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『知力1000000』のマジヤベー超超大天才がパネェ大活躍の神的最強無双英雄日常伝説  作者: 稲荷竜
二章 『モンスター襲来』、魔力プラントを守れ!
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17話『モンスター襲来』!

 なんか、すっごい光ってる魔法陣に乗ったら、声が聞こえた。



『難易度を選択してください』



「私はここで、普段、イージーを選択するのだが……今日は二人の後輩が見ててくれるので、無理をしてノーマルを一人攻略してみようかなって、思う」

「やめてください。イージーで行きましょう。イージーで!」



 ユータは、知力が1000000もあるから、なんかやばそうだと思って、止めた。

 ミカヅキは残念そうだったけど、どうしてもノーマルって感じじゃなかったから、無理はよくないって思ったのかもしれない。


 ユータと、ミカヅキと、ナナを乗せた魔法陣が、超光る。

 すごいまぶしいから、目とかぜんぜん開けてらんなくて、みんな、閉じた。


 しばらくして、『お、まぶしくなくなったかな?』って感じになった。

 だから目を開けたら、そこは、なんか知らない場所だった。


 すっごい、砂煙。

 あと、でっかい塔みたいなのが、左と、真ん中と、右に、一個ずつあった。


 めっちゃ広い。

 すごい遠くの方に、いっぱい影みたいなのが見えたけど、砂煙ものすごくて、影ってことしかわからない。



「ここが魔力エネルギープラントだ」



 ミカヅキが言う。

 彼女の手には、いつのまにか、大きな刀があった。

 もう抜いてあるし、鞘とかもないので、危ない。


 ナナはなんにも持ってない。

 ユータも、武器とかはなかった。



「……そういえば、君たちはまだ使い魔がいなかったな」

「使い魔がいないと、どうなるんですか?」

「武器は、使い魔の中に入ってるんだ。私の持ってるこの刀も、使い魔の中から出したんだ」

「へえ、大きいですね」

「うん。使い魔は大きいのも入るし、いっぱい入るんだ」



 ミカヅキの顔の横には、手のひらサイズの球体が浮いている。

 この黒くて小さい球体に、ミカヅキの身長より長い刀が入るっていうのは、神秘的だ。



「なんでも、『データ化』してるらしい。詳しいことは、よくわからないが……」

「データならマルギット先生が強そうですね。今度聞いてみます」

「いや、調べておくから、私に聞いてくれ。頼るなら、私を頼るんだ」

「わかりました」

「まあ、とにかく、使い魔がいないから、君たちは武器がないんだ」

「そういえば、ないです」

「うん。だから君たちは、へたに戦おうとしないで、私の活躍を後ろで見ててくれ」

「わかりました」

「わからないわ!」



 と、声をあげたのは、ナナだった。

 強い風にマントとかスカートとか金髪とかをなびかせて、強そうに腕組みして、足を肩幅に広げて立っていて、強そうにしてるので、強そうだ。

 でも、強くない。



「わたしは武器がなくっても戦うわよ! そう、言葉で!」

「ナナ……私の知る限り、言葉は、相手を倒せないぞ。言葉でできるのは、私の応援ぐらいだ。つまり、そういうことか?」

「どういうこと?」

「私の応援をしてくれるのか?」

「応援もするけど、でも、わたし、モンスターと話し合うのよ! モンスターとか、強そうだし、子分にできたら素敵でしょ?」

「でも、私はモンスターを倒すからな……君が話し合いの最中でも、容赦なく、倒すぞ。いちいち考えてたら、頭がこんがらがるんだ」

「いいわよ! じゃあ、わたしとミカで、勝負ね! どっちが多くのモンスターを手下にできるか!」

「なるほど。じゃあ、君が手下にするモンスターを全部斬れば、ひきわけだな」

「そういう感じね。負けないわ!」

「うむ」



 二人の会話を聞いて、知力1000000のユータは「なるほど」とうなった。

 そうだ、ナナの手下を全部倒したら、こっちが手下をつくれなくても、引き分けなのだ。

 さすが三年Sクラスは、頭のできが、とても、やばい。『経験』を感じる。


 仲良くしてると――

 急に、音楽が流れ始めた。


 どこから聞こえてくるのか、ぜんぜんわかんない。

 でも、魔力プラント中にまんべんなく聞こえるような音量だ。

 なんか不安になる、ドコドコドコドコって感じの、音楽だった。



「BGMが鳴ったから、そろそろ来るぞ」

「このBGMはモンスターが鳴らしてるんですか?」

「いや、知らない。でも、BGMが始まったら、モンスターが来るんだ。経験から、知ってる」

「なるほど」

「私はそろそろ行くけど、君たちは、好きにしてくれ。でも、前には出ない方がいい。間違って斬るから」

「はい。僕はナナを抑えます」

「うむ。ではな」



 ミカヅキがすごい勢いで右側のプラント施設へ走っていった。

 走ってるっていうか、もう、そういう段階じゃなく、速い。

 ほんと速い。あっというまに見えなくなる。


 砂煙の向こうで、ジャキンジャキンっていう音がすごくたくさんした。

 悲鳴だかなんだかよくわからない声とかもして、それで、静かになった。

 ものすごい速度でミカヅキが戻ってくる。



「どうだ二人とも、今、モンスターの第一ウェーブを倒してきたぞ」

「えっ、もうですか!?」

「そうだ。すごかっただろう。かっこよかっただろう。私を褒めていいんだぞ」

「すごいですけど、砂煙でよく見えませんでした。ナナなんて、始まったこともわからなくて、動く素振りさえ見せませんでしたよ」

「なんだと……」



 ミカヅキはすごくショックって感じだ。

 かっこいいって褒めてもらいたかったのに、全然見えなかったって言われたら、それはすごく寂しいし、ショックだろう。



「……うーむ。わかった。では、ゆうたくん、ナナ、もうちょっと前、中央のプラント施設の前あたりに来てくれ。……あ、第二ウェーブが始まっちゃう……わ、私は行くけど、中央来てくれたら、絶対、一回は私の活躍見えるから……! 見てて! 見てて!」

「わかりました」

「じゃあ、行くけど、中央だぞ! でも、あんまり前に出ちゃだめだからな!?」

「わかりました」

「では!」



 ミカヅキが超速くどっか行った。

 ユータは、隣でぽかんとしているナナに話しかける。



「ナナ、行こう。ミカヅキさんが中央プラントに来いって」

「まあ、もう? ミカったらずいぶんあわてんぼうなのね」

「もう始まってるんだよ」

「なにが?」

「『モンスター襲来』が」

「ええ、もう!? だって、わたし、まだモンスターの姿も見てないわ」

「ここからじゃよく見えないけど、遠くの方にはもういるみたいだよ。ミカヅキさんは、とっくに戦いを始めてるんだ」

「待って。わたし、まだ、モンスターになんて声かけるか決めてないのよ」

「僕は待てるけど、モンスターは待ってくれないよ」

「ユー、そういうの、よくないわ。『僕は待てるけどモンスターは待てない』だなんて。たしかにあなたは我慢強いかもしれないけど、モンスターだって同じぐらい我慢強いかもしれないじゃない。人のことを知りもしないで勝手に決めつけるのは、よくないのよ」

「人じゃないよ。モンスターだよ」

「『人』ってなによ?」

「モンスターじゃない生き物だよ」

「だったら、猫さんだって人じゃない。猫さんがよくて、モンスターがだめっていうのは、だめよ。モンスターに知られたら、きっと傷つくわ」

「うーん、たしかに、言われてみたら、そんな気がする……」



 理論的に、ナナの方が正しい感じがしたのだ。

 モンスターだから傷つかない、なんてことがないのは、ユータにもわかる。

 だって、今まさに、ミカヅキがモンスターを傷つけている最中なのだ。

 傷つかない相手は殺せない。知力が1000000もなくたって、誰でもわかることだ。



「だいじょうぶ、わたし、一番なの。だからモンスターにかける言葉だって、すぐに思いつくわ」

「どうして昨日のうちに考えなかったの?」

「だって、モンスターにかける言葉は、すごくたくさん文字数があるのよ? そんなの、昨日考えたって、忘れちゃうわ」

「なるほど」

「それに、現場の空気が大事なのよ。実際にモンスターを見てみて、そうしたらきっと、説得の言葉だって見ないで考えたのとは違うような感じになるわ」

「なるほど。じゃあ、とりあえずモンスターを見に行こう」

「そうね。行きましょう。……どこへ?」

「前に出て、真ん中のおっきいののところで待ってるといいみたいだよ」

「物知りなのね、ユー。さすが、手下一号だわ。子分一号だったかしら?」

「ユータだよ」

「そうね。じゃあ――」



 ナナが歩き出そうとする。

 それより早く、ミカヅキが戻ってきた。



「どうして来てくれないんだ! 活躍したのに!」

「おかえりなさいミカヅキさん。今、ナナと話し終わって、前に行く感じの雰囲気になったところです」

「そ、そうか……もう第三ウェーブまで終わってしまったからな。あとはもう、最後の第六ウェーブまで、ちょっとしかないぞ」

「まだ半分ありますよ」

「半分はそんなにない。『今日の夕ご飯はパンが半分』って言われたら、お腹が寂しい感じがするだろう?」

「たしかにそうかもしれません」

「だから、早くな。……そうだ、第五ウェーブあたりが、いっぱいわーっと来るから、すごく活躍できるんだ。私のかっこいいとこ見るためには、今から走って、中央のアレに向かってくれ」

「わかりました」

「早くな? ああ、第四ウェーブ始まっちゃう……! 来てね! 約束だからな!」

「はい」



 ミカヅキがすごく速い。

 ユータはナナの腕をつかんだ。



「ナナ、行こう。ミカヅキさんが怒っちゃうよ」

「行こうと思ってたところよ。行こうと思ってたのに、行けって言われると、ちょっといらいらするわ」

「ごめんね。じゃあ、どうする?」

「行きましょう。モンスターさんの姿を見ないと」

「じゃあ、行こうか」

「うん」

「走って」

「うん」



 二人は走って行った。

 ナナはすごい遅かったので、到着は第六ウェーブになった。

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