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ゼロ距離カノジョと祓魔師への道  作者: 詩永あえし
第二章 『祓魔師』とカノジョ
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24話

 昨日の今日という理由もあるのだろうか、本日はセンサーの取り付け等の予定はなく、佐久穂さんとイオのお散歩をするだけとなった。

 予定されていた見回りの時間を終え、僕達は『第一次』へと向かった。

 辿り着いた時に、丁度そこで、麻績村さんと小海さんと遭遇する。

 僕達が挨拶の為に声を掛けるよりも早く、二人がこちらに気づき、近寄って来た麻績村さんは、問答無用で僕の頭を撫でまわしてきた。


「立科君、話は所長から聞いてるぞ。よくやったな! 俺はお前を誇りに思うよ」

「ちょっ、やめっ、やめて下さいよ! 嬉しいですけど恥ずかしいじゃないですか!」

「照れるな照れるな。ほら、佐久穂君もこっちに寄りたまえ、褒めよ称えよ……」

「セクハラですよ、麻績村さん。佐久穂さんは、わたくしが慰めて差し上げますので、少し離れてもらえますか?」


 小海さんはそう発言すると、佐久穂さんを抱き寄せて、優しく包み込む様に抱きしめるのであった。


「二人が無事で、本当に良かったわ……」

「ゆーこさん、心配かけてごめんなさい」

「いいの。貴方達は、自分の仕事を全うしただけですもの。謝る事なんて何もないの。むしろ誇るべき事なんだから」


 彼女の言葉を聞き、佐久穂さんは、安心した表情を見せていた。

 しばらくの間、二人から為すがままにされていた僕達であったが、落ち着いたのかようやく解放されたのだ。


「すまんすまん。可愛い後輩が活躍していると聞いたら、つい」

「その点については同意しますわ。麻績村さん」

「相変わらず辛辣だな。でも、それが心地よいと思う俺がいる。何故なら小海君も俺の可愛いこうは……」

「その話は結構です。もう耳にタコが出来るほど聞きましたし」

「そうだっけ? まぁ、気にしないでくれ」


 小海さんからの抗議もなんのその。麻績村さんは、悪びれる様子もなく笑みを浮かべている。


「おお、そうだ。これから二人は、オタリー君と親睦会をするんだったな。引き止めてすまなかった」

「いえ、僕達もそろそろ行こうと思っていたところなので」

「そうか。俺達は先に彼女と会って来たが、二人が会う時は驚くぞ? 楽しみにしていろ」

「よく分かりませんが、了解しました。それでは、行ってらっしゃい。気を付けて」

「……おう」

「後輩に気を遣われて照れてるのですか? 柄でもない」

「うるへー! 仲間が出来た喜びを噛み締めてるんだよ! じゃあな!」


 そう言い残して、麻績村さんと小海さんは、見回りの為に去って行った。


 ――――――


 美鈴さんから指定された部屋の前に到着した僕達は、ドアをノックする。

 中から返事があり、扉を開けると、そこには美鈴さんとオタリーさんの姿があった。

 僕達の姿を視界に捉えたカノジョは、こちらに駆け寄り、一呼吸した後、口を開く。


「アオイ、ルイ、良く来てくれたネ、歓迎するネ」


 オタリーさんの言葉遣いに、僕達の頭の中では、ハテナマークが浮かびあがる。

 しかし、カノジョは特に気にした様子もなく、部屋の中に招き入れてくれる。

 室内は、円卓と椅子が置かれており、そこへ僕達は、各々椅子へと腰掛ける。


「オタリーさん、その喋り方はどうしたんですか?」

「ミスズと言葉の意味と解釈について話し合った結果、この口調が本来のワタクシに近いという結論に至ったネ」

「なるほど」

「だが、問題もあるネ」

「どんな問題があるのさ、シア?」

「……ニホンゴに不慣れなせいデ、コレぐらいしカ、喋れまセン」


 再びカタコトになるオタリーさん。彼女は、申し訳なさそうにそう言うのだ。


「そんなの気にしなくても大丈夫だって! アタシ達と意思疎通をする為に言葉を覚えてくれたんだからさ!」

「瑠衣の言うとおりです。僕達も頑張って英語を覚えないと」

「ソウデスカー? でしたラ、お互いに協力して覚えるのモ、一つの手デスネ!」


 彼女は嬉しそうな表情を見せると、大きく深呼吸をした。


「改めテ。初めましテ、皆サン。ワタクシはイギリスよりやって参りマシタ、アレクシア・オタリーと申しマス。どうゾ、お気軽にシアとお呼び下サイ」

「よろしくね! シア!」

「よろしくお願いします。オタリーさん」

「アオイ? ワタクシを名前デ呼んでくれないのデスカ?」

「えっと、オタリー……さん?」

「ノンノン。もっとフレンドリーに」

「……アレクシアさん?」

「グッド。その調子デス。さあドウゾ!」

「……シアさんで許して下さい」

「ハイ! とても嬉しいデス! アオイさん!」


 僕等のやり取りに、佐久穂さんと美鈴さんは、どこかおかしそうに笑っていた。


 ――――――


 僕達四人は、円卓を囲むようにして座っている。


「さてさて、場があたたまったところで、昨日のおさらいといこうか。出現した人の言葉を使用する"穢れ"についてだ」


 美鈴さんが、タブレットを使用しながら僕達に話を始める。


「キミ達の報告と、第二部隊が現地で調査を行い、分かった事がある。あの個体は、過去の報告例とは、全く異なる存在である事が明らかとなった」

「異なる存在?」


 僕の問い掛けに、美鈴さんが答える。


「ああ。いままで現れた"穢れ"は、全身が黒い靄に包まれており、言葉を話す事もなければ、不の感情以外は表現を行う事もなかった。それは間違いないな?」

「はい。僕達が対峙したのは、無言のままか、唸り声を発する程度でした」

「そうだ。それが、今回観測された個体は、大きさこそ違えど、人間と遜色のない姿をしており、その外見は、黒だけでなく、赤が混ざり込むように変化している」

「赤い……」


 佐久穂さんが、不安そうな面持ちで呟く。


「今までの中で、一番禍々しい雰囲気だったよね……」

「そうですね……でも、僕達は戦い、勝利する事が出来ました。最後の最後で僕が油断してしまったのは、反省すべき点ですが」

「あの時、アオイの動きが止まった理由って、何かあるの? やっぱり怪我とかしてるんじゃ!?」

「大丈夫ですよ。"穢れ"浄化した際に、痛みは無くなりましたから」

「不思議デスネ。"ケガレ"を浄化すると、傷も癒えるナンテ」

「僕にも詳しい事は分かりませんが、今のところ身体に異常は見当たらないので、心配はいらないと思いますよ」


 僕は、二人に心配を掛けないようにと笑顔を作る。


「それならいいんだけど……。って、あああ!! そういえばアタシの薙刀が、また壊れちゃったよ!!」


 佐久穂さんは、自身の得物である薙刀を円卓の上に置くと、悲痛な叫びを上げる。


「あの個体は、随分と頑丈な相手でしたからね。仕方ありませんよ」

「でもでも! アタシが弱いせいで、せっかく直してもらったばかりの武器が壊れてしまったのは事実だし……」

「瑠依、あまり自分を責めないでください。瑠衣は十分に強いですから」

「はあ……いっそうの事、アタシもシアみたいに、銃を使ってバンバン!! ……って、そういえば、何でシアは、銃を使ってもいいの? 日本だとダメって前に伯母さんが言ってたけれど」


 佐久穂さんは、疑問に思ったのか、美鈴さんに質問を投げかけた。

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