表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

短編闇鍋

テレビに踊らされた少年

作者: トカゲ

俺はモテない。

顔は中の下、運動神経は並、コミュ力は低いとなればそれも仕方ない事だろう。

今まではそう思ってきた。


でもそれは違ったみたいだ。

何故なら俺はテレビで女性タレントが自信満々の顔でこう言っているのを聞いてしまったから。


「ホモが嫌いな女性なんていません!」


俺はホモが何なのか知らない。しかし、どうやらホモというのは女性にモテるようだ。

最低でも嫌われる事は無く、好印象をあたえると、女性タレントの言葉から用意に想像が出来る。

なんかホモってだけで黄色い歓声が上がるらしいからな。

凄いなホモって。


俺はホモについて詳しく調べたかったが、残念な事に我が家には辞書もパソコンもない。

仕方がないので友人にホモとは何なのかを電話で聞いてみる事にした。


「ホモねぇ。そうだな、青い作業着を着て公園のベンチに座って獲物を待つ男の事かな。」


友人は時々分らない事を言う。

獲物と言うワードから察するにホモとは狩人の事だろうか?

愛の狩人ってやつか?中々格好いいじゃないか。


後は作業着を着ているという所から考えるに何らかの仕事をしている人だろうな。……つまりは社会人、大人な男と見た。

そうか、女性は経済力がある男性を好むと聞いた事がある。これにはそう言う意味が含まれているに違いない。


「なぁ、お前はなんでホモの事なんか知りたいんだ?」

「秘密だ。じゃあな。」


友人が不思議がって俺にそう聞いてきた。

危ない危ない、ホモになれば女性にモテるなんて事が知られたら皆がホモになってしまう。

そうしたら俺のモテる為の計画が台無しだ。

悪いがこの秘密は幾ら友人のお前でも教えられないな。



さて、直ぐには大人な魅力は身につける事は出来ないだろう。

働ける年齢でもないし、こればっかりは仕方がない。


しかし獲物を狩るような荒々しさを身につける事は今でも出来る気がする。

昨今はワイルドな男が流行りらしい。テレビでも良くワイルドな子デブが出演しているのを見る。

荒々しさはコイツを参考にするとしよう。


取りあえず明日着て行く制服の下は作業着っぽいYシャツだな、うん。

思い切って髪型はオールバックにセットしてみようか。何となくだけどワイルドな感じがする気がする。


試しにオールバックにしてみると、中々いい感じだった。

髪を染めている訳ではないし、これで先生に怒られるという事はないだろう。

しかし、髪を染めるよりこっちの方がワイルドな気がする。完璧だ。


これで俺のモテ期は明日からやってくるはず!


・・・


翌日俺は学校に登校した。


髪をオールバックにしてワイルドに登校しているが、やはりまだワイルドさが足りないらしく、女子から黄色い歓声は上がらない。


どうなっている?そうか、皆は俺がホモとは知らないからか。それじゃあ仕方ないな。

良く考えたらそこまでモテたい訳じゃないから別にいいか。


突然だが俺には好きな人がいる。

その人には俺がホモだと言う事を伝える事にしよう。

そして好印象を持たれた所で告白をする事にしよう!


実は俺が好きな彼女は隣の席だったりする。

絹のようなロングの黒髪、パッチリして大きな瞳。

誰からも好かれるような明るい性格で運動神経も良い彼女は学校のアイドルだ。


彼女の隣の席になった時に男の友人から嫉妬の声が多々あったなぁ。

まぁ、そんな事を言っても、彼女と話そうとすると未だに緊張しちゃってあんまり喋れてないんだけどね。

しかし今日の俺は一味違う。

なんたって今の俺はホモなんだから。好印象なのは間違いないんだから。


「ねぇ、実は俺さ、ホモなんだよね。」

「え、いや、突然どうしたの?いきなり何言ってるの?」

「だから、俺、実はホモなんだよね。」

「あぁ、えっと、うーん。そうなの?」


あれ?何か想像と違うぞ?

何か彼女が引いている感じがする。ホモって聞いたら「素敵!抱いて!」とか言われるんじゃないのか?


「えっと、あの…世間の目とか大変だろうけど頑張ってね。」

「うん?えっと、頑張るよ。」


彼女との会話はそこで終わりその日は話す事は無かった。

帰りにホモとは何なのかを学校のパソコンで調べたら【男の事が好きな男の事】だと言う事が分かった。


「……やっちまった。」


・・・


それから1週間後くらいから女子と一部の男子の俺の事を見る目が変わった気がする。

具体的に言うと、尻をジロジロ見られる事が多くなった。

男にケツを掘られるのは避けたい所だが、雰囲気に流されそうな自分が怖い。


俺の青春はどこに向かうんだろうか?

それはまだ誰も知らない。


なんかごめんなさい。

ところでホモが嫌いな女子がいないって本当ですか?

いや、私はホモじゃないけど。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ