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【20話 純命】※イメージイラスト付き

ゆっくーりやりますよー

ポイントもらえてましたし、ブクマも増えてて感謝です

なんとか上手くまとめられてます



ルグナの笑い声が木々の奥へ響き渡る。

その音はまるで森そのものを腐らせる呪詛のようだった。


黒い紋章は脈動を強め、空気を震わせながら精霊たちを縛り上げ続ける。


「すぐに“素材”にしてやる」


サリアは歯を食いしばり、胸を押さえながら必死に立ち上がろうとする。


「……っ……この忌呪術、精霊だけじゃない……私の魔力まで……」


膝が床に落ちる。

呼吸が荒い。

額には冷たい汗。


「サリア!! 無理するなっ!」


思わず駆け寄るが、サリアは俺に手を伸ばし、震える声で制止した。


「来ては……ダメ……!

彼らの忌呪術は……魔力を繋ぐ存在ほど強く反応する……

あなたまで巻き込まれる……!」


だが――それを嘲笑うように、ルグナたちの黒い靄がさらに濃度を増す。


「精霊族の護衛はもう立てないみたいですね…ククク…

後はゆっくり回収するだけです……」


精霊たちは次々と地に落ち、小さな身体が苦しげに震えている。

光が弱まり、命の輝きが小さく萎んでいく。


ルグナたちはサリアに向けて冷たい声を落とす。


「精霊は“魔力を生む”だけが価値だが、それでも魔力を生むだけ価値がある。だがエルフ――お前たちは違う。

精霊の力を借りなければ何一つ成せず、

借りたところでこの程度の護りすら満足に出来ない。


世界の理を語るくせに、目の前の命すら救えない。

そんな空っぽな種族、エルフこそ寄生虫と呼ばずに何と呼ぶ?」


「……っ……!」


サリアの拳が震える。

怒りか、悔しさか、痛みか。

その瞳には、絶望を押し殺した光が揺れていた。


「っ…!

精霊を……生きた資源のように扱うなんて……

魔族に反する種族を根絶やしに殺していく…

あなたたちは……許されざる存在です……!」


「許されるかどうか決めるのは、力を持つ側だ」


ルグナの黒い靄が蠢き、仮面の奥で赤い光が点った。

黒い紋章が再び脈打つ音が森に響く。


ドクンッ……ドクンッ……ドクンッ……!


精霊たちの魔力が引き剥がされ、空気が歪む。


(……やばい……このままだと、全員……!)


胸の奥で、蒼輝の羅針が微かに震えた。


まるで――

「まだ終わりじゃない」

と、言うように。


何かが、うずく。

何かが、叫んでいる。


「立て。」

「お前の中に“創世”がある。」

「――まだ終わりじゃない。」


「……っ……!」


膝をつきかけた俺の身体が、勝手に震えた。

頭が焼けるように熱くなり、視界が白く染まる。

――音が、弾けた。


胸の奥から、蒼い光が吹き出した。

自分でも理由はわからない。

ただ、目の前が真っ白になるほどの衝動が身体の奥から逆流してくる。


(これは……リジェネシスじゃない……?)


俺の頭に、言葉が浮かぶ。


いや――“刻み込まれた”と言った方が正しい。


胸の内側で響く声。


『創世の理、第二段階――解放』


次の瞬間、喉が勝手に動いた。


「……《Noa -ノア-》……

 ――《純命ルミア》」


挿絵(By みてみん)



発動した瞬間、森全体が光に呑み込まれた。


ゴオォォォォォォォ……ッ!!


白金の光の柱が、空へと突き抜ける。

空気が浄化され、黒い靄が触れた瞬間に溶けて消えていく。


「くっ…眩しいっ!!!なんだ?!」

「な、なんだこの光はァァァ!!?」


ルグナたちが叫んだ。


精霊たちを縛っていた黒い紋章がひび割れ、

まるで“世界に拒絶された”かのように崩れ落ちていく。


光が精霊たちに触れるたび――


淀んだ魔力が剥がれ落ち、

黒い呪詛が霧散し、

元の輝きが戻っていく。


「……光が……身体に沁みていく……!」


「苦しくない……あったかい……!」


サリアも、微かに浄化の恩恵を受けて顔色が戻る。


「…これは一体…」


黒い靄が精霊へと伸びるたび、

白金の輝きがそれを弾き、霧散させる。


「……な……ッ?」


ルグナの声が、初めて揺れた。


「呪いが……効かない……!?

馬鹿な……! 精霊は“受ける側”の存在のはずだ……!」


黒い呪詛から解き放たれた精霊は輝きに満ちていた。


「なんか…違う…!」

「今までと違う…」

「魔力が…溢れ出る…!」


ルグナたちは再び精霊たちに呪詛をかけようとするが輝きに満ちている精霊たちはそれを跳ね返す。


「……だが、終わりではない」


仮面の奥の赤い光が細くなり、次の瞬間、魔族たちが一斉に地面へ黒い紋様を叩きつけた。


ズズズズズ……ッ。


「呪詛陣、再展開――《堕環だかん》」


地を這うように、黒い円環が幾重にも重なって広がる。

浄化されたはずの空気に、別種の“淀み”**が滲み出した。


「精霊に直接効かないなら…これならどうだ」


「……なに……?」

「さっきの呪いと……違う……!」


精霊たちがざわめく。

身体は救われている。命も繋がっている。

だが――森そのものが侵食され始めていた。


「純命で“命”は救えた……だが森は別だ」


ルグナが嗤う。


「循環を断ち、澱ませ、腐らせる。

命は生きていても、居場所が死ねば精霊は生きることが出来ない。…そうだろう?」


黒い呪詛が、木々の根へ、土へ、霊脈へと沈み込んでいく。

先ほどまで満ちていた木々が枯れ果てていく。


「あの手、この手で…!!くそ……!」


俺は一歩踏み出そうとして――よろけた。


視界が揺れる。

足元が、定まらない。


「……っ……」


胸の奥が、焼け付くように痛い。

《ルミア》の余波が、身体中を蝕んでいた。


(重い……身体が……言うことを……)


もう力がほとんど残っていなかった。

羅針は沈黙し、鼓動だけがやけに大きく耳に響く。


「……まだ……止めないと……」


腕を上げようとして、力が入らなかった。

膝が、地面に落ちる。


「っくそ…!…ここで倒れたら…意味ねえだろ…」


(ここで……倒れたら……)


だが、思考より先に、意識が暗転しかけた。


その瞬間――


森が、息をした。


ざわり、と。

風とも、魔力とも違う、循る気配。


「……?」


ルグナの動きが止まる。


「……何だ……これは……?」


地面に刻まれた呪詛陣の一部が、静かにほどけ始めていた。

壊れるのではない。


枯れかけていた木々の葉が揺れ、

精霊たちの足元に、小さな光の流れが生まれる。


――循環。


命が生まれ、巡り、戻るための理。


森の中心。

巨大な世界樹の根元で、淡い緑と金の光が渦を巻いた。


そこから――

一つの“形”が、ゆっくりと立ち上がる。


長い淡緑の髪。

森を思わせる瞳。

衣のように纏うのは、葉と光で編まれた霊装。


年若い女性の姿でありながら、

その存在感は、森そのものだった。


「……歓迎しよう」


その声は、風のように優しく、

同時に、大地のように揺るがない。


「世界の理を乱す者たちよ」


挿絵(By みてみん)


ルグナが息を呑む。


「……お前は……」


彼女は、ゆっくりと手を広げた。


「私は――

リミュエールの森 当主」


光が、静かに脈打つ。


「名を、エリル」


足元から、光の環が広がる。

呪詛陣と同じ形――だが、真逆の性質。


黒が、白へ。

澱みが、流れへ。


「理《じゅん》――」


光が脈打つ。


「――《万象帰流パンタ・レクルス》」


瞬間、森が息を吹き返した。


地に沈んでいた黒い呪詛が逆流し、

根へ、土へ、霊脈へと――本来あるべき流れに引き戻されていく。


「なっ……!?」

「呪いが……戻って……!?」


ルグナたちの足元で、黒い靄が制御を失い、霧散した。

呪詛陣は崩れるのではない。

“巡り終えた”かのように、静かに消えていく。


森の霊脈が、正しい循環を取り戻していくのが、はっきりと分かった。


エリルは、ちらりとこちらを見た。


その瞳は、森のように深く、そして優しかった。


「……ソロの人…よく、命を繋いでくれましたね。

創世を担う者よ、あとはゆっくり休みなさい」


その言葉を聞いた瞬間、

張り詰めていたものが、ふっと切れた。


視界が、暗くなる。


倒れゆく俺の身体を、柔らかな光が包み込んだ。


最後に見えたのは――

循る光の中に立つ、森の主、エリルの姿だった。


理《循》――《万象帰流パンタ・レクルス》によって光が、完全に森を満たすとその余波は、呪詛だけでなく、呪いに縛られていた存在そのものへと及んでいった。


「……な……何だ……身体が……」


ルグナの一人が、仮面に手を伸ばした。

だが指先は、すでに崩れ始めていた。


ぱら……ぱら……。


皮膚が、灰のように崩れ落ちる。

筋肉も、骨も、悲鳴すらも――循環の中に溶けていく。


「や、やめろ……!! 俺たちは……選ばれ……」


最後まで言葉になることはなかった。


黒い靄は霧散し、

歪んだ魔力は分解され、

残ったのは――さらさらと地に還る塵だけだった。


それは“消滅”ではない。

裁きでも、破壊でもない。


循環への帰還。


奪い、歪め、流れを壊した存在が、

世界の理に従って“土”へと戻された。


「……人が……土に……」


サリアが、呆然と呟いた。


森の大地が、塵となったナグルたちを静かにそれを受け入れる。

芽吹く前の、静かな土壌へと。


エリルはただ、静かに告げる。


「魔族に成り損ね、理を歪めた者たちです。

彼らはもう“人”ではありませんでした。

だから――人としては、還れない」


淡々とした声。

そこに怒りも、慈悲もない。


エリルは静かに笑い呟いた。


「どうか、安らかに」



その光景を、俺は半分夢の中で見ていた。

 

身体は動かない。

意識だけが、沈みかけた水面に浮かんでいるような感覚だ。


(……終わった……のか……)


そこからの記憶はなかった。



……ぴち、ぴち。


どこか遠くで、小鳥の声がした。

葉を撫でる風の音が、すぐ耳元で揺れている。


(……生きてる……?)


瞼が重い。

開けようとしても、身体が言うことをきかなかった。


胸の奥が、じん、と鈍く痛む。

痛みというより――空っぽだ。


純命ルミア》を放った直後の、あの“吸い取られる感覚”。

あれがまだ残っている。


(……やべぇ。マジで全部、持ってかれた……)


ようやく瞼が持ち上がる。


眩しい。


見上げた先には、果てしなく広がる青空。

その青を切り取るように、巨大な枝葉が天蓋を作っていた。


……俺は、木の上にいる。


いや、“木の上”なんて言葉じゃ足りない。

ここは森の心臓、リミュエールの森の中心にそびえる大樹――その最上部。


視界を動かすと、森が一望できた。

どこまでも続く緑の海。

その上を渡る光の粒が、川のように巡っている。


そして、俺が横たわっている場所は――

木の枝を巧みに組み、蔦と葉で編み上げた広場。



床は柔らかな苔と木肌で、壁の代わりに葉のカーテンが揺れている。

自然そのものが“部屋”になっているような場所だった。


(……ここ、どっかで……)


胸の奥で、蒼輝の羅針が微かに震えた。

懐かしい気配。

初めて彼女と対面した、あの場所――


「目が覚めましたか、ソロの人」


風と一緒に声が降りてくる。

振り向くと、そこにエリルがいた。


淡緑の髪が光に透け、森を映した瞳が静かに俺を見下ろしている。


「……エリル……」


「ここは私の“部屋”です。

あなたが倒れたので、こちらへ運びました」


俺は起き上がろうとして――失敗した。


「ぐ……っ」


腹の底に力が入らない。

身体が鉛みたいに重い。


エリルは指先を軽く振り、柔らかな光を俺の背に添えた。

支えられるように上半身が起きる。


「無理は禁物です。《純命ルミア》は――今のあなたには過剰でした」


「……過剰って、つまり……」


「あなたの“器”に対して、放った“創”が大きすぎる。

代償として、魔力だけでなく、生命力の循環まで乱れかけています」


……なるほど。

空っぽの正体はそれか。


「じゃあ俺、今……」


「放っておけば眠り続け、最悪、目覚めなかったでしょう」


サラッと言われて背筋が冷えた。


「……さらっと怖いこと言うなよ」


エリルは少しだけ口元を緩めた。


「生きています。循環は戻しました。

けれど――あなたが何者かは、もう誤魔化せません」


「……何者?」


エリルの瞳が、深くなる。


「あなたは――

世界の四理の一つを内包する者」


空気が、静かに張りつめた。


「理《創》。

存在を生み、形を与え、まだ無いものを現実へ落とす理です。あなたが現れたことによって創は復活しました。」

純命ルミア》概要…メモメモ


分類

理《創》に属する上位行使

再命リジェネシス》の発展・上位概念



■ 効果


純命ルミア》は

“命を浄化し、創り直す力”。

•呪詛・穢れ・歪んだ魔力干渉を完全に除去

•命の在り方そのものを正しい状態へ上書き

•精霊・生体・霊的存在に対し有効

•既存の治癒・回復とは異なり

「壊れた命を直す」のではなく

「正しい命を再定義する」


結果として、

•消滅寸前の精霊を生存状態へ回復

•呪いへの“耐性”ではなく呪いを受け付けない状態を作る



■ 特徴

•命を“受ける側”から“巡る側”へと変える

•世界の理に直接干渉するため、観測されやすい

•発動時、周囲の環境(霊脈・空気・土地)にも影響を及ぼす



■ 代償・制限

•使用者自身の生命循環・存在力を消耗

•魔力だけでなく、“存在の重さ”を削る

•連続使用・過剰行使は致命的

•現段階の主人公では一度の使用で長期休養が必要



※ここでちょっとした補足

イリスの使っていた浄化の力、ルミナージュはこのルミアの派生としています…ふふ

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