海と湖と池と、皮。
暑い夏が本当に苦手な私。
梅雨生まれだというのに湿気も大の苦手(そこは皆さん共通だと思いたい)
それでも海で泳ぐのが大好きで、夏は三回くらい脱皮した。
何を言ってるかわからない?肌が真っ黒に焼けると、皮が剥けてくるんですよ。鼻の辺りがむず痒くなって、ちょっと剥くと、ぺりぺりと黒い皮膚がみるみる剥けて下には白い肌。
お、おお、白い肌!
君そんなとこにおったんか!と、驚くけれど面白い。
で、皆で自分の黒い肌を見せ合い、
「もう一回剥けたぞ〜」とか、
「私もう二回も肌黒くなった〜」など、
和気あいあいと話していた。
今では子供には日焼け止め!と、いう常識からしてみれば、私が住んでいた地域はその常識が辿り着くのが遅かった。だが、例え教えられたとしても、うちの大雑把過ぎる母はきっと、
「え、そうなんだ〜」
で、終わっていただろう。
ともかく私は学校の夏休みにあるプールの授業で二時間みっちり泳ぎ、一旦家に歩いて帰り、お昼ご飯を食べたら徒歩三十分かけて今度は海まで歩き、四時まで泳いでいた。そしてまた徒歩で帰るというね‥。
はっきり言って、どんだけ体力底なしだったんだと思う。
夏は親の仕事が忙しくて手伝わされることが多かったのだが、バーベキューの準備も一緒にして、ついでにそのままお肉をちょこちょこ‥いや、相当の量を食べていたが私は一切肥えなかった。それどころか肩はムキムキになるし、体全体が引き締まったぽっちゃりだった。
つまるところ、子供版レスラーの爆誕だ。
今でもレスラーに向いている!と、ある意味お墨付きを頂いた脂肪と筋肉のミルフィーユサンドの私だが、ともかく水泳は私をムキムキにした。
あれで肉を控えていたらもしかしたら今頃はほっそりした女性になっていたかもしれない‥。と、思ったが中学でもずっと泳ぎ、流石に高校生になったら海で泳ぐことはあまりしなくなったが、高校の先生がまたちょっと頭のネジが飛んでいた。
「まず百メートルを四本泳ごうか」
で、ある。
普通の高校生は四百メートルをまず泳がない。
スポーツ校ならわかるよ?でも私達、ただの高校生。しかもスポーツ推薦なんてなかった。あっても野球。なのに、水泳だけは海がある地域がらほぼ地元民は泳げる。確かに私も四泳法は履修済みだった。
それにしたって四百メートルはない。
その後、当たり前に二百メートルを四泳法をメドレーで泳ぐのだ。
一本ではない。普通に五本とかのたまう。私、あれから何年かして漫画を読んでたら、女子高生がプールを温泉のように浸かっているのを見て、「またまた〜〜」と笑って友達に話したが、
「のんちゃんの学校、やばくない?」
て、マジなトーンで返された。
え‥‥、そうだったの?
離れてみて初めて知る真実。その時、ようやく普通の高校は大体二十五メートル泳げればオッケーだし、そもそもそんな泳ぐ機会がないと聞いて、じゃあなんなんだよ!!!あの学校は!!と、叫んだ。
ちなみに更に数年したら、オリンピックの水泳選手がインタビューで、
「いきなり二百メートル四本とか言われてキツかったっす」
って、言ってて‥耳を疑った。
私達、二百メートルどころか体力が果てるまで泳げって言われて、二時間の体育授業でずっと泳がされたが!??休憩は十分だったが?!!と、叫んだ。
いやそれでも世界を相手に戦っているんだ。オリンピックの選手は本当に素晴らしい。でもなんであんなに泳がされるクレイジーな授業だったんだ‥と、遠くを見つめる私。もちろん高校時代も肩はむきむきだったし、夏の水泳時期だけは痩せてました。若干ね。
今では海には浮き輪が標準装備の私。
耳も弱くなってしまったので、潜るのもあまり出来なくなってしまったけれど、それでも海に潜って、水面の方を見上げればキラキラと光る光と、周囲の木々がゆらゆらと万華鏡のように揺れて、見ていて気持ちがいい。
海の底で、石がコロコロと小さな音を立てて転がる音を耳を済ませて聴くのも、スキューバーの泡で遊ぶのも結構好きだったりする。
ちなみに何度か湖で泳いだこともあるが、シーンと静かで、木々が沈んでいる底を見て、生き物の気配があまりしなくて怖かった‥。もう一度泳いだら違うかな?と、思うけれど、なかなかその機会がない。
ともかく湖や海と川‥どこに行っても水に縁があるのか、いつも水の音を聞いて育ったので、近くに水場がないのが寂しい。そう思っていたのだが、最近住んでいる場所の近くに池が多くあることが判明。やっぱり水場がある場所に縁があるのかもしれない。
‥ただ、もう皮が剥けるほど泳ぐのはシミが怖いので控えますが。
冬になると子供時代はターンオーバーが爆速だった為に、
あっという間に白い肌に戻るのですが、夏になると真っ黒。
あの時のターンオーバー速度が戻ってきて欲しいと切に願う大人です‥(;;)




