同窓会会場
何度も鏡の前で笑顔の練習をしていたから
少し時間が遅れてしまって
もう同窓会は始まっている様子
思っていたよりも人が多くて
私は少し怖気づいてしまい
身を小さくして隅へ隅へ
そっと居場所を見つけて小さく座っていると
「礼ちゃん!!」
その声に振り返ると
結衣ちゃんと景ちゃん
二人はやはり変わらずに可愛い
結衣ちゃんは頭がよく
高校ではいつでも成績トップ
部活は剣道部で
絵に描いたような才色兼備で後輩達の憧れの的だった
男女ともにファンが多い
中学生の頃から付き合ってる彼氏が他校に居て
誰に告白をされても優しく断っていた
景ちゃんは
サッカー部のマネージャー
自分が目立つことよりも
誰かの役にたちたいといつも言っていた
女の子らしくか細い手は何度となく選手達の傷の手当をした
何人の部員達が彼女の笑顔に癒されていただろう
景ちゃんはその当時誰にも言えない恋をしていた
サッカー部顧問の先生と付き合っていたのだ
先生はまだ若く他の女生徒にも人気があった
バレンタイン・クリスマス・誕生日
事あるごとに先生の周りには女の子達でにぎわっていた
それをさわやかな笑顔でかわしていた
私は大人だからそりゃ私達ガキッチョなんかに興味があるわけがない
無駄なことしてるなぁ・・・と思っていたけど
景ちゃんに対しては先生は・・・
私たちがそれを聞いたのは高校の卒業式だったけど
実は一年生の時から交際していたらしい
その当時
それを聞かされた私達はとても驚いた
・・・いや驚いたのは私だけだったかも
結衣ちゃんはそれを聞いた帰り話してくれた
「そんな事もあるよ
先生だって普通の人間だからね
それより二人がもう嘘や隠し事をしなくてよくなったことが
良かったね」結衣
大人だった
そんな二人は
三年間こんな私なんかと仲良くしてくれて
今はなかなか会えはしないけど
何かあるごとに付き合ってくれていた
私達は久々に会えた喜びでテンションをあげて話した
まわりの人たちが私達の大きな声にときより振り返るほど
しばらく話をしていると
司会者がマイクスタンドの前に立った
今から本格的な会が始まるようだ