表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/37

1話 天才、入学する

「はうああああ!? な、なんじゃこれは……」



 白いヒゲを生やした立派な老紳士が、あられもなく叫んだ。

 普通だったら『アホみたいな叫び声だ』と言われそうな感じだったけど、部屋に一人だけだったので、まぬけな叫び声を聞かれずにすんだ。


 あるいは、彼は頭がいいので、周囲に誰もいないことをちゃんと考えて、『はうあああ』とか言ったのかもしれない。

 だって、『世界で一番賢い学校』の学園長だから、すごく、賢いのだ。


 布をいっぱい使った服を着てるし、立派な机と、立派な椅子は、学園長専用のものだ。

 持っている杖だって、太くて、長くて、すごい。


 そんな彼は、歳をとってるし、立場もあるから、なかなかおどろかない。

 でも、ぶったまげた。

 学園にそろそろ入学してくる生徒の中に、一人、あきらかにヤベーのがいたからだ。



「シラギ・ユータ……知力のステータスが……1000000……!?」



 世間の平均が20ぐらいで、この学園だと、40~60ぐらいだ。

 1000000とか、見間違いかと思って、五回ぐらい見直した。


 でも、見間違えとか、誰かがイタズラで『0』をいっぱい足したとか、そういうことはなさそうだった。

 学園にとって、入学生は大事だ。

 大事な入学生のプロフィールを記した大事な資料なんだから、大事にされてるのだ。



「知力1000000……世界最高の知力を持つワシの一万倍……いや、ちょっとワシの知力を多めに見積もって、九千倍ぐらい……これは、一度会って話をしてみる必要がありそうじゃのう」



 なんかそうしたほうがいい気がしたのだ。

 具体的に、なぜここで『知力高い。話してみよう』となったか、説明を求められると、ちょっと困る。


 でも、学園長は自分の賢さを知っていた。

 だから、賢い自分がポロッと口からもらしたアイディアは、とても素晴らしいものだと思った。



「おい、誰か! 誰かいるか! 誰かあああ!」



 机に置いてある『呼び出し用ベル』をガランガラン何度も慣らす。

 その鐘の音は学園中に響き渡った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ