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私のつづら。  作者: のん
12/20

お手手にネイル。


私の手は子供のように小さい。

大体小学三年生くらいと同じ(自分調べ)そして、親指が短い。

お弁当用の小さいウィンナーくらいなので、指相撲が圧倒的に弱い。家族はニヤニヤしながら私の親指を倒しにかかって来る。くそっ、卑怯だぞ!!と、叫びながら俊敏に逃げ回るが、最終的には完敗する。


そんな小さな指なので、ネイルを塗るとどこか「子供が精一杯お洒落した手」になってしまう‥。


ちゃうねん!

お洒落な手になりたいのに、「あんた勝手にお母さんのネイルを使ってでしょう!?」と、カーラーを前髪に巻いたお母さんに言われたような状況になってしまうので、なんでなん?!



若い時にどうしてもそんな状態になってしまう爪を見て、


「こりゃ私の小さな手ではネイルはあまり似合わないんだろうな」


と、数々のキラキラしたネイルを横目に諦めた。

前世は貴族‥きっと爪も綺麗に生えていたのだろうに。手が小さいばかりに!そうしてネイルなど言語道断の職場に就職した私は自爪オンリーで生きていた。



そんな爪のお洒落をすっかり放棄していた私に、遊びに来た妹の爪を見れば綺麗なヌードカラーと、抑えめなマットオレンジを交互に塗っていて、目を丸くした。


「え、爪めっちゃお洒落だね!?そんなカラーあるの?」

「うん!色んな色があるよ。マット系はお手軽にお洒落になれる!」


ええ〜〜〜〜〜?!いつの間にネイル界はそんな素敵な世界になってたの?

時代に完全に取り残されていた私は、早速妹オススメのヌードカラーとマットなオレンジを真似させて貰って爪に塗ってみた。



「これは‥、いい感じでは!??」



ネイルといったら「赤」という固定概念しかなかった私にものすごい革命が起きた。そうかぁ!子供っぽいと思っていたけど、カラーによって見え方が全然違うんだ!と、大分大人になってから気が付いた。お洒落さんの着目するポイントってスゲェな!!と、心底感心した。え、皆さんは知ってた?お洒落さんですね!!


その後、妹にこんなのもあるよ〜と、ネットで色々見せて貰えばグラデやらジェルネイルもある!?


え‥‥、こんなにあったの?

いつの間に?

私、かなり浦島太郎なんだけど。


驚きつつ、グラデをやってみようと色々買っては自分の爪で試すも、やはり無難なヌードカラーが私の手にはしっくりきた。職場で見つかりにくいというのも大きい。ただ足の爪は派手にいこうと、真っ赤なのを塗った。


ペティギュアならばどんだけ派手でも文句はあるまい!


江戸のお洒落禁止令を逆手に取って、裏地を派手にする江戸人の如くド派手な爪にしていた。が、ある日保育園のボランティアに行った際、水遊びの手伝いをしていた私の爪を見たちびっ子が目を丸くして、



「ちぇんちぇ、足いたい?だいじょーぶ?」

「え?」

「つめ、赤いよ?血、出てる?」



心配そうに私の爪を指差し、見上げる眼差しに胸を撃ち抜かれる。

可愛い‥‥。そして優しい。すぐさま「これは絵の具で塗ってあるだけだよ。血じゃないし、痛くないよ。心配してくれてありがとう」と、伝えると、ちびっ子は驚いたように私の爪を小さな指でツンツンと不思議そうな顔をして突き、


「痛くないの?赤いのに?」

「赤いけど痛くないんだ〜。今度は違う色にしてくるね」

「うん。痛くないのにしな」


と、進言して頂いた。

ちびっ子可愛い。ちなみに私達の会話を聞いていたもう少し大きいちびっ子は腰に手を当て、


「それネイルでしょ?うちのママもやってるよ。超キラキラなんだ〜!」

「超キラキラ‥」


お母さん、派手目なネイル好きなのかな?なんて思ってたら、お迎えに来たお母さんは足の爪だけでなく、手の爪もキラキラでダイヤついてた。確かに超キラキラだ。なるほど‥お洒落って、ああやって実際に見て色々学んでセンスを磨いていくものかもしれない。



そう考えると、妹はどこでネイルを覚えてきたんだ?

マグロのように突き進む母の元で、同じ釜の飯を食っていたはずなのに‥。いや、もしかしたら私が手が小さくて似合わないと思い込んでしまったのも要因かもしれない。



「自分には似合わない」と、いう思い込みはお洒落だけでなく、自分の可能性を狭めてしまうものなのかもしれない。そう考えたら、一度や二度の失敗で諦めるのでなく、それならこっちはどうだ!の、根性で今後は色々試してみようと思う。


この頃はちまちまと小さな爪に、淡い薄い桜貝のような色を塗ってジッと自分の手をみれば、それなりに大人の手にも見えるし、子供のようにも見える。



「ま、いっか。超キラキラしてるし」



お日様にかざせば、それなりに見える。

ネイルは小さな子供の時の私と、大人の私を同時に可愛く、綺麗にしてくれる。控えめにいって最高である。





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