52話 鍛冶技術の獲得 1
-リベスタン城塞 礼拝堂-
「鍛冶師の知り合いですか。居りますが基本的に店を構えているのが普通ですぞ。その地域に根差して商いをする者がほとんどです。招くのは難しいのではありませんかな」
ゼベットは渋い顔で答える。期待に応えられず申し訳ないと言った表情だ。
武器の扱いに習熟しているから鍛冶師の知り合いも居るだろうと試しに聞いたが、なかなか世の中甘くは無さそうだ。腕の良い鍛冶師がフリーで居る訳が無いよなぁ。
開拓して畑を拡げ、技術を普及させて生産力の向上に成功した。温泉施設も稼働状態に入ったし、牧場も順調に拡張されている。最近は商人を見かける事が増えた。ロコナ村では住民の表情が明るい。今では村に行くと皆が声を掛けてくれる。
だいぶ良くなったとは思うが、今一つ伸び悩んでいる理由は金属加工技術が無いからだ。木工と石工でまだまだ改善されて行く余地は在る。しかし、今後の発展には鍛冶技術が必要だ。
蝶番や螺子、釘は工作では必ず使う。組み木細工では限界が有る。木材を削り出す鉋や斧などの道具だって金属製品だ。トリスタンやカラムから行商人を介して購入出来ているので、何とかなっている。だが俺が作った道具などは量産出来ない。領内に独自技術が育ったとしても普及しないのだ。かと言って、作成を外部に依頼するなど論外だ。わざわざ新技術を教えてやっているようなものだからな。
理由は様々だが、この先の発展には鍛冶師が不可欠なのは間違いない。問題はどうやって連れて来るかだ。招致するにしてもかなり良い条件でなければ難しいだろう。実態としてはゼベットの指摘の通りだ。
ふと思い浮かんだのはダンの事だが、彼なりの事情が有ってあの生活をしているのだ。頼んでも良い返事は期待出来まい。
それなりの腕が有って、金銭的な事情で店を構えるに至っていない者に声を掛けるか。しかし鍛冶師はどこも徒弟制のはず。伝手が無ければ紹介も期待出来ないだろう。考えれば考えるほど八方塞がりだなぁ。何か手はないものか。
「鍛冶師ですか・・・そもそも数が少ない上に技術者となれば簡単にはいきませんね」
マイネル司教も認識は同じか。教会関係の鍛冶師を呼んで、適任者を一から育てる案は駄目そうだな。時間が掛かり過ぎるのでそもそも非現実的ではあったが。
う~ん、詰んだな。後は顔が広そうな奴に頼んで伝手を作るか。弟子が独立して店を構えれば単純に競合店になる。同じ街では客が獲れないので外へ出て行くはずだ。いや、系列店という扱いを受けるならそうとも限らないか。逆に支援を受けられる分だけ有利かも知れない。暖簾分けみたいな感じでやってる可能性もあるな。
これは解決するのは相当難しい。無い知恵絞って考えるよりは、いろんな奴に聞いてみるしかないが・・・良い案が聞けそうな人ってそんなには居ないんだよなぁ。




