092 黒幕を追え――異世界を繋ぐダンジョンの核心
フェリシアは急ぎ足でシルヴァーナとロウィンのもとへ向かい、二人をそっと抱きしめた。
その温もりが手に伝わると、胸に安堵と喜びが満ちていく。
「パパ……ママ……来てくれてありがとう……」
シルヴァーナは髪を優しく撫で、柔らかく微笑む。
「強くなったわね」
ロウィンも肩に手を置き、静かに言った。
「無事で何よりだ」
そのとき、ミハイルとエリオが近づいてくる。
「あのヴェル=オルディウスを倒すなんて……。これでクリアか?」
「分からない。このダンジョンには違和感がある」
フェリシアが口を開いた。
「まだ秘密がありそうだ」
皆の顔に、不安がよぎる。
シルヴァーナは周囲を警戒して、シャドウクロウ、シルヴィア、セリナに意見を求めた。
シャドウクロウは短剣を弄りながら言う。
「ドロップアイテムが、一つの世界のものじゃない。どこから流れてきた?」
シルヴィアは巻物を広げ、答える。
「本当にそうね。モンスターにまとまりがないし、魔法理論も一貫していない。一つの体系では説明できない」
セリナは五感を研ぎ澄ませる。
「迷宮の精霊が警告している。このモンスターたちは異世界から強制的に召喚された……。背後にいる存在が、このダンジョンを完全に支配してるわ」
その言葉に、全員の表情が固まった。
「ヴェル=オルディウスは数千年、敗北を知らない存在。いくつものダンジョンを造り、異世界への通路にしてきた。アイテムはその世界を観察するための“餌”。――次は、ゴブリンの森を経由して私たちの世界を狙うつもりよ」
「ええっ!?」
シルヴァーナの声が震える。
フェリシアは目を閉じ、深く息を整える。
「ダンジョンは異世界とつながる戦略拠点……いや、それ以上かもしれない。黒幕を突き止める必要がある」
ヴェル=オルディウスが落とした「時空力の水晶」を見つめ、フェリシアは前を向く。
「未来がどれほど残酷でも、私は目を背けない」
水晶を強く握りしめ、仲間たちとともに歩き出した。
次の扉の向こうに、運命の核心が待っていると信じて――。
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