26話
シアさんは、銀の弾薬を生成した後、使用している銃についても、詳しく教えてくれた。
「こちらは、過去にイギリスで使用されていたリボルバーデス。装弾数は六発になりマス」
僕達に見せるように、円卓の上に一丁の拳銃を置く。
その形状は、全体的に丸みを帯びた印象を受けるものであった。
「なんだか思っていたよりも、小さくてカワイイね!」
「なるほど。これはなかなか趣のあるデザインだね。だが、今はもう使われていないのかい?」
美鈴さんは、シアさんから許可を貰い、銃身を撫でたりしながら質問を投げかける。
「ハイ。ワタクシが生まれる前ニ、使用されていまシタ。今では生産されていないのデ、骨董品のような扱いになっていマス」
「そうなのか。しかし、どうしてこの銃を?」
「ワタクシが最初に生成する事が出来た弾薬ヲ、使用出来たのガ、こちらだったのデス」
「なるほど。形状も関係していたか。いやはや、日本にいると銃に触れる機会なんて無いからねぇ」
美鈴さんは、シアさんの説明を聞いて納得する。
「あれ? そうなるともう一つの形をした方って、これじゃ撃てないよね? 他にも銃があるって事なのかな? シア?」
佐久穂さんは、不思議そうな顔をしながら首を傾げる。
すると、シアさんは微笑みながら口を開いた。
「そちらハ、ライフルと呼ばれていマス。リボルバーの物よりも精密射撃が可能デ、射程距離も優れていマス。"ケガレ"に対して距離を取れるので有効だと思ワレますネ。ただ、少々取り扱いが難しいのデスガ……」
シアさんは困ったような笑みを見せるも、「それでもワタクシには、必要な力だと思いまス」と言ってくれた。
自分の足元を見つめ、何かを持ち上げる仕草。円卓の上に、一つのケースが乗せられた。
ゆっくりとシアさんが蓋を開けると、中には先程の銃よりも砲身が長く、木目が目立つライフルが入っていた。
カノジョはそれを持ち上げると、美鈴さんに手渡す。美鈴さんは、慎重に受け取ると色々な方向から観察し始めた。
佐久穂さんも気になったのか、美鈴さんの隣まで歩いて行くと彼女の肩越しに覗き込んでいる。
「へぇ~! なんかカッコいい形をしてるんだね!!」
「そうだねぇ。スラっとしていて綺麗な形をしていると思うよ」
「ハイ。ワタクシも初めて見た時は驚きまシタ。でも、とても美しいデス。特に、引き金の部分トカ」
「うん! 私もそこは好きかも。なんだろう……こう、上手く言えないんだけど、惹かれちゃうっていうかさ」
美鈴さんから手渡されたライフルの木目部分を持ちながら、ポーズを取る佐久穂さん。
カノジョはそのまま、クルリとその場で回転してみせると、楽しそうに言葉を続ける。
なんというか、何をさせても、何を持たせても、様になるものだから感心してしまう。
(佐久穂さんのこういう所が羨ましいんだよなぁ)
カノジョはきっと何も考えていない。だからこそ、自然体のまま振る舞えるのだ。
それが、極まれに困る事もあるのだが、それ以上に尊敬できる点の方が圧倒的に多い。
「こうやって見ると、本当によく出来てるなって思うなっ!」
「危険を冒しているわけだしね。それだけに、やりがいもあるんじゃないかな」
「それもそっか。まだまだ知らない事が多いなぁ」
「焦る必要は無いさ。これからゆっくりと知っていく事も必要さ」
佐久穂さんと美鈴さんが、笑顔を浮かべながら会話をしている。
その様子は、傍から見ていても仲が良い姉妹のように思えた。
シアさんに視線を向ければ、カノジョもまた二人の様子を優しい眼差しで見守っていた。
「射撃場があれバ、もっと色々とお見せできマスが……」
「いやいや、これだけの物が見れただけでも十分だよ。ありがとう」
美鈴さんは、シアさんに礼を言うと、銃を元の場所に戻す。
その後、カノジョの経験談からアドバイスを貰ったり、僕達の話を聞いてもらったりと、とても有意義な時間を過ごしたのであった。




