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この手をつかみたくて  作者: えみっち
5/13

5

 

 陸と別れた後、美鈴は佐波裕助の家へと向かった。

裕助は、いつも通りのT-シャツにジーパンというラフな姿で迎えてくれた。


「遅くに、ごめん」


美鈴の言葉に裕助は笑う。


「遅いったって、まだ10時半だろ」

「まあ、そうだけど…いてくれよかった」


家の中に上がると二人はリビングへと行きソファに腰を下ろした。

裕助は、美鈴の顔を見ると眉間に皺を寄せて話し出した。


「電話での話だが、美鈴さんの思った通りだったよ。

 他の組との揉め事があって用心の為に兼松という男が付いていたらしい」


陸と別れてから、美鈴は裕助に電話を入れて確認をしてもらっていたのだ。最初は気が付かなかったのだが、途中から時々気配を感じていた。殺気もなく気のせいかとも思っていたのだが陸と別れてからは何も感じなくなった事と陸の兄との出掛けの喧嘩話などを聞いてもしかしたらお目付け役ならぬものがついているのではと考えたのだ。裕助の話しで陸が言った兼松という男の正体も分かり納得した。


「悪かったな。変なことを頼んだばかりに…」

「そんな事ないって」


美鈴は、笑って答えてくれたが裕助にとっては心配であった。

どうも、美鈴はトラブルに巻き込まれるという特技をもっていた。


「だけど陸は、他人事のように思っているみたいだよね。

 それとも反発して言うこと聞かないのかな…」


美鈴の心配顔を見ながら裕助は苦笑いした。


「両方かもしれないな。まあ、分からないでもないが事が落ち着くまでなるべく会わないで欲しいと頼ま れたよ」


美鈴は、頷いた。


「しかし、まさか昨日の今日じゃないが、また会っているとは思わなかった。

 陸から連絡してきたんだろう」


裕助の言葉に美鈴は苦笑いした。


「そうだけど、私も断らなかったし」


裕助は、眉を少し上げて美鈴を見た。


「ちょっとしたストレス発散だったんじゃないかな。外に出て話をしたかったのかも」


美鈴の言葉に裕助は小さく笑ってしまった。陸は、限られた人間と以外、親しくなろうとはせず心を開くということをしなかった。女性と出掛けたり遊んだりはしているようなのだが、体関係の付き合いがほとんどで店に連れてくるという事はほとんどなかった。 それなので、美鈴のようにおっとりした女性が一緒だった事に驚いたと海人が言っていたのだ。


「まあ、ほどほどな友達付合いにしとけよ」


裕助の言葉に美鈴は苦笑いした。

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