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ゼロ距離カノジョと祓魔師への道  作者: 詩永あえし
第二章 『祓魔師』とカノジョ
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15話

 "穢れ"と遭遇した際の連絡をタップで済ませ、目的地に到着すると、そこは既に人気のない空間となっていた。

 周囲を見渡せば、凹んだ地面と、倒れた車。

 そんな場所で佇むのは、全身が黒に染まり、所々に赤が混ざっている、"穢れ"。

 外見的特徴だけを見れば、鬼と呼ばれる存在の様にも見え、禍々しい力を放っており、"穢れ"が発するプレッシャーに、思わず息を呑んでしまう。


「(アオイ! どうみてもアレは、ヤバくない!? 初見なんとかってヤツだよね!?)」

「(そうですね。明らかに普通ではありません。今まで遭遇したどの個体よりも強力です。それに何というか……強い憎しみを感じるんです)」

「(うん……そうだね。アイツの眼からは、殺意がビンビン伝わってくるもん……)」

「(瑠衣。これから戦闘になります。ですが、決して油断はしないで下さい。撤退も一つの手ですから)」

「(分かった。絶対に無理はしない。……で、作戦は?)」

「(僕が囮となり、注意を引き付けて動きを止めます。その隙にイオと共に攻撃をお願いします。ただし、"穢れ"が反撃してくる可能性もありますので、その点はご留意を)」

「(オッケー! 任せて!)」

「(それでは、行きましょうか。信じていますよ、僕のカノジョさん)」

「(っ! アオイのバカ! 不意打ちはズルい! キュンってしちゃうじゃん! 後で責任取ってもらうかんね! 行くよ、イオ!)」


 車の間を縫う様に駆け抜けていくカノジョとイオ。

 その姿を見送った後、僕は、"穢れ"に対して有効な初手を考える。


「(遠距離から攻撃が出来る方法……土の壁を応用すれば……いけるか?)」


 佐久穂さん達の邪魔にならない位置でかつ、相手に不意打ちの一撃を作り、意識を逸らす。

 そうする事によって、カノジョとイオの攻撃が命中する確率が上がるだろう。

 僕は、地面に手を置き、イメージを固めていく。


「よし……いくぞ!」


 力を込め、"穢れ"の目の前に、土柱を生み出す。

 勢いよく現れた土柱は、"穢れ"の顎に直撃するのだが、まるで蚊に刺されたかのような仕草を見せるだけで、特に変化は見られない。


「見た目通りって感じだ。効いてなさそう。どちらにせよ、前に出なきゃいけないんだから、やるしかないか」


 一呼吸入れた後、僕は意を決し、"穢れ"の前に現れる。

 こちらに気が付いた、"穢れ"は、口を大きく開けると、威圧感たっぷりの雄叫びを上げた。


「ウガアアアァァァッ!」


 ビリビリとした衝撃が、僕の身体を襲う。だが、事前に心の準備をしていた事もあり、耐える事が出来た。

 ここで怯んでしまえば、佐久穂さん達を更に危険な目に合わせてしまう事になる。


「こっちだ!」


 敢えて声を出し、相手を挑発しながら、僕と"穢れ"との距離が詰められてゆく。


「グルルルルゥ」


 相手は、僕を標的として認識してくれたのか、視線を外さずに、ゆっくりと近付いてくる。

 タイミングを見計らい、佐久穂さんへ合図を出すと、車の陰から飛び出してきたカノジョは、大きく跳躍をして、"穢れ"の頭部を斬りつける。

 それと同時に、イオが爪を光らせながら、胸元に一撃を加えた。


「当たった! でも手応えがない!!」

「ガウッ!」

「こちらからも仕掛けます! すみませんが!」

「任せといて! イオ、援護よろしくね!」

「ガウアッ」


 僕と佐久穂さんは、互いに声を掛け合い、連携していく。

 カノジョが、薙刀を振るう事で、"穢れ"の意識を自分に向けている。その間に、僕が後ろへと回り込み、奇襲を仕掛ける。

 力を注いだ木刀は、白銀に光り輝き、振り下ろされると同時に、斬撃となって襲い掛かる。


「グオォオオオッ!」

「手応えはアリ!! 瑠衣! 一旦下がってください!」

「分かった! イオ! 援護ありがと!」

「ガウ!」


 僕達は、"穢れ"と距離を取り、相手の出方を伺う。

 "穢れ"のダメージを与える事に成功したが、やはり、あれだけでは決定打には至らない。


「硬い……それに……予想以上に動きが速い……」

「あれは厄介ですね。攻撃が当たっても、あまりダメージを与えられていないみたいです」

「アタシ達じゃ火力不足ってこと?」

「その可能性は捨てきれません。確か、その場合は……」

「援軍要請だね! いまやっておいたよ!」

「ありがとうございます。あとは、どうやって時間を稼ぐかです」

「そこはほら、アタシ達のチームワークでどうにかするしか無いでしょ」

「瑠衣……。そうですね。僕達なら出来ます」

「そうだよ! アタシ達なら出来る! だってアタシ達は……」

『祓魔師だから!!』

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