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『知力1000000』のマジヤベー超超大天才がパネェ大活躍の神的最強無双英雄日常伝説  作者: 稲荷竜
三章 木材回収! 名前を覚えるまで帰ることのできない地獄のフィールドワーク
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23話 地獄のフィールドワーク・終了

「ふう、木材集めもなかなか大変じゃねーか。だが、もはや理解可能だぜ」



 終わった。

 ユータたちは、木がいっぱいあるところにいた。


 途中で猿みたいなモンスターとも戦ったけど、ミカヅキがモンスターを見かけるとものすごい速さで倒してしまうので、ユータはほんとにモンスターを見ただけで、倒したり、触れ合ったり、そういう感じじゃ、なかった。

 ちょっと残念。


 でも、生徒たちは誰も戦いを習ってないから、モンスターとか、いきなり出されても、困る。

 何人か、青白い光に包まれて、脱落していく人も、いた。

 かわいそう。


 でも、防衛戦の時みたいに、みんなケガとかなくって、転送装置に戻されただけだと思う。

 説明はなかったから、ひょっとしたら違うのかもしれないけど、ユータはなにせ知力が1000000もあるので、前に防衛戦で起こったことと、さっきそのへんでモンスターにいっぱい攻撃された生徒の身に起こったことを比べて、おんなじだって、判断できるのだ。

 昔に起こったことと、今起こったことを比べて考えられるなんて、異能だ。


 木材はフィールドにある木の根元に光ってる場所があって、そこを蹴ると出てくる。

 出てきた木材は使い魔に放り込むと、回収できる。

 途中、回収する数の『5』は、パーティ全員で『5』なのか、それとも一人一人で『5』なのか迷った。

 説明はなかった。


 だからユータたちは、一人『5』で、パーティ全員だと、『5』を四人分やったことになる。

 ものすごい数だ。

 両手の指じゃあ、数え切れない。



「むう……モンスターが弱くてつまらない……私の活躍を見せる機会があんまりなかった」



 ミカヅキは不満そうだったけれど、無事に終わったのはいいことなので、みんなで仲良くテレポーターのある場所まで帰る。

 いい景色だ。

 木とか、草とか、いっぱいある。

 空は青くて、雲が、あんまり、ない。

 上ばっかり見てるとまぶしいから、雲の数までは数え切れなかった。だから、実際のところ、空にどのぐらい雲があるのかはわからない。たまたま見た場所に少なかっただけかもしれないし、見えないところに、いっぱいあった可能性も、ユータは知力1000000だから、もちろん、考慮している。

 でも、いい天気だった。


 緑とか茶色とかがいっぱいの、そのへんに盛り上がった高台とかがある、あんまり平坦じゃない道を進んでいく。

 帰り道は使い魔に言えば案内してくれるんだけれど、行きと違って、モンスターの姿がないから、別な道みたいだなあと、ユータは思った。

 モンスターは、みんな、ミカヅキに倒されてしまったのだ。

 生態系が乱れる。



「ところでアラン、ミカヅキさんの名前は覚えたの?」



 フィールドワークの目標は、木材集めじゃない。

 名前を覚えることだ。


『じゃあ木材は集めなくてもよかったんじゃないか? そもそも、学園の施設は妖精とかいう存在が勝手に直すとかだし、修理のための材料集めは本当に必要だったのか?』

 そんなことをユータはずっとそう思っていたけれど、ここにいるみんなに聞いても答えが出ないことは、学習していたから、口には出していない。


 だから、名前を覚えるのは、すごい大事なんだ。

 でも、ユータは知っている。

 Fクラスのみんなは、あまり長い名前を覚えられない。

 ミカヅキの名前は、ナナの倍ぐらいあるから、覚えるのが大変なのだ。



「ああ、ばっちり覚えたぜ。オレだってそこそこ長い名前だからな。まあ、オレより長い名前にはちょっとビビッたが、もはや理解完了だぜ」

「じゃあ、言ってみてよ」

「ミカヅ……」

「…………」

「ミカヅチ」

「おしい」

「いや、覚えてるんだ。でも、具体的な名前を言うのは、避けたかった」

「なんで?」

「理解不能だろ?」

「うん」

「だからだ」



 それぞれに事情があるのだ。

 うん。


 仲良くみんなで歩いていたら、突然、空が暗くなった。

 これが、ほんと、いきなり暗くなって、すごく不自然。

 思わず空を見上げるぐらい、すっごい、いきなりだった。


 ユータたちはみんなで上を見る。

 そしたら、なんか、いた。


 なんだろう、よくわかんない。

 でっかい、鳥?


 青白くて、でっかい、鳥だ。

 鳥が、バサバサ飛びながら、ユータたちの目の前に降りてくる。


 ずしん、って音がした。

 すごく重そう。

 そのわりに翼が小さいようにユータからは見えた。あの翼の大きさで、そばに降りただけで『ずしん』と地面が揺れるような重さの生き物が飛べるのか、ユータの1000000ある知力をもってしても、わからない。

 飛び上がるあの力が足りなさそう。



「うむ? ワイバーンだな? このあたりには出ないはずなのだが」



 ミカヅキが首をかしげながら抜刀していた。

 そのまま、不思議そうにつぶやきながら、ワイバーンに斬りかかる。



「まさか、神さまが、あんまり活躍できなかった私に気遣って、強めのモンスターを出してくれたのだろうか? ……うーん。でも、ワイバーンは、最初は飛ぶし大きいし怖いけど、慣れるとそうでもない雑魚な感じの敵だからなあ。よくわからない。神さまも、出してくれるなら、もっと強くて、私がかっこうよく戦える相手がよかったんだけど……」



 首をかしげながら、ワイバーンを倒した。

 ワイバーンはだんだん薄れて、消えていく。



「なんだったんだろう?」



 最後までよくわかんない顔(無表情)で、ミカヅキはワイバーンを倒しきった。

 アランが震えている。



「り、理解不能だぜ……なんでそんな、ご飯の途中で漬け物をつまむみたいな気軽さで、あんなデカイのを倒せるんだ……? 一つの命を消し去った自覚がないんじゃねーの?」

「しかしモンスターだ。いっぱい殺してるから、君たちも、いずれ慣れる」

「なんでアンタは先輩みたいな態度なんだ? オレたちと同じ一年生なんじゃねえのか?」

「私は三年Sクラスだったんだけど、友達がいるから、一年Fクラスからやり直しているのだ」

「なんだと……」



 その情報はさっきもアランにあたえたはずなのだけれど、アランはさっきと同じようにおどろいていた。

 でも、アランだから、本当はわかっていたのに、おどろいた感じを出したのかもしれない。

 わかっている情報を、初めて聞いたみたいに聞くのは、理解不能だ。

 アランの行動には、『理解不能』という軸が一本、しっかり通っている。



「む? ワイバーンがなにか落としているぞ」



 ミカヅキが言ったので、今まで空を見ていたユータも、ワイバーンのいたあたりを見た。

 そこにはキラキラしたカードみたいなものが落ちていた。

 死ぬ間際に産んだ?



「ワイバーンがカードを落とすのは見たことないな。レアアイテムかもしれない。私はレアなのたくさん持ってるし、誰か、もらっていいよ。武器じゃないし」

「レアか。普通ならほしがるところだな。だが、オレは理解不能。誰もがほしがるレアをほしがらないなんて、とても理解できないだろうな」

「……」



 みんないらない感じだったので、ユータがもらうことにした。

 ユータが進めばメイもくっついてくる。


 ユータがワイバーンのいた位置にしゃがみこむと、それは、キラキラしたカードみたいに見えた。

 遠くで見た時と印象が全然変わらないけど、遠くって言っても、走って三秒もない距離だから、遠くだった時だって、そんなには遠くじゃなかったのだ。


 手を伸ばす。

 すると――


 ――あまりにも唐突に。

 ユータの脳内に、映像が流れ始めた。

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