可愛い観葉植物。
昔からインテリア雑誌を見れば、必ずある観葉植物。
しかし緑多きド田舎に住んでいて、窓を開ければ木!木!木!!あとついでに海!!と、いう今考えればなんとも贅沢な環境に住んでいたのが、ともかく私は観葉植物を飾る家に憧れていた。ええ、流行りには全力で乗っかってみたい人間です。
そんな訳でネットで定番のウンベラータを注文。
どんなにど田舎でも植物を届けてくれる宅配業者さんに感謝しつつ、やって来たのは30センチの高さのウンベラータ。可愛らしい青い葉っぱを見てニマニマしつつ、早速鉢植えに植え替え、水をやり、窓辺に置けばそこにいるだけで映える。築50年という歴史を感じさせる家なのに大変お洒落空間に見えるから、植物は偉大である。
ちなみにそれを見た母には、
「窓からこんだけ緑が見えるのになんで植物買ってるのよ」
と、言われたが貴方だって多肉植物を山ほど飾っているじゃないか。しかもポトスなんて私が生まれてからずっと飾ってあったぞ!と、言い返したら、
「そうだったっけ?」
わかりやすいくらい誤魔化して去っていった。
(しかしその母に「植え替えの土ある〜?」とちゃっかり貰っている私)
以前、上京して間もなく無●良品でアイビーを買って部屋に飾っていたのだが、水をちゃんとあげていたにも関わらず枯らしてしまって以来、植物を育てることに躊躇いもあった。だからこそ今度はちゃんと育ててみせる!
気合の入った私にウンベラータちゃんとそのまんま名付けられ、愛情たっぷりに育てられたウンベラータちゃんはメキメキと背を伸ばしていたが、ある冬の時期。
葉っぱが全部落ちた。
丸坊主のただの枯れ木のようにな姿に、私は悲鳴を上げた。
「ウンベラータちゃんが!!ど、どうして?!室内にずっといたのに!水もちゃんとあげていたのになんで!?」
ネットを検索すれば、「そういうこともある」「だがウンベラータは強い。大丈夫だ」という説と、「もしかしたらお別れの時かもしれません」という説に呆然とする。いや、ウンベラータちゃんは環境変化に驚いちゃうタイプだっていうし、ここは生命力を信じよう!
私は水をやり、棒のようになったウンベラータちゃんの木肌をそっと撫で、「早く元気になってね」と、声を掛けた。私ができるのは声掛けと水やりくらい。
ちなみに家族はそんなウンベラータちゃんを見て、
「まだ禿げてるね」
「やめて」
「早く禿げが治るといいね」
「全国の頭部が薄い方が刺さる言葉かけやめて」
などと失礼千万な会話をしていた。
それでも交代でウンベラータちゃんを撫でては水をやり、声を掛けてくれた。割と‥いや、かなり失礼なことを言ってけれど、根性と生命力のあったウンベラータちゃんはやがて枝から小さな葉を生み出し、それを皮切りにどんどん枝が伸び、葉を茂らせていった。
そうして気が付けば、青々とした葉をどうだといわんばかりに広げてみせ、今では私の身長を越すくらい大きくなった。
「大きくなったねぇ‥」
立派になった子供の姿を見つめる母の眼差しそのもので、私はウンベラータを見上げた。今や150センチになったウンベラータちゃんは、伸び伸びと葉っぱを広げている。良かった〜〜〜!!生命力の強い子で良かった!!と、私も家族もそれは喜んだ。
しかし、ウンベラータちゃんは褒められると一層努力を惜しまないタイプだったらしい。
どんどん枝を伸ばし、葉を茂らせ、我が家の小さなリビングの一角を我が物顔で侵食していった。縦にも横にも枝を伸ばし、段々部屋を圧迫していく。
「これは剪定した方がいいのでは?」
と、思うくらいに部屋の中を伸び伸びどころか若干窮屈そうにするくらい育ってしまった。それを見た家族に、「剪定の仕方をネットで検索しよう」と、提案されるくらいだ。
だけど、あの枯れ木のようになってしまったウンベラータちゃんから、ここまで大きくなった姿を見ると、鋏を入れるなんて!!と、私の手が動かない。あんなに頑張って生き抜いた子を切るなんて!
ええ、私は物でも植物でも一度愛情を持ってしまうと、手放すのも切るのも出来ないんです‥。だから必要以上に物を持たない、できるだけ距離を取る‥。(大概すぐに愛着を持ってしまうんですけど)
それでも我が家のリビングはそこまで広くない。
しかもなんならウンベラータは10mくらいまで大きくなる。私は泣く泣くウンベラータちゃんの枝を剪定し‥、それをどこからか聞きつけた母に、
「挿し木するから頂戴!!」
速攻でお強請りされた‥。
貴方、緑なんてそこら中にあるって言ってたやないかーい!!!
しかしウンベラータちゃんの枝が生かされるのなら、それもまた良し。こうして母にウンベラータちゃんの一部は生かされ、我が家のリビングで生き生きと枝をまた伸ばそうとするウンベラータちゃんを眺めるのであった。
‥ちなみに他にも観葉植物がいるのは母には内緒だ。
ちなみにまだまだウンベラータちゃんは枝を伸ばし、またも部屋を圧迫。
どうしよう‥、また鋏を入れるなんて辛い!!と、またも苦しんでいます。




