23話
「ほうほう。アオイは、シアの言葉がどーしても気になって仕方がなくて、美鈴叔母さんに相談をしたと?」
登校中に再度、佐久穂さんへ先程の件について説明をしていくと、カノジョはニヤついた表情で見つめてくる。
「はい。どうしても、オタリーさんが発した言葉の意味を知りたくて」
「なーるほどねー。でも、アタシは、シアと友達になったから相談したくても出来ず、悩んでしまったと言う訳かー」
「その通りです。申し訳ありませんでした」
「別に怒ってるわけじゃないよ? ただ、それでも叔母さんより先に、相談してほしかったなーっていうのが、アタシの本音です! 嫉妬です! これでチャラにしよっ?」
佐久穂さんは、僕の手を取りギュッと握りしめてきた。その温もりが嬉しくもあり、恥ずかしくもある。
「分かりました。では、この話は終わり……の前に一つだけ」
「ん? なになに?」
「本日の見回りが終わり次第、美鈴さんが仲介となって、僕とオタリーさんの交流を深めようとして下さるのですが、瑠衣も来ませんか? 来てくれますよね? むしろ来てください! お願いします!!」
僕は必死の形相で懇願をする。
「えー、どうしようかなー?」
「お願いします! 僕も自分なりに頑張りますから!」
「しょうがないなー。シアの連絡先も知りたいし、アオイがそこまで言うなら行ってあげないこともないかにゃー?」
「本当ですか! ありがとうございます!」
「そのかわり、ちゃんとシアと仲良くなるんだよ?」
「はい! 任せてください!」
「お、おぅ……随分とやる気だね。シアが羨ましく感じる反面、ちょっと引くぜい……」
「えぇ!?」
佐久穂さんが、僕のテンションの高さに引いている中、僕達は学園へ到着する。
――――――
授業を終えてから、部室でミーティングを行い、見回りの準備を始める。
壁に寄りかかりながら、こちらを見つめている東御先生の姿。
先程まで、僕と佐久穂さんは、昨日の一件について東御先生に褒められまくっていたのだ。
「二人共よくやったぞ。話を聞いた限りでも、佐久穂は佐久穂らしく、立科は立科のやり方で、しっかりと任務を遂行した様だな。これからも、二人で協力して頑張っていく様に。イオは、引き続き二人のサポートを頼む。それぞれ足りない部分を補っていくんだ」
『はいっ!』
「うむ。良い返事だ。さて、それでは本日の見回りを始めよう。その後、オタリーと懇親会を行う予定だったか。遠い異国の地からやって来て下さったのだから、ご迷惑をかけぬようにな」
『はい』
「二人共、十分に気を付けるんだぞ」
僕達は、学園を出て、予定されている場所へと向かう。
今回は徒歩で向える場所という事もあり、僕と佐久穂さんは、並んで歩き、その後ろから首輪を付けられたイオがついてくる。
「それにしても暑いね。今日も最高気温が35°Cだってさ」
「どうりで。確かに暑くて汗が止まりません」
「まぁ、アタシ達の仕事は身体が資本だからさ、体調管理はしっかりしないとね。特に、夏バテとか」
「そうですね。瑠衣は、何か対策を練っているんですか?」
「特別変わった事はしてないよ? 水分補給の回数を増やしたくらい。昨日だってお風呂に……」
そこで佐久穂さんの口が止まり、カノジョは、両手で顔を覆い隠し、俯き始める。
「……瑠衣。それ以上は言わなくても大丈夫ですよ」
「忘れてたのに、思い出しちゃった……」
「……僕も同じです」
僕と佐久穂さんは、同時に溜息をつく。
「アタシのこと、アオイに全て聞かれちゃった……」
「その言い方をされると、誤解を生みかねませんよ」
「事実だしー、それでもアオイは、本当の事をアタシに打ち明けてくれたしー」
「それはそうなんですけど!」
「きっとアオイは、アタシの入浴姿を想像して、興奮しちゃったんだよねー?」
「瑠衣!?」
「にひひ。冗談だよー」
佐久穂さんは、僕の反応を見て楽しんでいる様子だった。
久しぶりにからかわれた気がするのは、気のせいではないだろう。
そんな僕達を見て飽きれたのか、イオが大きく欠伸をしていた。




