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ゼロ距離カノジョと祓魔師への道  作者: 詩永あえし
第二章 『祓魔師』とカノジョ
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41話

 僕はシアさんに、これから行う事を説明し、起こりえる事態についても、説明をした。

 カノジョは、納得してくれた様子だったのだが、「でもー」と言ってくる。


「本当に良いの?」


 シアさんは、僕に確認を取るように聞いてきたのだ。

 カノジョの言い分はこうである。

『祓魔師』の力と『エクソシスト』の力を掛け合わせる。

 それは、僕もシアさんも初めての試みだ。上手くいく保証など無い。


「それでも、やってみます」


 するとシアさんは、優しく僕の頭を撫で始める。


「アオイそこまで言うなら、きっと上手くいくヨ。もしもの時があっても、ワタクシはアオイを絶対に恨んだりはしないネ! だから安心して欲しいネ!」

「……はい。シアさん、よろしくお願いします」


 シアさんから渡された、二丁の銃。

 それらは白金の弾薬が装填された状態で、僕の手に収まっている。

 僕は、銃に対して力を込める。

 すると僕から発せられる力に反応し、二丁の銃は、光り輝く白銀へと変貌を遂げた。

 これが、今、僕が持っている力の全てだ。


「シアさん、銃を手にしてみて下さい。恐らく、分かるはずです」

「分かったネ」


 カノジョは、リボルバーを握りしめ、片方の手で銃身に触れる。


「温かい……、とても優しい温もりを感じるヨ」

「そうですか。良かった」


 シアさんは、目を閉じ、深呼吸をする。


「うん。間違いないネ」


 目を開き、彼女は力強く答えた。

 その言葉を聞いた瞬間。僕の胸の中に熱いものが込み上げてくる。


「アオイ、ありがとネー。ワタクシの為にここまでしてくれて……、嬉しいヨ」


 シアさんは、僕の手をそっと握る。


「僕の大切な人達を守りたいだけです。シアさんも含めて」

「こういう時は、ワタクシの為にって言うべきだヨ? まぁ、そこがまた可愛らしいんだけどネ」

「あははっ、ごめんなさい」

「ルイー! アナタも同じ事をして貰えた経験が、アリマスカー?」

「もちろん、あるよ!」

「その時の気分は、どんな感じだったネー?」

「最高だよ!」

「ベリーグッド! ワタクシも同じ気持ちデス! 行ってくるネ!」

「はいっ!」


 両手に銃を握りしめたシアさんは、僕に向かって親指を立てる。

 そして、用意した足場を使って、中洲の鴉天狗達の元へと飛び立った。


 ――――――


「お待たせしたネ。さて、始めましょうカ」


 中洲の鴉天狗の目の前に立つと、視線が私に集中したのを確認してから、ゆっくりと息を吐き、集中する。


「……行くヨー!!」


 ワタクシは、声を上げて鴉天狗に向けて、左右の銃を発砲。

 銃弾は、真っ直ぐに飛び、鴉天狗の頭部に命中……するはずだったのに、直前で何か見えない壁に弾かれてしまった。


「これは……アオイに飛ばした羽根かナ? ……本当に忌々しい」


 私は、更に攻撃を続けるべく、引き金を引く。

 しかし、先程と同様に、翼の羽根に阻まれてしまう。


「やはり、簡単ではないみたいだネー」


 私が放った弾丸は、鴉天狗の手前で止まり、地面へと落ちていく。


「……」

「黙っていても何も始まらないネ。これだけ大人しくしていて、何も無いなんて事はないでショ?」


 ワタクシの問いかけに対して、ようやく表情を崩し、ニヤリと笑う。

 本能的に恐怖を感じている。

 けれど、ここで退くわけにはいかない。

 何故ならば、ワタクシの後ろには、大好きな人がいるのだから。

 その人が託してくれた力を、ワタクシは信じる。


 突如、耳鳴りのような音が響き渡り、思わず顔をしかめる。

 それはまるで、頭の中で直接鳴っているような感覚であった。

 しかし、それはすぐに止み、瞬きをした瞬間、鴉天狗の数が増え、ワタクシを取り囲むようにして立っていた。


「シアさん! 今向かい……」

「ダメ! 皆さんは身を低くして伏せていて下さい!! 危ないデース!」


 アオイが、こちらに向かおうとしているのが見えた為、咄嵯に叫び制止させる。

 本来なら彼の行動は正しく、とても嬉しい事なのだけれど、今回ばかりは誰にも邪魔をされたくなかった。


「か弱い乙女を取り囲んで、何もしないつもりデスカー? それならこちらから始めちゃうネー!」


 ワタクシは、両手に持った拳銃のトリガーを引き、銃弾を放つ。

 両手に持っていた武器を交差させ、そのまま身体を回転させながら放つ。

 放たれた銃弾は、弧を描きながら、中洲にいる鴉天狗達に襲いかかった。


「グギャァア!?」

「ギィイイッ」


 ワタクシの攻撃を受けた者達は、悲痛な鳴き声を上げ、倒れ込む。


「まだ終わらナイヨ!」


 続けて、次の標的に狙いを定め、射撃を行う。


「所詮、作り物の命。ワタクシの敵じゃないネ」


 ワタクシの攻撃により、数体の鴉天狗達が倒れる。

 残る数は、十数体といったところだろう。

 リボルバーの残弾は、一発。ライフルも残り数発だ。

 それに気が付いたのか、鴉天狗達が一斉にワタクシを襲い掛かる。


「ふぅー、人気者は辛いネー」


 ワタクシは、深く息を吐き出すと、意識を切り替える。


「少しだけ本気にさせてあげるヨ!」


 リボルバーを構え、正面から襲い掛かってきた一体の胴体に照準を合わせ、引き金を引く。

 これでリボルバーの残弾は、ゼロ。

 本来ならこうなる前にリロードをしておきたいのだが、そんな隙を与えてくれるほど、甘くないだろう。

 錫杖を持った者が、私の死角から攻撃を仕掛けてきた。

 弾切れを起こしたのだから、正しい判断と言える。

 だが、残念だったね。


「悪いけど、今のワタクシは、リロードをする必要が無いネ!!」


 残弾がゼロになったリボルバーの引き金を引けば、銃声が響き渡る。

 手にしているライフルは、薬莢を外へ排出する目的もあるので、この銃特有のレバーアクションを行う必要性がある。

 撃つ度にかかるひと手間が、煩わしいと感じる時もあったけれど、今はこの手間と音が、最高に気に入っている。

 アオイから借りた力を利用して、ワタクシは、祈りも念じる事もせず、ただ、自分の意思でこの現象を引き起こした。

 この銃には、ワタクシとアオイの想いが詰まってる。


「さぁ、ここからが本番ダヨ」


 ワタクシは、不敵に笑い、新たな銃を構える。

 銃口が火を吹き、相手が地に伏せ、消滅していく音だけが響く。


「アオイから貰った力がある限り、ワタクシは負ける気がしないネ」


 銃口から煙が立ち上ぼり、硝煙の匂いが鼻腔を刺激する。

 時折、羽根がワタクシ目掛けて飛んでくるのだが、今のワタクシにとって、脅威ではなかった。

 相手の攻撃を紙一重で避けつつ、的確に引き金を引いていく。


「ワタクシの大切な人を傷つけようとする輩は、誰であろうと許さない。後ろは、絶対に通させないヨ」


 腰を深く落とし、片足を伸ばした状態で、ある一点にライフルの銃口を向け、発砲。


「グギャァァ!!」


 空を飛んで逃げようとでもしたのだろうか、ワタクシは容赦無く撃ち、断末魔の叫びと共に、"穢れ"は地面に落下する。


「ワタクシは、まだまだ未熟者デスガ、アオイの為ならば、これくらいの事は出来るのデス!」

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