02話 森の探索
-未知の洞窟-
出口近くから外の様子を確認する。辺りに動く物は居ないようだ。
洞窟の中よりは温度が若干高い。温度差があまり無いということは今は夜間?
いや、単にこの辺りが寒い地域とも考えられるか。
出口付近は開伐されて広場になっている。その先は森だ。道らしきものが有る。
ここが鉱山だったとすればあそこが搬出路のはず。辿って行けば何か見つかる確率は高い。港や船着き場、街が有ればこの世界の状況も掴み易くなる。
まずはあの森に入ってみよう。何かしらの生き物がいれば判断材料になる。
スライムって喰われたりするのか気になるところだが、留まっても得るものは無い。
森に入ってから結構経つ。見つかるとマズイので道からは少し外れて進んでいる。
スライムな身なのでウネウネしながら、いろいろと試しながらの探索だ。
この森には多くの昆虫がいる。どれも子供の頃に図鑑で見たような奴だ。大きさもあまり変わらない。リスっぽい小動物とコウモリらしき飛行動物の他、ヘビもトカゲも見た。種類はともかくとして、動物の生態系は似たようなものらしい。
植物についても突飛な物は見当たらない。全体的に背の高い木が多いので日陰になっているのもあるが、植生は山で過去に見たことがあるものとほぼ同じと言っていい。
何度か試して分かったのだが生き物は吸収出来ない。土や落ち葉が吸収出来たのでそこらの草で試したのだがダメだった。昆虫も同様。クワガタっぽいのがいたので試してみたが出来なかった。吸収しようとすると反発される感じがするのだ。
途中で見つけた蟻の列が運んでいた蜂の様な姿の死骸は触ると吸収出来たので『生きていると吸収出来ない』が条件らしい。まぁ、生きたまま吸収出来ればかなり強いが、それが出来たら相当凶悪な化け物とも言える。危険過ぎて確実に討伐対象だろう。
加えて判明したのが、吸収した元生物(つまり死体)の姿形を真似出来るということ。ある程度なら変えることも出来る。しかし、あくまでも姿形の真似でしかない。
今回で言えば、蜂を吸収したので今の体積を利用して特大サイズの蜂に姿形を変えることが出来た。ただし飛べない。そもそも今はそれなりの量の石を吸収しているので重くなっている。そうそう都合良くはいかないということだな。
とは言え、姿形だけでも真似出来るのはかなりの利点だ。ある程度は構造も真似出来るので、工夫次第でさまざまな用途に対処出来るだろう。
まずは敵性生物でない生き物の姿形を真似出来るようにする。それが出来ればとりあえず討伐対象からは外れることになるはずだ。所作に気を付ければそうそうバレることも無いだろう。
問題は適当な死体を見つけられるかだが、こればかりは運だな。




