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散文集(エッセイ的なもの)  作者: 咲田涼人
26/26

第26回 権利と義務の先にあるもの

 2024年を迎えてすでに1ヵ月が過ぎた。前回の投稿からは40日が経とうとしているが、小生にとっては本当にあっという間だった。ネタ的にはあれこれと思うところはあったのだけれど、しばらく創作の方に重点を置いていたせいもあって、久しぶりの投稿となってしまった。まだかまだかと待ち続けていた人がいるとするなら、本当に申し訳ない。


 さて、2024年は元日に大きな地震で能登地方に甚大な被害をもたらし、深夜まで報道でその様子を知り得ることができた。今回の地震で犠牲になられた方には心からお悔やみ申し上げ、また被害を被って今なお避難を余儀なくされている方々にはお見舞いを申し上げたい。

 一方で2日には羽田空港で航空機同士の衝突事故が発生。着陸した日本航空516便と、能登地震の災害支援のため離陸中の海上保安庁の航空機が、滑走路上で衝突した。あれだけ大きな事故でありながら、民間機の乗客に一人の犠牲者もいなかったことは不幸中の幸いと言えよう。しかしこの裏側では日本航空の客室乗務員・パイロットの方々の適切かつ迅速な避難誘導があり、日頃の訓練の賜であったことを付け加えたい。ちなみにではあるが、今回消失した日本航空516便は、エアバス社のA350という最新鋭の機体だった。日本航空では123便以来、38年ぶりの機体全損事故となった。


 さて今回の事故の後、ネット上では事故の原因追求のほか、ペットが貨物として取り扱われ、救助されることなく航空機とともに消失してしまったことに対して、賛否両論様々なコメントが残されていた。さらに某タレントが『国内の航空会社もペットの客室持ち込みを進めるべきだ。日本は遅れている』と声高にSNSに投稿したことで炎上。その後投稿が削除されるといったことがあった。

 小生はペットにアレルギーもないし、正直どちらでも構わない。ただ航空法では『ペットは規定のサイズのケースに入れたうえで”手荷物“として扱う』ことになっている。そもそも基本的に手荷物は一人一つしか機内に持ち込めないわけで、自身の荷物(小さなバッグ類)をとるかペットをとるかの選択になる。

 さらに今回のような事故に遭遇すれば、手荷物を持参しての避難すら航空法で禁止されているのだから、乱暴な言い方をすれば、ペットは貨物室で絶命するか、客室で絶命するかしかないのだ。緊急時にペットを置いていかざるを得ない状況で飼い主側が躊躇し、他の乗客の避難に少しでも影響が出るのであれば、小生はペットを機内に持ち込むことは適切ではないと思う。

 本当にペットを家族のように想い、大切だと思うのであれば、旅行や移動の際にはペットホテルなどに預けることの方がペットにとっては幸せなのかも知れないと思う。


 今回の能登地震においても、大切な人やそれこそペットを亡くした人たちが大勢いることであろう。その悲しみは幾許のものであろうかと想像に難くないが、遺された者には生きる義務があるし、先立った人たちを思い出してあげられるのは自分だけなんだという自覚を持って生きてほしいと思う。

 現地の復興にはとてつもない時間がかかりそうだ。でも、神戸も福島もあの頃のまま止まっているわけではない。いつか笑えるその日まで、前を向いて生きてほしい。


 事故で亡くなったペットには生きる権利があった。地震で命を落としてしまった人たちも同じ様に生きる権利があった。しかし遺された人々には自死する権利はおろか、生きる義務しか残されてはいない。何故か……?

 それは生き続けた先の当事者にしかわからないのだろう。

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