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ゼロ距離カノジョと祓魔師への道  作者: 詩永あえし
第二章 『祓魔師』とカノジョ
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27話

 シアさんとの懇親会から数日後、無慈悲にも夏休みを前にして、抜き打ち学力テストが行われる。

 その為、こうして放課後の部室で勉強を行っているのだ。


「直前とはいえ、予告をしているだけ良いと思うべきかな?」

「アタシはもうダメだぁ。諦めよう」


 佐久穂さんは既に机の上で突っ伏しており、やる気が完全に失せているようだ。

 こうなったカノジョは、何をしても動かない事は分かっている為、僕は諦めて自分の課題に取り掛かる事にした。


「あぁ……もう無理ぃ」

「やれば出来る人がそんな事を言わずに。ほら、頑張りましょうよ。」

「そんなこと言われてもぉ」


 机に伏せてだらける佐久穂さん。制服から覗く肌は白く、艶やかな髪がサラリと流れる。

 とはいえ、僕も問題集を解き進めているものの、集中力が切れ始めてきた頃合いである。

 そんな時であった。開けられたままの扉からノックの音が聞こえてくる。


「二人共、頑張っているか?」

「あっ、とーみセンセー! クーラーのリモコンはー?」

「授業時間外の使用は、原則禁止だ」


「ぶーぶー!」と不満の声を上げる佐久間さんに対して東御先生は、呆れ気味にため息をつく。


「後で冷たい物を奢ってやるから、それで我慢しろ」

「やったぜ! センセー大好きっ!」

「現金な奴め」


 東御先生は、苦笑いを浮かべながら呟いた。

 その時、最近では見慣れた修道服を着た人物の姿が視界に入る。


「あれ、シアさんですか?」

「二人共、こんにちわネー」

「シアじゃん! 学園に来るなんて初めてだよね!?」


 佐久穂さんは椅子から立ち上がると、シアさんの元へ駆け寄って行った。


「ハイ。普段は、ミスズやユーコと一緒なのですが、今日は別行動デス。確か日本では、『カワイイ子には旅をさせろ』と言うのでしたか?」

「意味は少し違うが、言葉が出てくるとは。やはり君は優秀なのだと実感させられる」

「ありがとう、レイ。これもルイと沢山お喋りをしていた成果デス」

「道理で佐久穂の欠伸をする姿を、よく見かけると思ったら……」

「……えへへ」


 佐久穂さんが照れたように笑うと、東御先生は呆れた様な表情を見せる。

 しかし、すぐにいつもの表情に戻ると、シアさんに向かって話しかけ始めた。


「しかし、また突然だねー? 昨日、お喋りをしていた時には、明日来るなんて言ってなかったよね?」

「はい。ちょっとしたサプライズデース。ミスズとレイには、事前にお願いをしていました。ご迷惑をおかけしましたか?」


 シアさんは申し訳なさそうな表情を見せるも、佐久穂さんも東御先生はすぐに首を横に振って否定する。

 するとカノジョは安心をしたのか表情を和らげた後に、「実はですね―……」と話し始めるのだった。


「ルイから、アオイを少しお借りしたいと思いまして」

「特に瑠衣のモノでは無いのですが……僕をですか?」

「ハイ。もしよろしければ、ワタクシと一緒に来てもらえませんか?」

「それは構いませんが、見回りが……」


 そう言いかけたところで口を閉ざす僕に対して、シアさんは優しく笑みを向けてくれると口を開く。


「"穢れ"の事なら心配いらないデスヨ。オミムーやユーコにお願いして対応してもらう事ができましたから」

「オミムー? 麻績村さんのことかな?」

「名前の発音が難しいですからネ。ユーコに相談したらこれで良いと教えてくれました。本人からも許可済みですネー」

「あーうん。オミーだったら、確かにあり得るかも」


 佐久穂さんは納得するかのように何度か小さく首肯する。

 すると、東御先生は何かを思い出したかの様に声を漏らすと、腕を組みながら話し始めた。


「彼には、何度か手合わせをお願いされたな。『俺がどれだけ強くなっているか試してみたい』とか言っていた気がするが……」


 その言葉を聞いた僕達は、顔を見合わせると、思わず黙り込んでしまう。


 ――――――


 集中力が切れ始めたタイミングと、シアさんが訪れたという事もあり、本日は解散となった。

 佐久穂さんは、僕をジッと見ていたが、「それじゃあねぇ~」「ばいばいっ!」と手をひらつかせて去って行くと、先に部室から出て行ってしまう。

 東御先生は、佐久穂さんが出て行ってから数秒程の間を置いてから、こちらに視線を向けて来た。


「彼女なりに気を遣ったのだろう。では、私もそろそろ行こう。佐久穂に奢ってやると約束もしたからな。戸締まりは頼んだぞ」

「分かりました」


「ふっ」と小さな吐息を零しながら、東御先生は立ち去る。

 図らずしも、この場に残ったのは、僕とシアさんの二人だけであった。


「それじゃ僕達も移動しましょうか」

「アオイがよければ、もう少しここの学園を探索してもよろしいネ?」

「東御先生と一緒に来られたのなら、大丈夫かな? それなら簡単に学園内を案内しますよ」

「はいデスー」


 シアさんは、嬉しそうに返事をしてくれると、僕の隣に立って歩き出すのだった。

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