同時に、この本で子どもたちがいのちの尊さや、周りの人たちを思いやることの大切さに気付くきっかけとなればいいと思う。
小生の思うこの絵本の良いところは、死を迎えるということはどういうことなのか? 亡くなった人とどのように向き合っていけばいいのか? その答えには正解がないからこそ、読み手がそれぞれの立場から、自分なりの角度で、それこそ好きなように読み解いていけるところだと思うのだ。死によって躰はなくなったとしても、大切な人はいつだって心の中に生きているということを教えてくれるということも。
絵本ではあるけれど、小さいお子さんよりも多感な時期を迎えた子どもたちに読ませたいと思うし、むしろ生きることに疲れた大人に読んでほしいと小生は思う。『死』をテーマにした絵本はこの他にもたくさんある。次の機会にも有名な作品を取り上げてみたいと考えている。
小説を読んで感動の涙を流すことには、デトックス効果があると言われているが、時には絵本で人生のあり方を見つめ直すことも大切だと、人生の半分以上を生きた小生は思うのだ。