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066 ハーレムの狂気、崩壊の序章

 VIPルームの扉がゆっくり閉まる。

 残されたのは、ロウィン、シルヴァーナ、そしてアリアの三人だけだった。


 部屋の中央に置かれた円卓には、淡い光が差しこんでいる。

 アリアは姿勢を正し、わずかに間を置いて語り出した。


「お伝えしたいことがあります。

 私の転生の理由と、あなたが迎える運命についてです」


 その声には、深い覚悟がにじんでいた。

 ロウィンは思わず動きを止め、シルヴァーナはアリアの瞳をじっと見つめた。


「このままでは――ロウィン様は、大ハーレムを築くことになります」


 淡々とした口調に反して、その内容は衝撃的しょうげきてきだった。

 ロウィンは理解が追いつかず、シルヴァーナも息を呑む。


「……どういう意味だ?」


 アリアは体の緊張を解き、声をつむぎ始めた。


「私はロウィン様と、ある女性との間に生まれた娘です。

 けれど、時空魔法が使えなかったために処分されました。

 その瞬間、初めてメニューウィンドウが開き……転生令嬢であることに気づいたのです」


 彼女の声は震え、涙が光った。

 信じがたい話だが、その表情に偽りはない。


 シルヴァーナはまゆをひそめる。


「……そんな未来、本当に?」


 アリアは視線を落とし、続ける。


「舞踏会の終盤しゅうばん、主催者の挨拶あいさつが終わると――恐ろしいイベントが起こります。

 ロウィン様は生きたまま、子孫を作り続ける運命にとらわれるのです」


 シルヴァーナが凍りつく。

 アリアの表情が苦痛に歪んだ。


「未来では、時空魔法は未だ解明されず……子孫たちは実験台にされています」


 空気が張り詰める。


 ロウィンは拳を握りしめ、問いかけた。


「どうすれば……その運命を変えられる?」


「時の神クロノスを呼び出し、新たな力を授かるのです」


 すると、ロウィンの心に、クロノスと思しき声が響いた。


『呼ぶ必要はない。お前はすでに、それを使える。

 誰も傷つけるな――大戦を止められるだろう』


 ロウィンは深く息を吸い込み、メニューウィンドウを開いた。


「……これなら、何とかなる」


 彼の肩の力が抜け、表情に大きな安堵あんどが広がった。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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