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ゼロ距離カノジョと祓魔師への道  作者: 詩永あえし
第二章 『祓魔師』とカノジョ
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25話

 カノジョの疑問点は、僕も気になっていた。

 僕達が使用する武器でさえ、包み袋で隠された状態であり、持ち歩く際にも、事前に申請をして許可を得る必要があるのだ。


「確かに、日本の法律では、基本的に拳銃やライフルなどの火器類の所持や使用は禁止されている。それは、私達『祓魔課』にも適応されているのだが、例外が存在する」

「例外ですか?」

「シアの能力が、銀の弾薬を作り出す能力だから?」

「正解だ。力を持つ貴重な『祓魔師』であり、今回は、各国を代表して来日したということ、特にイギリスから強い要望もあり、特別措置として許可されたんだよ」

「なるほど。それで、シアさんは銃の所持と使用を許可されているんですね」

「はいはーい! シアの力、アタシ見たいな!」


 佐久穂さんが、元気よく挙手をする。


「アレクシアちゃん、拒否するのも選択肢の一つだぞ? 無理に力を見せる必要はないからな?」


 美鈴さんが、佐久穂さんにやんわりと注意を促す。


「ノープロブレム。ワタクシの力を、皆サンに知ってもらいたいデス」

「……そうか。では、よろしくお願いするよ」


 美鈴さんは、少しばかり考え込んだ様子を見せるも、すぐに気持ちを切り替えると、シアさんに向き直る。

 シアさんは、やる気に満ちた表情を浮かべると、胸の前で小さくガッツポーズを取った。


「それじゃあ早速、見せてもらうとしようか」


 美鈴さんは、シアさんに合図を送る。すると、カノジョは目を閉じ、集中するように息を吐いた。

 両手は、祈りを捧げるように組まれており、その指先からは淡い光が漏れ出し始めた。

 光はカノジョの周囲を照らすように広がっていく。それはまるで蛍のように美しい光景であった。

 やがて光は次第に形を成していき、銀色に輝く弾薬へと姿を変えていく。

 それは徐々に大きくなりながら宙に浮かび上がると、シアさんの手に収まるように移動していった。


(これがシアさんの能力……)


 僕は、目の前で起きた出来事に驚きながらも、どこか納得したような気分になる。

 この力は、僕が扱う"穢れ"の浄化の力と同じ類のものだと、漠然と感じ取っていたからだ。

 シアさんは、銀弾を握りしめながら目を開く。その瞳には、決意のような意思が込められていた。


『アレクシア・オタリーの名の下に、神よ、我が願いを聞き届け給え。汝の弾薬は、災厄を打ち砕く希望の一撃なり。我は願う。悪しき存在を滅す聖なる加護を。今ここに顕現せよ』


 カノジョが詠唱を終えると、銀の銃弾は眩しい輝きを放ち始める。

 それはとても美しく、思わず見惚れてしまう程に幻想的な姿であった。


 ――――――


 しばらくして、シアさんはゆっくりと瞼を持ち上げると、形状が違う二種類の銀色の弾薬を、円卓の上に置いた。

 僕は、円卓の上に置かれた弾薬を、まじまじと見つめる。


「よければドウゾ。手に取って確かめてくだサイ」

「ふわぁ……。凄い、キラキラしてる」

「うーむ。話には聞いていたが、実物を拝ませてもらえるとは。感慨深いものがあるな」


 佐久穂さんは、銀色の弾薬を見つめながら感動しているようだ。

 美鈴さんも同様に、興味深げに呟きながら銀色の弾薬を手に取ると、様々な角度から眺め回す。

 カノジョは、そんな美鈴さんの様子を確認すると、今度は僕の方へ視線を向ける。


「ねえ、アオイは触ってみないの? さっきからずっと見てばっかりだけど」

「シアさんの力で生まれた物に、僕が触れたら、何かが起きそうで怖いんですよ」

「大丈夫だよ。ほらっ」


 佐久穂さんは、僕に向かって手を伸ばすと、二つの弾薬を手渡してくれた。

 それを受け取り、僕の手の中に納まった瞬間、銀色の弾薬は、淡い光の粒子となって消えていった。


「……すみません、消えてしまいました」

「キミはまた、不思議な事をしてくれるね。好奇心が疼いて仕方がないよ」


 美鈴さんは、笑いながら僕の顔を覗き込むようにして話しかけてくる。

 僕は、シアさんに対して申し訳なさを感じつつ、素直に謝罪の言葉を口にした。


「ごめんなさい。まさか、こんな事になるとは思っていませんでした」

「気にしないで下サイ。ワタクシも始めての事でしたカラ。それに、皆さんに、ワタシの力が少しでも伝わったなら、嬉しいですヨ」


 シアさんは、優しく僕達に語り掛けてくれる。

 僕は、自分の手のひらを見つめながら、改めて自分が起こした現象について考える。

 何故、僕が手にした銀の弾薬は消えたのだろうか。

 あの時、僕は確かに感じていた。自分の中から、誰かに引っ張られる様な感覚があったのだ。

 しかし、その正体が分からない。


「どうしたのアオイ?」

「いえ、何でもありません」


 佐久穂さんが心配そうな表情を浮かべて、僕の様子を窺ってくる。

 僕は、笑顔を取り繕いながら、カノジョに返事をした。

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