069 希望の翼
ダークエルフ王国。
シルヴァーナとロウィンは、居城の寝室で向かい合っていた。
外の喧騒は、遠い世界の出来事のように感じられる。
言葉を交わさずとも――そこには、これまでの戦いを越えた穏やかな空気が満ちていた。
シルヴァーナの指がテーブルの上を滑り、ロウィンの手に触れる。
そっと握り返し、心の奥で安堵が広がる。
「やっと……二人きりになれたわね」
笑みが口元に浮かんだ。
「当分はゆっくり過ごしたいよな」
シルヴァーナの表情が真剣になる。
「アリアのこと、考えてるの?」
ロウィンは視線を落とし、息を吐いた。
「俺のせいだと思うと、どうしようもなくてな」
「選択が正しいことを、私たちが証明していけばいい。それが未来を作る方法なんだよ」
ロウィンは宙を見上げる。
「暗黒舞踏会の影響が、不安で仕方ないんだ」
「でも、世界に希望を与えたはずよ。少なくとも、この平穏があるじゃない?」
言葉を返すと、シルヴァーナの肩の力が抜けた。
「そうだな。俺たちの力が、世界を動かしてしまった」
「ふふ、ロウィンなら大丈夫。力だけじゃなくて、覚悟を持って選び取ったんだから」
「まるで未来を見通してるみたいだな」
「だって、今回あなたにいっぱい貸しを作れたからね」
「その顔、ちょっと悪いぞ」
暗黒舞踏会の消滅は、世界に大きな変化をもたらした。
各世界の代表者たちは協定を結び、二度とその開催を行わないと誓った。
条項の一つとして、ダークエルフ王国への干渉も禁じられた。
ロウィンの時空魔法、シルヴァーナの召喚魔法、戦神サラや闘神アグリオン・ラグナスの力が、各勢力への強力な抑止力となったのだ。
一方で、シルヴァーナが研究所で開発した「魂の依り代」は重要な役割を果たした。
それは魂を一時的に現世へ呼び戻すことを可能にするもので、厳しい制約が設けられていた。
彼女はこの技術を、支配と法の神ゼウス、大英雄アレクサンドリア、魔王アスタロス、冥王ハルバスに使用した。
世界の均衡を保つために――。
ゼウスは天界に戻り、新たな秩序を築く。
アレクサンドリアは人間界に降り立ち、英雄の復活を告げて希望を広めた。
アスタロスは魔王軍を再編し、かつての規律を取り戻す。
冥王ハルバスは、暗黒舞踏会の首謀者に恐るべき罰を与えた。
――そして、シルヴァーナとロウィンはそのすべてを見届けながら、未来をどう切り拓くかを考えていた。
二人は、どんな時代が訪れようとも共に歩む。
いつの日か語られるだろう。
彼らがいかにして新たな世界を築き、暗黒舞踏会の残した影を越え、平和と希望をもたらしたのかを――。
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