910 始まりの地、ソウルヴァース学園
黄金郷―――。
周囲は静まり返り、何か大きなことが始まろうとしている気配が漂う。
目の前には、淡く光る球体を握った女性が立っていた。
名前はシルヴァーナ――記憶があやふやなわたしの頭でも、その名だけは不思議と心を落ち着かせてくれた。
「これが最初で最後の手段よ」
彼女の声は穏やかだが、全宇宙の未来を賭けた強い覚悟がこもっていた。
「あなた自身が、時空魔法の連鎖が生んだ『宇宙の歪み』を断ち切る鍵。魂には、このゲームの攻略情報だけが刻まれる。絶対にチートに頼らず、ノーミスでここまで辿り着きなさい。アイテムは後から送るわ」
小さな体に重責がずしりとのしかかる。
でも、瞳の奥に決意の光が灯る。
「……うん。みんなの笑顔のために、頑張る」
胸の奥で、冒険への熱がゆっくりと灯る。
光の球体に触れた途端、強烈な輝きが弾けた。
世界は白に染まり、耳の奥で時空が裂けるような音が響く。
──視界を覆っていた光が薄れたとき、そこにあったのは黄金郷ではない。
巨大な校舎、活気にあふれる学生たち、午後の光が差し込む学園の風景が広がっていた。
その隅には、ゲームのメニュー画面が浮かんでいる。
名前、能力、所持品――すべて初期設定のまま。
攻略本の知識だけが、心に鮮明に流れ込む。
『ようこそ、アイル。《始まりの地、ソウルヴァース学園です》』
自然に微笑みがこぼれた。
「あ……思い出してきた。ウチが誰で、何をすべきかも」
胸に刻まれた使命と知識を抱き、新たな世界の門をくぐった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
「面白かった!」「続きが気になる!」と思っていただけた方は、ぜひブックマークや評価で応援していただけると、とても励みになります。
どうぞよろしくお願いします!




