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ゼロ距離カノジョと祓魔師への道  作者: 詩永あえし
第一章 ゼロ距離なカノジョ
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19話

 突然の出来事に驚いていると、佐久穂さんが立ち上がって挨拶をし始める。それに僕もつられて立ち上がり、挨拶を済ませた。

 そして佐久穂さんは、席に着く事無くそのまま僕の横に立ったまま、口を開いた。


「とーみセンセー! どうしてここにいるんですかー!?」

「佐久穂、母音を伸ばして呼ぶのはやめなさいと何度も言っているだろう?」

「うー、なんか慣れないんですよー」

「はあ、お前はいつになったら……」


 佐久穂さんと東御先生の会話は、学校でもよく見かける光景で、どこか漫才の掛け合いを思わせる様な内容で、見ている側としても楽しくなってくる。

 二人のやり取りを微笑ましく思いながら眺めていると、美鈴さんに声をかけられた。美鈴さんは僕に近寄ると、耳打ちして小言を言う。


「事前に玲ちゃんへ協力をお願いしていたからね。驚かせてごめんよ?」

「い、いえ、大丈夫です。それで、一体何が始まるというのでしょうか?」

「玲ちゃんには、実技について担当してもらう予定なのさ」


 美鈴さんは悪戯っ子の様な表情を見せながら僕にそう告げると、今も会話を続けている二人へと視線を向ける。


「おーい、二人とも。そんな所で喋っていないでこっちに来ないか? 立科君と瑠衣ちゃんに説明をしようと思っているのだが」

「あ、はーい!」

「了解しました。今行きます」


 こちらへとやってきた佐久穂さんと東御先生は、二手に分かれ、佐久穂さんは僕の隣へ。机を挟んだ向かい側には、美鈴さんと、担任の東御先生がいる状態となる。

 そして、美鈴さんが話を切り出した。


「ではでは、まずは玲ちゃんが何故ここにいるのかを簡単に説明するよ?」

「佐久穂先生、玲ちゃんという呼び方はやめて下さいとあれ程言ったはずなのですが?」

「はて、なんのことやら? 私は知らないなぁ?」


 美鈴さんが笑顔で、わざとらしい反応を見せる。それを見ていた東御先生は、諦めた様子で溜息をつくと、僕達の方を見て話し始めた。


「まあいい。二人とも、改めておはよう。今日は、二人でデートの予定だったんだろう? 邪魔をして悪かったな」


 ……はい? 予想外の発言を受け、思わず呆けてしまう。隣に座っていた佐久穂さんも固まってしまっている。

 東御先生は、「ふむ」と一言口にすると、腕を組みながら何かを考えている様だ。佐久穂さんは我に返ったようで、慌てて東御先生に詰め寄っている。


「と、ととと!!」

「落ち着け、佐久穂。大丈夫だ。問題無い」

「そうじゃなくて、どういう意味ですかあああっ!!」


 佐久穂さんは顔を真っ赤にして叫び、立ち上がろうとするのを必死に堪えている。僕は目の前の状況を冷静に分析し、一つの結論に辿り着いた。


「あの、東御先生。僕達はまだそういう関係ではないのですが……?」

「そうなのか? 校内ではよく二人の話題を耳にするのだが?」

「……その原因を作り上げた人が、東御先生の隣にいらっしゃいます」


 そう伝えると、東御先生の動きが止まり、顔をゆっくりと美鈴さんへ向けた。


「原因を作り上げた?」

「いやぁ、二人が一緒に、『祓魔師』を目指すと聞かされた時に、ちょっとね? つい面白そうだと思って、少しばかり助言したんだよ」

「……佐久穂先生、後でじっくりとそのお話を聞かせて下さい」

「わ、分かったよ、玲ちゃん。ちょ、近い、怖いよ、玲ちゃん!?」


 はしゃぎ過ぎた美鈴さんの頭にチョップを落としながら、東御さんは眉間に皺を寄せている。

「痛い……」と言いながら、美鈴さんは頭を摩り、涙目になっていた。


「思春期の子を弄ぶような真似をした罰です」

「もうしないからさ、許しておくれよ」

「駄目です」

「……玲ちゃんのいけず」


 美鈴さんが恨めしそうな表情で呟いている。美鈴さんは机に突っ伏して不貞腐れた様子を見せていた。

 僕はその姿を見て、苦笑いを浮かべながら、美鈴さんに声を掛ける。


「えっと、美鈴さん。そろそろいいんじゃないですか?」

「立科君は冷たいな。私を慰めてくれてもいいんじゃないかい?」

「えぇ……」


 美鈴さんの言葉に困惑しながら佐久穂さんの方を見ると、彼女も同じような表情をしている。

 僕は助けを求めるように声を掛けるが、首を横に振られてしまった。

 依然として美鈴さんが机に頭を乗せたまま、ぶつくさと文句を言い続けている。美鈴さんがこのまま拗ねていると、話が進まないと思い、仕方がなく声をかける事にする。


「あの、美鈴さん」

「なにかな、立科君」


 顔を上げた彼女の表情は、とても嬉しそうである。どうやら僕が折れるまで続けるつもりだったのかもしれない。

 僕は一度咳払いをし、気を取り直して美鈴さんに話しかける事にした。


「確かにあの時は唐突でびっくりしました。ですが、自分の気持ちを見つめ直す良い機会とさせてもらいました。ありがとうございます」

「立科君……。うんうん! キミは本当に素敵だよ!! 私が思っていた以上の子だね!!」


 僕の答えを聞くと、突然テンションが上がり始め、勢い良く立ち上がると、僕の両手を掴みブンぶんと振り回す。こういうところは、誰かさんと本当によく似ている。


「……立科、この人を調子に乗らせるのだけは止めた方がいいぞ?」

「確かに。おかげで数日間、佐久穂さんとはギクシャクしていましたから。でも、彼女の新しい一面を知る事が出来たと思えば、それも良い思い出です」

「……そうか。立科、苦労しているな」


 僕と美鈴さんとのやりとりを聞き、東御先生は疲れきっていた様子だったが、美鈴さんは何処吹く風といった感じである。


「ねえ、瑠依ちゃん」

「んー?」

「立科君が、瑠衣ちゃんのありのままを受け入れてくれる子で良かったよね」

「……にひひ! だってアオイだもん! アタシの事を大切にしてくれるって分かってたから!」

21時にも

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