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魔女の話  作者: よし
7/8

魔女⑦

(なんだよこれ……)

 美しく舗装された広がる石畳の道、立ち並ぶ家屋の鮮やかな屋根の色。

 見慣れたはず場所に、見慣れない景色。

(これじゃあまるで)

 冷たい汗が背筋を伝う。指の先から体が冷えていくのを感じる。

 まるで……町だ。

 ここは大通りの市場。

 しかし、やはり男の知っているものとはどこか違う。

 何かがおかしい。そう、ずっとおかしかったんだ。

 目眩がする。誰かが頭の中をぐるぐるとかき回して、そんなことはあるはずがないと叫んでいる。

 そんなことは、ありえない。

 それでも考えずにはいられない。絡まった思考の糸を恐る恐るほどいていく。

 村は今、雨が降らないせいで不作が続いていたはずではなかったか。

 それなのに、通り雨なんてものじゃない、まるで何日も降り続いた後のようにぬかるんでいた地面。

 見たことのない少年と町という言葉。

 そして何より、今目の前に広がるこの景色。

 男は市場の雑踏の前に立ち尽くす。

 もはや違う世界なのではと思えるほど、突然に姿を変えた故郷の景色。

 ただ、人で溢れる市場の賑やかさにだけは、故郷の面影が見えた気がした。


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