907 タイムライン修復クエスト、開幕! シルヴァーナの絶対ノーミス指令
「馬鹿な! 時空大渦が全銀河を飲み込んでいるんだぞ。原初の世界を復元したところで、崩壊はもう止まらん!」
リルヴァナからの魔法通信は、緊迫した虚空に吸い込まれた。
「……覚悟はしていた。時空魔法に手を伸ばしたあの日から、破局へ歩き始めていた。これが積み重ねた“代償”だ」
ロウィンは、自らの無力さと自責の念を噛みしめ、深く息を吐いた。
冥界は、すでに光と闇が混ざり合う時空大渦の奔流に呑み込まれ、跡形もなく消滅し始めていた。
シルヴァーナたちは、冥界の裂け目からなんとか安全圏へ脱出した。
クロエは青ざめたグレイスフルを抱え込み、必死に体を支えている。
シルヴァーナは、記憶が消え、少女へと変わったアイルを見つめ、そっと声をかけた。
「ここから当分、安定した世界へは戻れないけれど、大丈夫よ。あなたは、また、この宇宙を救う『鍵』になれる」
少女は、崩壊する景色を前に小さく身を固くした。
だが、その瞳の奥には、消えたはずの意思が戻り始めていた。
ロウィンは状況から目をそらさず、問いただす。
「……で、どう動くつもりだ? 因果の螺旋を断てる術なんて残っていない」
シルヴァーナは、アイルをそっと抱き寄せ、言葉を続けた。
「この子に、これまでの過去を『ノーミス』で塗り替えてもらうつもりよ」
その一言に、全員の呼吸が止まる。
「私たちが辿った軌跡を、すべて伝える。そして彼女が、時空魔法というチートを一切行わず、この瞬間まで到達することができたら――」
彼女は、静かに結論を告げた。
「時空魔法が積み上げてきた歪みは、きれいに消え去るはず」
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