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ゼロ距離カノジョと祓魔師への道  作者: 詩永あえし
第二章 『祓魔師』とカノジョ
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12話

 写し出されている、一人の女性。

 彼女は、全身を修道服の様な服装に身を包んでいた。

 金色の髪は、肩までの長さで切り揃えられており、肌の色は白く、瞳は翡翠色をしている。

 名前は……アレクシア・オタリーでいいのかな。年齢は僕達の一つ上、国籍はイギリスの様だ。


「ふあっ、凄く綺麗な人。モデルさんみたい……」


 佐久穂さんが、画面を見ながら呟いている。


「瑠衣ちゃんの言うとおりだね。私も初めて見た時は驚いたものだ。だが、彼女は既に、力を持つふつま……いや、『エクソシスト』として"穢れ"と戦っている者だ」

「オタリーさんは、『祓魔師』ではないんですよね?」

「『祓魔師』は、日本での呼び方。イギリスでは、『エクソシスト』と呼ばれている。だから、キミ達と同じだと思ってもらって構わない」


 美鈴さんは、机の中からファイルを取り出し、開きながら話を続けた。


「オタリーは、イギリスのとある教会に所属するシスターだ。立科君と同じく、力を持ち、実戦経験豊富な彼女は、かなりの使い手であると聞いている」

「そうなんですか?」

「ああ、前にも言った、銀の弾薬を生成出来るのが、オタリーなんだが……」


 美鈴さんは、言葉を詰まらせている。佐久穂さんと僕は、首を傾げる。


「それ以外にも、懸念すべき事が一つあってだな。確定情報ではなく、与太話の類に聞こえるかもしれないが、どうにもキナ臭い噂が流れているのだよ」

「キナ臭さ……ですか?」

「あぁ、イギリスは否定しているが、オタリーは、『聖女』の力を所持しているのではないかと言われている」

『聖女?』


 聞き慣れないようでいて、最近はよく見かける単語を出され、佐久穂さんと言葉を重ねてしまう。


「簡単に言えば、神の声を聞き届ける事が出来る存在の事だ」


 美鈴さんの言葉を受けて、佐久穂さんは、更に不思議そうな顔をする。


「ご先祖様とか幽霊ならまだしも、神様って本当に居るの? アタシはそんなの信じてないんだけど。アオイは?」

「正直に言えば、信じられない方が勝ります。幽霊すら感じる事も、見る事も出来ない側なので、尚更です」

「そっか。アタシもオバケはダメだけど、神様っていうのは、もっと苦手かも。なんか、耳障りが良すぎるっていうのか、嘘っぽい感じがしてさ。オタリーさんはシスターな訳だし、やっぱり、そういうのを信じているのかな?」

「その辺りは本人にしか分からないだろうが、オタリーに関しては、その限りではないのだよ。彼女は、"穢れ"と対峙する際に、必ずと言っていい程、神の啓示を受けているらしい」

「ほぇー、それは凄いね」

「ただ、その言葉が真実かどうかを、我々が確かめる術がないのが現状だ。イギリス側も、彼女の力を疑っていない訳ではないようだが、それを証明する事は出来ていない。だから否定のスタンスをとっている」

「神様の声が聞こえる証明って、どういう風にやるのさ? まさか、神様にお願いしますって祈ればいいわけじゃないよね?」

「瑠依ちゃん、鋭い質問だね。その方法もあるのかもしれないが、一番簡単な方法は、実際に"穢れ"と対峙した時に、彼女の口から神の啓示を受けた言葉を聞く事だ」

「なーるほど。そうなると、オタリーさんと一緒に行動して、"穢れ"と遭遇するのが一番手っ取り早い解決法なのかな」

「そうだね。幸か不幸か、あちらの都合でオタリーは、『第一次』へ視察にやってくる。是か非を確かめるチャンスでも有るんだよ」


 佐久穂さんと美鈴さんの会話を耳にしながら、考えをまとめていく。

 僕の力を確認する為、海外から代表としてアレクシア・オタリーさんが、『第一次』にやってくる。

 彼女は、教会に所属するシスターであり、銀の弾薬を生成する力を持つ、『エクソシスト』でもある。

 そして『聖女』の異名を持つ存在。

 神の啓示を受け、それに従い行動を起こす方……なのかな? 現状では、これぐらいしか情報がないので、判断材料としては弱い。

 結局のところ、直接お会いして話を聞いてみないと、何も始まらないか。


 この時の僕は、気楽にそう考えていた。

 カノジョと出会い、言葉を交わすまでは。

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