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ゼロ距離カノジョと祓魔師への道  作者: 詩永あえし
第二章 『祓魔師』とカノジョ
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6話

 任命式を執り行うにあたって、僕達は着替えを行う為に、佐久穂さんとは一旦別れ、男性用更衣室に案内される。

 そこに置かれてあったのは、制服とズボン。デザインとしては、軍服に近い感じだ。

 白を基調にしており、金糸で装飾が施されている部分もあり、高級感溢れる制服となっている。


「これが制服なのか……」

「制服というよりは、礼服かな? 流石にこれを着て任務に行かせるのは、気が引けるよ」

「確かに……って! 美鈴さん!? いつからそこに居たんですか! ここは男性用更衣室ですよ!?」

「ああ、驚かせてしまったか。すまない。少し立科君と二人きりで喋りたい事があってね」

「僕とですか? 着替えながらでも構いませんか?」

「構わないとも」


 僕は着慣れない制服に手を付ける。ここまで立派な制服は、手に触れるだけでも緊張してしまう。


「えっと、何のお話でしょうか?」

「君達が、『祓魔師』の試験に合格してからの話だよ」

「……何かありましたか?」


 僕は思わず身構えてしまう。


「あの後、私は立科君の力について報告書を提出した。だが、その報告書を見た上層部は大慌てさ」

「何故でしょうか?」


 美鈴さんは困ったように頬を掻く。


「立科君の力は、今までの、世界中を含めた力を持つ、『祓魔師』の中でも前例がなかったからだ。当然、それを目に通した他国からも問い合わせが殺到した」

「それが理由でしばらくの間、美鈴さんからの連絡が、端的になっていたんですね」

「そういうことだ。まあ、その話は置いておいて、最初に結論から伝えておく」


 美鈴さんは一拍置き、「いいかね」と前振りをした後、衝撃的な一言を口にする。


「立科君の力が本物なのか真偽を確かめる為に、代表して一人、ここへ人材が送り込まれる事が決まった」

「は、はい!?」

「そりゃ驚くよね。流石に私も、こんな話を立科君にする日が来ると思わなかったよ」


 僕は驚きを隠せない。いきなりそのような事を告げられても、頭の整理が出来ていなかった。


「どうして、そんな事に?」

「日本で初めて力を有する人物が現れ、『祓魔師』になった事は、各国の間で大きな話題となった。そして今回、私が書き上げた報告書には、いままでとは全く違う力の使い方をする人物である事が書かれていたからだろう。それで興味を持った国々の代表達がこぞって君に会いたいと希望を出したらしいんだ」

「僕からしてみれば、銀の弾薬生成や身体強化を使える方が凄いと思うのですが」

「勿論、私も立科君に同意見ではあるが、彼等からすれば、"穢れ"を手なずけるだけでなく、"穢れ"が使用してきた技を使用できる人間が気になるのだろう」

「それだけを聞くと、戦力としてよりも、研究対象としての意味合いが強いような印象を受けますね」

「実際にそうだと思う。力を持っている人間は貴重だからね。国によっては、保護対象として扱う場合もあるらしい」

「なるほど。ところで美鈴さんは、その件に関してどう思われているのでしょう?」


 僕の疑問に対して、美鈴さんは腕を組み考え込む。

 そのまま沈黙が流れ、十数秒程経った後に、美鈴さんはゆっくりと口を開いた。


「正直に言えば、嫌かな。報告義務があるとはいえ、報告書を作成し、立科君の存在が公になった時点で、ある程度の予想はしていたけど、いざこうやって事実を突きつけられると辛いものがある」


 美鈴さんは辛そうな表情で話す。

 僕はその顔を見て、胸が締め付けられる思いとなった。


「立科君までそのような顔をしないでくれ。キミは何も悪くないさ。ただ純粋に、守りたい者の為に、『祓魔師』を目指しただけだという事を私は知っている」


 そう言って、美鈴さんは優しく僕を抱き寄せてくれた。彼女の温もりを感じ、心が落ち着くのを感じる。


「ありがとうございます。美鈴さん」

「お安い御用だ。今のは瑠衣ちゃんには内緒だぞ?」

「ははっ。わかりました」

「立科君。これからキミは、様々な困難と向き合う事になる。それでも諦めずに、挫けそうになる時もあるだろう。その時は、自分の大切な人の顔を思い出して欲しい」

「それは……どういう意味でしょうか?」

「そうだなぁ……。その時は、瑠衣ちゃんの笑顔を思い浮かべてくれれば、きっと大丈夫さ」


 美鈴さんは優しく笑う。


「はい。ありがとうございます」

「礼服、良く似合っているよ。さて、そろそろ良い時間だ。瑠衣ちゃんにお披露目をしてあげなさい」

「はいっ!」

「それじゃあ、先に行っているよ」


 美鈴さんは更衣室から出て行く。

 僕は鏡で最終チェックを行うと、気合を入れて、外へと出た。

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