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異世界に転生したけどファンタジーなのは俺だけらしい  作者: 三十六
邂逅編

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01話 見知らぬ洞窟

-未知の洞窟らしき場所-


 俺は気が付いた。ということは死ななかったということだ。

 実は思っていたよりも軽傷だったのか?日本の医療レベルも大したものだ。

 まぁ、生き延びれたなら素直に感謝しなければな。

 あの状況なら片腕ぐらい無くなってても不思議ではないし、下手すれば一生ベッドの上か車椅子ってのも有り得る。何だか怖くなってきたな。


 さてと周りは・・・真っ黒。これは視界が無いんじゃなくて色が無い?

 いや物の見え方がおかしい。ワイヤーフレームで360度・・・何だこれは?

 音も聴こえるが、やはり聴こえ方がおかしい。全方向から拾っているような?

 とりあえず分かったのはここは病院ではないのとベッドの上ではないこと。

 建物の中ですらない。洞窟?のような場所にいるらしい。


 少し冷たいのは岩場だからか。温度は肌で感じるので分かる。え?肌?どこの?

 さっきから手足を動かそうとしているんだが、そもそも感覚が違う。

 何というか、袋に押し込まれてもがいているような感じなのだ。

 修学旅行のイタズラで布団でスマキにされた時の感じに似ている。


 あまりに頭の理解が追いつかない。ひとまず誰か呼ぼう・・・にも口が無い???

 そもそも目が無いのに周囲の凹凸は認識出来ている。耳も無いのに音が分かる。

 なんだこれは?今の俺には手も足も無い。頭も胴も無い若干潰れ気味の丸い塊だ。


 これは・・・・今も入院中で変な夢を見ている・・・のだろうか。

 だとすれば早く覚めて欲しいところだが、どうにも夢にしては生々しい。


 最近、投稿サイトで沢山の転生物を読んだからこんな夢なのだろうか。だとしても、一向に覚める様子も無い。次の生は人間じゃない方がいいかもと考えはしたが、猫じゃなくてモンスターとはね。恐らくこののっぺりとした形はRPGでスライムとかウーズとか呼ばれるやつだろう。つまり完全に討伐対象のザコだ。いやはや、どうやら俺は相当に神様に嫌われているらしい。とりあえず、今世でも苦労は間違いなさそうだ。



 いろいろと考え込んでたら喉が渇いてきたな。いや、今は喉なんて無いか。

 とりあえず水っぽいのを探そう。その辺に水たまりぐらいなら有りそうだ。

 移動は・・・・出来た。何と言うか『運動会でこんなのやったな』って動き。

 感覚としては大きな輪っかの中で回るハムスター的な動作に似ている。

 輪っかを頭陀袋に入れ替えれば表現としてピッタリか。

 ズルズルと引き摺るのではなく転がるのに近い。張り付きつつ転がる感じだ。

 幸いにも周囲には何も居ないらしく、物音一つしない。

 さて、開始即終了という展開は避けたいところ。気を付けて進もう。


 思っていたよりも離れていないところに水たまりが出来ていた。

 口もないのにどうやって飲めば?という疑問は有ったが即解決した。

 どうも体表面から吸収できるらしい。

 まぁ、飲むというよりは染み込む感じではある。


 ある程度飲んだら渇きも無くなったので次どうするか考える。

 今のところ空腹感が無いのでそんなに食べなくても良いのだろう。

 とは言え、生き物なので全く必要無いということでもないはずだ。

 極端に燃費がいいだけかも知れない。動き回ればそのうち判明することだ。


 水を飲んで分かったことが有る。飲む前より体が重い。というか大きくなった?

 つまり吸収した分の体積が増えたという当たり前の事実である。

 身体から排出して減らすことも出来る。出す時は出し方を選べるのが面白い。

 滲み出したりするのではなく、任意の一か所からまとめて排出出来るのだ。

 また渇いたら来た意味が無いので再度吸収しておいたが、何か使い道が有りそうだ。


 試しにそこらの石を吸収してみると・・うん、出来る。その分だけ重くなるけども。

 これって金属を吸収したらメタルスライム的な何かになるんじゃなかろうか?

 もっとも出来るかどうかは不明だが、とりあえず今はこの石を吸収しておこう。


 ストーンスライム的な何かになるかと思いきや、その分の成分が増えただけだった。

 表面を石で覆ったり出来る。形を形成して排出も可能だ。粘土細工みたいだな。

 なかなか面白かったが何度かやると飽きた。まずは他の場所へ行こう。


 ここがどんな場所なのかも不明だし、異世界定番の剣と魔法の世界であれば俺にとっては危険過ぎる。とは言え、何かしらの判断材料が無いと対策も立て様が無い。

 危険ではあるが、ずっとここに篭るのは愚策だ。まずはこの洞窟の出口を探そう。少しでも情報を集めないとな。


 予想していたよりも小さい洞窟だったので、出口はすぐ見付かった。

 まぁ、始めに奥に進んでしまったのは我ながらマヌケだった。

 規模が小さかった上に一本道構造だったのですぐに戻ってこれた。

 自然に形成された感じでは無く、想像するに廃坑の様な場所ではないかと思われる。

 元鉱山ということは掘っていたモノが存在するわけで。

 ただし、それが人間だとは限らない。亜人種という線も十分あり得る。


 見付かって即討伐となっては洒落にもならない。何しろ今は最弱の討伐対象という存在なのだから、充分に周囲を警戒しつつ進もう。

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