6/54
春の夜は美しい
春宵一刻
春の夜は美しく心地よい、という意味だ。
しかし、こういう意味にとらえることはできないだろうか。“春宵”は、そのまま春の夜。“一刻”はわずかの時間、頑固で人の意見を聞き入れないさま、せっかちなさま、などの意味がある。となると、春の夜は頑固でせっかち、という解釈になる。あくまで自分なりの考えだが。
自分の考えた意味でこの言葉をとるならば、ある意味君にぴったりの言葉なのかもしれない。君は元来、頑固でせっかちだったから。
君の名前は‥‥‥春、春、春‥‥‥
あれ、思い出せない。春、何だったか。霧がかかったみたいに思い出せない。
主人公には同級生の彼女がいた。
しかし、ある日その彼女が何処か消えてしまい、同時に主人公の中にある彼女に関する記憶が薄れていった。
主人公はあともう少しで思い出せそうな「彼女の名前」を捜して、日本中を旅する。