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ゼロ距離カノジョと祓魔師への道  作者: 詩永あえし
第一章 ゼロ距離なカノジョ
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14話

 佐久穂さんからの提案に、思わず声を上げて驚いてしまった。

 僕が佐久穂さんに視線を向けると、彼女は力強く宣言した。

 しかし、佐久穂さんは僕が驚く事を分かっていたのか、ニヤリと笑みを浮かべる。


「にひひー! 驚いたー?」

「そりゃあ、驚きますよ! 佐久穂さんがそんな事を言い出すとは思ってもみませんでしたから!」

「むぅ! それって、アタシがバカだって言いたいのかなー?」

「いえ、そういう訳では……」

「でっしょー! ふふん!」


 僕の考えなど知る由もない佐久穂さんは、得意気に胸を張る。

 そして、僕の肩をバンッと叩くと、そのまま僕の隣に座り直して、僕に寄り掛かってくる。


「まあ、いいや。アタシはね、アオイと一緒なら何でも出来る気がするの。だから、一緒に頑張ろ?」

「佐久穂さん……」


 佐久穂さんの笑顔を見て、思わず目頭が熱くなっていく。

 彼女は僕の涙に気付くと、僕の頭を優しく抱き寄せて、ポンポンと背中を叩いてくれる。


「泣き虫だなー、アオイは」

「すみません、なんだか止まらないもので」

「謝る事はないよ。ほら、よしよし」


 佐久穂さんは、まるで小さな子供を相手にするように、頭を撫でてくれている。

 今の自分はとても情けない姿をしているだろう。先程まで守りたいと言っていた相手に慰められているのだから。

 佐久穂さんは、そんな僕を優しい笑みを浮かべながら見つめている。

 僕が落ち着くと、佐久穂さんはゆっくりと語り始める。


「アタシもね、ずっと後悔していたの」

「後悔?」

「そう。あの時、もっと早く動けていたらアオイに怪我をさせなかったのに。とかね」

「それは……」

「うん。アタシも、あの時にもっと強かったらって、今でも思う事がある」


 佐久穂さんは僕の頭から手を離すと、僕の前に回り込んでくる。そして、僕の両手を握ると、真っ直ぐに見つめてきた。


「アタシは、あの時のアオイに救われた。だから、今度はアタシがアオイを助ける。約束する」

「佐久穂さん……」

「アタシとアオイは一心同体。二人で一つの『祓魔師』なんだよ」

「……」


 佐久穂さんの言葉を聞いた僕は、少し考える。確かに、佐久穂さんがいなければ、僕はあの場から動く事も出来なかっただろう。

 それに、佐久穂さんが側に居るだけで安心感を得られる。彼女の存在は大きい。

 僕と佐久穂さん二人で一つの『祓魔師』か……。


「なんだか堂々巡りになりそうな話ですね」

「うん。だからこそ、一緒に戦おうって決めたの。で、どう? 答えは出た?」

「ええ、出ました」


 僕は佐久穂さんの手を振り解くと、彼女に向き合う。


「佐久穂さん。改めてお願いします。僕に力を貸してくれませんか?」

「もちろん! 喜んで!」


 僕の言葉に、佐久穂さんは満面の笑みを見せてくれる。その笑みを見た僕は、彼女の言葉に偽りが無い事を知り、嬉しく思えた。

 やはり、僕は彼女に一生勝てないような気がする。いや、勝つとか、負けるといった話では無いのだろう。

 僕は佐久穂さんに右手を差し出し、彼女の手を取る。すると、彼女は僕の手に自分の左手を重ねると、ギュッと握り返してくれた。


「これから宜しくお願いします。佐久穂さん」

「こちらこそ、よろしくね。アオイ!」


 こうして、僕は佐久穂さん二人で、『祓魔師』を目指す事になった。


「でも一つだけ気になる事があるのですが」

「ん? 何か問題でもあったっけ?」

「僕は、『祓魔師』になれる力を所持しているみたいですが、佐久穂さんは違いますよね? どうすれば佐久穂さんも、『祓魔師』になる事が出来るのでしょう?」


 僕は『祓魔師』の力を持っている。だが、佐久穂さんにはそういった力は持ち合わせていない。

 二人して疑問に思い、首を傾げていれば、佐久穂さんが口を開く。


「こういう時こそ、美鈴伯母さんに連絡を入れて相談すればいいんじゃない? 伯母さんなら、何か分かるかも」

「そういえば、そうでした」


 佐久穂さんに言われて思い出した。僕が、『祓魔師』になると伝える為にも、美鈴さんに連絡を入れなければいけなかったのだ。

 僕はスマホを取り出すと、早速連絡を入れる事にした。佐久穂さんと知り合ってからは、すっかりとコイツの操作にも慣れてしまったものだ。

 美鈴さんに電話を掛けると、数コール後に彼女が電話に出た。


「もしもし、立科君かい?」

「あ、美鈴さん。そうです、今大丈夫ですか?」

「うん。今は休憩中で、のんびりとしていた所だよ」

「そうだったんですね。実は、報告したい事がありまして」

「なんだい?」

「先日頂いた、『祓魔師』についてのお話なのですが、お受けさせて頂く事は出来ますか?」

「おぉ! 本当かい!?」

「はい」

「そうかぁ! 良かったよ! どうやって立科君を口説き落とそうか、連日悩んでいてね!」

「あはは……」


 美鈴さんに『祓魔師』になった事を伝えると、予想通りの反応が返ってきた。

 僕が苦笑いを浮かべていると、美鈴さんは楽しげに声を上げながら笑う。

 その声を聞いていた佐久穂さんが、いてもたってもいられないという感じで会話に参加してきた。


「美鈴伯母さん! アタシも、『祓魔師』になりたいんだけど!」


 佐久穂さんの言葉を聞いた美鈴さんは、笑い声から咽る声に変わる。


「ゲホッ! ゴホゴホ! な、何だい急に?」

「アタシもアオイと一緒に戦いたい! アタシも、アタシも!」

「……あー、なーるほど。そういう事かい?」

「そーいう事なの!」


 佐久穂さんは興奮気味にそう言うと、美鈴さんは何かを察したのか、しばらく無言のまま考え込んでいる。

 僕と佐久穂さんは、お互いに顔を見合わせてから、美鈴さんの言葉を待っていた。

 やがて、彼女は小さく溜息を吐くと、僕達に語り掛けてくる。


「はあ、仕方がないね。まずは、二人の現状を詳しく聞かせておくれ。それから、判断しようじゃないか」

「ありがとうございます!」

「ありがとー!」

「はいよ。じゃあ、今からそっちに向かうから、ちょっと待ってな」


 美鈴さんはそれだけ言うと、通話を切ってしまった。

 以前、検査に向かった場所からここへ来るとしたら、しばらく時間が必要だろう。

 コップに入っている麦茶を飲んでいると、想像以上に喉が渇いてる事に気付く。


「思っていた以上に、緊張していたみたいです」

「あははっ、アタシも」


 美鈴さんを待つ間、僕達はのんびりとしながら話を続ける。


「佐久穂さんと初めて学園で出会ってから、なんだか一瞬で時間が過ぎていった気がします」

「そうだね。アタシも、こんなに楽しい学園生活は初めてだよ」

「僕も同じ気持ちですよ」

「んふふー。アタシ達、似た者同士だね!」

「意外とそうかもしれませんね」


 僕と佐久穂さんは、お互いの顔を見ながら笑い合う。この時間は、とても穏やかで過ごしやすい。

 佐久穂さんと出会えてから、僕は毎日が楽しくてしょうがなかった。

21時にも

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