第1話 〜勇者 vs 魔王〜
「追い詰めたぞ。魔王ゴルゴンゾーラ!」
「ゴルゴンゾーラか……懐かしい響きだ。そうやって、勇者に呼ばれるのはいつぶりか」
「俺はお前を生きて返すわけはいかない!」
「グハハハ! 面白いこと言う! お前は土にも帰れないぞ!」
「舐めた口を言うなああああああぁぉぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
テンプレと化した、魔王城。魔王の間で、勇者と魔王がぶつかる。
「グハハハ! 安直な突進だな」
勇者は走り出し、魔王に剣を振りかざす。魔王は座っていながらも、勇者の剣を人差し指で止めた。魔王の指は傷1つ傷つかないが、勇者は焦りはしない。
彼には先代から受け継いだ最強の技があるらだ。
「勇者魔法『勇者の一撃 斬』」
語り部の私ですら驚くような風が、魔王と勇者の間に吹き荒れる。
気づけば魔王の人差し指が空に飛び、鮮血とは言い難い魔王と同じ肌の色の紫の血が飛び出る。
「グハハハハハハハハ! やるではないか。先代は爪の手入れをしただけで死んだのにな!」
魔王は足を上げ、勇者のお腹に重い蹴りを入れる。今までの四天王や幹部の力加減ではない。
絶対王者の蹴りは勇者を壁に埋め込ませる。「グハッッッッッ」と勇者の口から血が吐き出された。
「私も本気を出すとするか」
今までの歴代魔王の特徴はなんといっても、魔法による攻撃。一撃で一国の首都を滅ぼす力を持っていた。
なのに、現魔王は物理に特化した力を持っている。魔王がデコピンをすれば、風圧で——
勇者の右腕が飛ぶ。
「いってえな! だが、まだだ!」
勇者は無くなった右腕を筋肉を使って止血し、左手で剣を握り、また走りだす。
魔王の強さは今のでもう分かりきった。噂通りがデコピンが必殺技。これが指を極めし魔王。
勇者は事前情報で魔王の指の効果は知っていた。
親指のデコピンは、空間を断絶するデコピン
人差し指のデコピンは、死を呼ぶデコピン
中指のデコピンは、波動を撃つデコピン
薬指は、破壊のデコピン
小指は、相手との距離を不思議な力によって埋めるデコピン
一番危険な人差し指は無くなった。勝機はあると思ってたが……!
「ほう……まだ来るか。ならば……こちらも応戦しなければな!」
魔王の中指のデコピンから出る波動を避け、避け続ける。勇者に避けられた波動は、地面に穴を開け、魔王城を大きく揺らす。獅子が如く突進してくる勇者に魔王は焦ることは無い。
「さすが歴代最強の勇者だ。仲間もつくらずこうも強くなれるか」
「仲間など要らない! お前を倒すには俺だけで十分だ!」
勇者の剣と魔王の中指が先程のようにまたもや、ぶつかる。衝撃波は更に強くなり、魔王の間の壁が連鎖的に壊れ、遂に魔王の座っている椅子が粉々に砕け散る。
「勇者魔法『勇者の一撃 滅』!」
「なにっ!?」
今世の勇者の最大の特徴は、相手が勇者の剣に触れていれば膨大なエネルギーで攻撃できるという点。
勇者の技の種類は100を超える。今、勇者が放った一撃は、剣が触れている場所を消滅させることが出来るものだ。
「やるではないか! しかし……これで終わりだ」
魔王は薬指でデコピンをすると——
魔王の間全てが壊れる。
勇者の体にヒビが入り、血すらも流れず体が崩壊していく。
「お前の体はもって後50秒だ! グハハハハハハハハ! どうだ! 己の命が終わっていくのを感じ取れるのは!?」
「…………クソみたいな気分だな。だけど、1つ言えるのはお前をいたぶる時間が少なくなっただけだ」
「崩れ落ちる体で何を言う。お前はどの道死ぬのだ。仲間にもみとられずな! なんと憐れな死に様だ」
「最高の死に様じゃねぇか。誰も泣かないですむ。だから俺は1人できたんだ」
勇者の目には闘争の魂は消えてない。勇者はまたもや馬鹿正直に走り出すが、崩壊していく体で思うように動けず、魔王の前で転んでしまう。
「グハハハハハハハハ! 本当に憐れなものだ。これが現代の勇者か。確かに強かったが……我を越えるはずが無い」
「はあ……はあ……はあ……。知っ……てるか魔王」
勇者は片足がなくなり、左脚すらも無くなっていく。まるで雪のように崩れ落ちた肉片が、空へと飛んでいく。
天井が壊れ落ち、綺麗な月と月明かりで照らされる2人。非情なことに、魔王の破壊の指の攻撃を喰らった時点で、もう勝負はついていた。
「…………なんだ」
「この……世界は………強大な悪によって……造られている……。お前が居なかった時代は……人間達は争いを好み……戦争に明け暮れていた。…………いつの時代も、勇者と魔王は……皮肉な立場だってことに」
「グハハハハハハ! 当たり前だ! 魔王軍は、この世界の秩序を守る存在でしかない。勇者はそれに良いように使われ、旅の途中で薄々気づく。毎回だ。毎回……全員が俺を殺してくれない。全員を見送らなければいけない」
「ははははは。指……2本も切り落としてごめんな。そして……ありが……とう」
勇者の肉体は消え、欠片は月へと吸収されるみたいに飛んでいった。
「自分の選んだ道は尽く……辛いものだな」
———————勇者VS魔王———————
魔王の勝利
ぶははははははは! 第1話酷いすっね。ここからですよ、上手くなるのは。
しかし、ロクに小説を書かないとこうまでなるとは。凄いことですね。
そして、毎話毎話この後書きでは私が適当にながーーく変なことを書いていきます。
適当に流してください。
今回、ずっとここで語りたかったのが銀魂の映画が凄すぎってことです。
ネタバレ書きます。嫌の人は飛ばしてください
特にすごくて、感動したのが、
「お前と交わした剣の半分でもいいから、お前と酒を飲みたたかった」
あれはやばかったですね。こんなかっけぇのかよって思っちゃいました。やっと言えました。
満足しました。本当に銀魂は面白いです。あれが銀魂です。
めちゃくちゃオススメのアニメです。