表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゼロ距離カノジョと祓魔師への道  作者: 詩永あえし
第一章 ゼロ距離なカノジョ
29/77

29話

「そっちから仕掛けないのなら、こっちから行けば良いだけの話だよね」


 僕はそう口にすると、一歩踏み出しながら木刀を振り下ろす。その行動を予測していたかの如く、僕から少し離れた位置に出現する、分厚い土の盾。


「やっぱり」


 足を止める事無く、相手に近づきながら呟いた言葉。

 再び何かをしようとした瞬間、イオが加速し、相手の腕に爪を立てた。痛みを感じたのか、悲痛な叫びを上げながらイオを振り払おうとする。

 僕はすかさず、木刀で追撃を繰り出すと見事に命中。感触と共に相手が後ろへよろめいて体勢を大きく崩した。

 そのまま倒れてくれる事を期待したが、相手もなかなかしぶとい。抵抗を試みようと腕を振るうが、狙いは外れ、代わりに僕達の後方にあった建物の一部が破壊される。

 威力は絶大、なれど大振りによる隙が出来たところで、僕は一つの事を試そうとしていた。


 それは、この木刀に僕の力を付与させられるかどうか。ぶっつけ本番である。

 美鈴さん曰く、この白い木刀には、特別な細工が施してあるらしく、『祓魔師』の力を注いでやれば、"穢れ"に対して有効打を与えられるそうだ。

 細かな話は、別途聞く必要はあったが、とりあえずやってみる事にした。


「……よし」


 僕から発せられる力に反応し、淡く光り輝く白銀の木刀が現れる。成功だ。

 そこから発せられる光に、"穢れ"は怯む様子を見せる。その証拠に、僕の木刀を避けようとして後退していく。


「逃がすか!」


 僕は加速し、体当たりを敢行する。上手くいったようで、相手は勢いよく吹き飛ばされ、壁に激突。

 大きな衝撃音を響かせると、土煙を巻き上げる中、イオが相手の顔に爪を立てる。だが、相手は身体のあちこちから黒い血を流しながらも、腕を伸ばしてイオを引き剥がしにかかるが、遅い。


「消えろぉぉぉ!!」


 白銀の木刀を構え、胴体に対して突きを放つと、相手は苦痛の表情と声を上げ始め、次第に力が弱まっていくと、次第に身体が淡い光の粒子となり、木刀を通じて僕の中へと吸い込まれていく。

 完全に消滅したのを確認すると、両膝を地面に着けて一息つく。"穢れ"の討伐完了だ。


「はぁ……前回と違って色々と学んだはずなのに、すっごい怖かった……」


 "穢れ"との戦いは、怖いものだという認識を改めて思い知る事となった。

 二度目とはいえ、戦う事に慣れるまでには至っていないようだなと思う反面、「それでも勝てただけマシ」とも思う事が出来たので良しとする。

 しばらくそのままでいたら、東御先生や佐久穂さんの声まで聞こえた。わざわざ自宅からここまで駆け付けてくれたのだろうか? 二人に感謝しなくては。


「アオイ!! 大丈夫!? どこかケガしてる? すぐに手当しないと!」

「佐久穂さん、今回は大丈夫です。イオのおかげもあって済みましたから」

「本当に良かった……って、アオイ! 腕から出血してるじゃんか!!」


 佐久穂さんの指摘で腕を見る。確かに擦り傷がある。攻撃を避け様とした際に出来たのだろう。


「これぐらい平気ですよ」

「ダメだってば! ほら、ちゃんと見せて!」


 佐久穂さんは僕の手を掴んで袖を捲る。彼女の表情は心配そうなものだった。

 擦り傷を見つけると、躊躇なく傷口に唇を当てて舐め始める佐久穂さんに対し、思わず頬が赤くなる。

 そんな僕をお構いなしに、大真面目な表情で治療をする彼女に対して、僕はお礼を告げる。


「佐久穂さん、ありがとうございます」

「うん。アオイが無事で安心したよ」

「そうですね。正直言うと、今になって身体が震えてます」

「私も同じだよ。ここに辿り着いてアオイの姿を見つけるまで、ずっと震えが止まらなかったんだから!」


 僕達の会話を聞いているイオが首を傾げる様な仕草を見せた後、こちらを見つめてくる人物の姿にようやく気付く。


「私はお邪魔だったかな?」

「い、いえ! 東御先生は絶対に来てくれると信じていましたから!」

「そうか、それは何よりだよ。立科は、"穢れ"を対処出来る様になったのだな」

「はい。先生の指導のおかげで」

「だが、これからも油断せずに励みたまえ。今後は今回以上の"穢れ"が現れても不思議ではない」

「はい。肝に銘じておきたいと思います」

「あとは……いや、大切な事を言うのを忘れていたな」


 東御先生は一瞬口籠るが、僕の方を見て告げて来たので、僕は黙ったまま次の言葉を待つ。


「よくやったな、立科」


 そう言って、東御先生は僕の頭をそっと撫でてくれた。

 隣にいる佐久穂さんは、涙目になっている僕を茶化しながらも優しい眼差しで見守ってくれていた。

19時にも

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ