表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゼロ距離カノジョと祓魔師への道  作者: 詩永あえし
第二章 『祓魔師』とカノジョ
44/77

10話

 その後、僕達はお互いに親交を深める為、夕飯を共にする事となった。

 とはいえ、状況が状況なので、全て出前ではあるのだけど、心なしか小海さんがとても嬉し気にしていたのが印象的だ。


「んー! おいひい! ようやく落ちついたって感じだよ!」


 テーブルに並べられているメインディッシュは、ピザ。トッピングにポテトやナゲットも添えられている。

 僕も佐久穂さん同様に、舌鼓を打っている最中であった。


「本当だ、美味しい。住んでいる場所は、ピザはおろか、出前すら頼めないですから、何だか新鮮です」

「お二人の気持ち、わたくしにも分かります。一人では量が多くて、つい敬遠してしまいがちですもの」

「何やら学生時代に戻った気分だ。そうは思わないか、特別顧問?」

「そうですね。普段は、誰かと食事する機会が無いものですから」

「でもでも! 部室が解放されたから、またとーみセンセーと一緒にお昼ご飯が食べられるよ!」

「佐久穂、君という奴はまったく……」


 東御先生は、そう言いつつも口元を緩め、穏やかに笑っている。

 ただ、この笑顔を見るのは初めてではない。

 初めて出会った時からずっと変わらない、温かく優しい笑顔。僕達を見守ってくれているからこその表情なのだろう。


「しかし、予想外の来客人数だな。俺がここで、任命式が行われた時は、ごく僅かの関係者のみだったはずだが」

「わたくしの時もそうでした。やはり今回の規模は、立科くんの力が関係しているのでしょうか?」

「間違いない。特にイオ君が、『祓魔師』として認められた時の反応は、想像以上だったが。まあ、実技試験で相手をした俺からすれば、驚く事でもないのだが」


 そう言うと、麻績村さんは、イオの元へ歩み寄り、優しく頭を撫で始めた。


「おー、よしよーし。俺達も今日から仲間だぞ。一緒に頑張ろう」

『アオォン!』

「うん、いい返事だ。佐久穂所長がおっしゃられていた通り、イオ君が最も二人の間近で行動できる存在だ。俺の可愛い後輩たちを守ってくれよ?」

『ワフッ!!』


 イオは元気よく吠えると、その身を翻して僕の元へとやってきた。

 そしてこちらをジッと見つめる。この仕草は……。


「どうやらイオのお休み時間みたいだね、今日はご苦労様」


 イオに向けて手を伸ばすと、身体が徐々に光の粒子へと変わり、やがて僕の中へ吸い込まれていく。

 この感覚も慣れてきた。


「相変わらず不思議な光景だが、一体どういう仕組みなんだ?」

「詳しくは何とも……。ただ、僕の力を源に、実体化を持続させているのだとは思います」

「ふむ、所長から話は聞いてはいたが、その力は可能性に満ち溢れているな。世界が放っておかない訳だ」


 麻績村さんは顎に手を当てて、感慨深げに呟いた。


「そこまでの事では……と、今までは考えていましたが、今日の出来事を振り返ると、認識を改めなければと思いました」

「あれだけの人数ですものね、きっと海外からの来賓もいらしたはずですよ」

「ああ。俺も今日、身をもって知った。立科君の、君達の存在感をな。だからこそ、監視役がここに送り込まれてくるのだろう」

「へ? 私達以外に誰か来るの? ゆーこさんは何か知ってる?」

「立科君の力を見極めに、海外からどなたかがやってくる。わたくしの知っている限りでは、それだけですわ」

「海外から!? 凄いな、アオイは……」


 佐久穂さんが尊敬に満ちた眼差しを向ける。その視線は、どこか気恥ずかしさを覚えるものだ。


「佐久穂さんだって、僕の相棒なのですから、対象に含まれているのでは?」

「そっか、そうだよね。えへへ、嬉しいな」


 佐久穂さんは頬を赤らめて笑みを浮かべている。


「(特別顧問、あの二人はいつもあんな調子なのか?)」

「(えぇ、そうです。無自覚なのはお互い様なのですが)」

「(ふふっ、青春ですね。わたくし、日々の楽しみが一つ増えましたわ!)」

「(……若さとは、時に恐ろしいな)」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ