905 【宇宙の舞台裏】原初世界消滅とリチャードの筋書き
私はリルヴァナ。
すまない、みんな!
今日はふざけた自己紹介をする余裕なんて、まるでない。
緊張が張り詰める中、エルデア王国で原初神リチャードとの謁見を果たした。
「お待ちしておりました、創世神リルヴァナ様」
玉座の王は、相変わらず優雅な所作で、満面の笑顔だ。
だが、その瞳の奥には、すべてを見通す神眼の光が宿っている。
私は感情を殺し、状況を報告する。
「異世界で大惨事が起き、原初の世界が消えたらしい」
淡々と説明する私を、リチャードは腹の底から笑い出した。
「ぶはははは! いや、失礼。これは傑作です。まさか、あの小娘がそこまでやってくれるとは」
言葉には危機感の欠片もなく、まるで舞台の結末を楽しむ観客そのものだ
そして、彼は脇に控えていた宰相から、ひとつの輝く装置を受け取り、私に手渡した。
「この『原初復元核』があれば、消滅した原初の世界だけは戻せます。少し時間はかかりますが、どうかお許しください」
……やはり、すべてリチャードの筋書きだった。
アイルの暴走すら、計算の内。
だが、その前に、ここは彼の願望に応えるとしよう。
「助かる。リチャードが原初の神として、この宇宙の秩序を守るなら、我々は協力を惜しまない」
私の言葉に、彼は首を横に振った。
「いやいや、そんな気は毛頭ありませんよ」
少し照れた笑みを浮かべている。
……あれ?
カーテンの奥で、アーリエルがニヤニヤしている。
心を見透かすように、リチャードは静かに言った。
「私の務めは、あくまで『ユイナお嬢様』の安全です。ですが、もし誰かが……」
穏やかな声の裏で、空気は一瞬にして凍りついた。
全能の執事は、笑顔の下にすべての命運を握っている。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!




