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異世界に転生したけどファンタジーなのは俺だけらしい  作者: 三十六
探求編

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16話 自警団詰所にて

-リベスタン城塞隣 自警団詰所-


 自警団の拠点は城塞のすぐ隣に在る。実態が騎士みたいなものなので当然ではある。

 

「ようこそ自警団へ。何でも聞いてくれ。好きに見回って構わないぞ」


 今日はタニアに頼んで自警団の様子を見に来た。やや口調が鷹揚、機嫌が良さそうだ。領主の娘が関心を持っているとなれば悪い気はしないだろう。

 

「立派な建物ですね。想像していたよりもずっと大きい。皆さんはここで生活を?」


 小規模だが詰め所というより砦だな、ここは。立て篭れば十分戦えそうだ。

 

「いや、交代で詰めているんだよ。私らは専業じゃないからね」


 それはそうか。城からの手当てだけではやっていけないだろう。


「皆さんのおかげで領内の治安が維持されているのです。有難うございます」


 とりあえず持ち上げておく。まぁ盗賊も碌に出ない地域なので、どの程度活躍しているのか怪しいものだが。存在するだけで有用なのは間違いないからな。


「領主様もそう評価してくれてると良いんだけどね。とりあえず中を案内しようか」


 タニア自ら案内してくれるらしい。褒めた甲斐が有ったというものだ。


 建物の中は兵の待機所を少し拡張した感じの造りだ。武器庫、食堂、休憩所、会議室のような大部屋と、ここは応接室か。外には大きめの馬小屋と・・・あれは鍛冶場か?


「ここは鍛冶師が居るのですか。麓の村では見ませんでしたが」


「武器を修理出来ないと具合が悪くてね。ダンが来た時にやってもらうのさ」


 誰だそれ?そんな名前は村の住人にいないはずだ。


「ああ、ダンってのは行商人にいつも付いてくる護衛でね。そいつのことさ」


 なるほど、それは知らないはずだ。そのうち会う機会があるかもな。


「皆さんの武具はその行商人から?」


「そうだね。城から支給されたりはしないからねぇ」


 タニアは苦笑いしている。城の警備兵と違って自腹なのか。確かに正規兵の扱いじゃないが、実態として治安維持を担っている組織がこの状態なのは良くないな。


 概ね見て回れたのでタニアに城まで送ってもらった。

 自警団の待遇は早めに改善しないと駄目だな。まずは領地の収入向上が先か。


 領地収入の向上と言っても簡単には行かない。領内の発展には必須とも言える要素が現状では足りないからだ。

 一つは住民規模。王国は他の領地からの移住を奨めていない。単純に係争の元になるからだ。住民が減れば領地の租税収入も減るし、労役の規模も縮小する。どこの領主も歓迎しない事態だ。隣接する領主と険悪な関係になれば紛争事態に発展しかねない。

 

 もう一つは余裕だ。裕福さの指標とも言える。効率化や工夫をするのは余裕を生み出すためだ。これが存在して始めて発展に繋がる。

 

 技術革新や創意工夫により生産性が上がると単位時間当たりの生産量が増加し、単純に収入増加に繋がる。購買力が出来ると作っただけ買われるので生産量が増える。生産量が増えると希少性が下がり単価が下がる。単価が下がって買い易くなると更に普及する。普及して陳腐化すると差別化を図るようになる。この流れに入れば自ずと領地は発展する。

 

 だが時間的な余裕を生むには効率化や技術的進歩が不可欠だ。必要最低限度の水準では困りはしないが発展し、栄えることはない。ここを抑えられているのが大きい。

 加えて地域特性としての不利が有る。寒冷地で山林地帯なので平野部が狭く、耕作適地が少ない。通常、鉱山都市は豊富な産出量を背景に彫金や鍛冶といった技術力で台頭していくものだが、肝心の技術が無ければ不利を克服出来ない。

 

 俺は知識的には推測出来るものの具体的な仕組みなどに詳しいわけじゃない。それに世界的な教養の土台が違い過ぎて、俺が言う内容を理解出来る者がそうそう居るとは思えない。まして小学生程度の年齢の子供がそんな話が出来たら間違いなく怪しまれる。

 

 表に出て悪目立ちすることなく、上手く進められる方法を考え出さなくてはならんか。

 身代わりを立てるのも手なんだが、そんな都合の良い奴がいるとも思えないのが難しいところだ。都市部ならともかく村社会では不可能だろう。教会勢力の目を誤魔化すという条件が厳しいな。


 今のところ、材料が無さ過ぎてどうにもならない。様子を窺いつつ上手く切っ掛けを掴めれば、状況を好転させることが出来るだろう。当面の間は領内の調査を進め、情報を集めるのに専念しよう。

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