22話 無いなら作る
-自警団詰所 食堂-
最近は森で狩りをしている。動かない的ではこれ以上弓術は上達しないと判断したからだ。
当然メリッサが同伴している。彼女は俺の技量に丁度良い獲物がいる地域へ案内してくれている。森での狩猟経験が長いのでだいたいは分かるらしい。
基本的に鳥や兎などの小動物が対象だ。動きが速く先も読みにくいので非常に練習になる。固定された的を狙うのとはだいぶ勝手が違う。
狩りを終えると自警団に戻り、その日の獲物を使って何か食事を作る。皮を剥いだり下処理の仕方も教えてもらったが、だいたいはメリッサに任せてしまうことが多い。
「メリッサさん、気に入ったのは分かりますが、そろそろ返してもらえませんか」
「もうちょっとだけ。いいなぁ、私もこういうの欲しい。作り方教えてよ」
メリッサは俺が持ってきたクッションが気に入ったようで、ずっと抱いている。
そんなに難しいものでもないが確かに一点物には違いない。森で狩ったアヒルやガチョウの羽を素材に作った。もともと寝具に使われていたキルティング生地を使って外側を覆っている。内側は別袋にして羽毛が偏らないようにブロック分けして縫いつけた。
ここの食堂の椅子が俺には合わない(というか子供用などない)ので尻の下に敷いて使うために自作した。厚みが必要だったので座布団ではなくクッションにした。
高さを稼ぐために少し硬めにしたのだが、反発具合が彼女の好みに合ったようだ。
まぁ、そもそも体重が違う。俺の重さなら沈まずに乗っかる感じになる。
リナに裁縫道具を借りたのだが、出来上がりを見た時の反応は似たようなものだった。
長いこと手に取って楽しんでいたな。案外珍しいのかも知れない。
結構な数を狩る必要が有るので、簡単に作れないのは確かだ。
「マリーナは器用だよね。この弩も自作したんでしょ?他では見たこと無いもの」
やっとクッションを返してくれたが、今度はそっちか。確かに珍しいかもな。
短弓で狩りをするに当たって、クロスボウを自作した。素材はちょっと見では分からないが部分的に金属を使っている。
反転滑車のコンパウンドクロスボウなので弦も軽く引けて威力は見た目以上に強い。ワイヤーを作るのだけは少し苦労した。ストックが有るので構え易く狙い易い。スコープは作れなかったのでアイアンサイトを付けて有る。
最初は木製の連弩を作っていたが、連射の必要性が無い上に威力が弱かったのでこちらに変えた。結果的に正解だったな。
体格的に大きな弓が使えないので考えた結果こうなった。俺の体格に合わせたので他の人には若干扱いにくくなっている。実際に使ってみたが、弾速、威力共に充分だ。射程が少し短めだがそこは使い方次第で補える。
ボルト(矢)次第で当たればほぼ一撃でカタが付く。連射出来ないが問題ないだろう。




